★★★ Excellent!!!
美しく咲き誇る短き生涯 都月きく音
主人公ピアニーは、冒頭でその生涯の最期をどう迎えるのか既に示されています。
この物語は、彼女がどう生き、どうしてそのような結末を迎えることになったのか、それを記したものです。
明るく闊達に成長した美しいピアニーは、年頃の少女らしく、田舎暮らしに少々物足りなさを感じていて、伯父からの勧めで王太子妃付きの女官奉公へ嬉々として赴くことに。
華やかな宮廷での生活で出会ったのは、敬愛する主人の夫である若き王太子レオナルド――彼との出会いが、平凡で退屈だったピアニーの人生を、甘く刺激的で、破滅的なものへと誘っていく。
彼女は運命的な恋にときめく若さはありつつも、仕えるべき主人の夫との不倫という関係に熱中するほどには愚かではない。そして、自分が政治的にどういう立ち位置にいるのかも理解している。
それでも彼女はその危険な恋の道を進まずにはいられない。
こんなことを書いていると小難しい話のように感じてしまうかも知れないけれど、現代的な言葉遣い(イケメン等)が使われている所為か、とっつきにくさはまったくないです。文体は読みやすく、誰々がカッコイイ!などとキャッキャしている女官奉公の少女達の姿が身近に感じられるから、時代物というお堅さを感じずに読み進められます。
2017年11月末現在、第1部が完結したところです。
連載を追いかけるなら今だと思います。