第13夜 手紙

2016/10/25 sakura

季節外れの異常気象

季節外れの桜を見た



正真正銘、10年前の手紙を見つけた。当時は既に携帯電話も普及していたが、プリント用紙の裏に書かれた恋文は、やはり学生の特権なのだろうと思った。


記念日の予定、昨夜メールで話した事、今日のお昼ごはんはどこで食べるか、バレンタインデーに添えた想い、部活の引退。



その文に対し僕は何をしたか、全く覚えていなかった。


記念日には何をした?

お昼ごはんを一緒に食べた事なんてあったのか?

いつ別れたのか。



彼女達の肉筆に、懐かしさすら感じず、この人達と関係があったのかも覚えていない。


空白の18年間の存在を裏付けされてしまった一件だった。


当時の恋人には、本当に申し訳ない想いだ。

出来る事なら

青春を返してあげたい。

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