短編集 みんなの大好きな「PTA」

作者 沓屋南実(クツヤナミ)

20

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★★★ Excellent!!!

「PTA」、古くから続く日本における学校の伝統的な組織。親の間の繋がりを作り、連携を維持するための仕組み。そして、誰に貧乏くじを引かせるか、虎視眈々と狙い、そして狙わされる空間。

時代の移り変わりの中で存在の是非が問われるこの組織の日常、歪み、そして人間関係を、この作品は時に淡々と、時に強い意志をもって描いています。
これが正しいのかそれとも間違っているのか、それは読み手それぞれの判断に委ねられるかもしれません。でも確かなのは、そこで懸命に奮闘する人たちが必ずいる、と言う事。どうかこの物語のように、その人たちに僅かでも幸が訪れるのを祈るばかりです。

★★★ Excellent!!!

子供が小学校に通い出すと、いやおうもなく巻き込まれるPTA活動。そのPTA活動で行われる、あるイベントの顛末が描かれたストーリー。

PTAという独自の社会を扱ったところが、まず興味深かったです。ただ、子供が同い年というだけの保護者の集団で、何か一つのことをやらなきゃいけない。そこでの人間関係、当然ドロドロするでしょう。そこらへんの雰囲気がリアリティをもって伝わってきます。

短編集と書いてありますが、今のところはまだ一遍。今後の続編に期待しています!

★★★ Excellent!!!

最新第一話の『「音楽の森であそぼう」コンサート』を読みました。
やめるつもりだったPTAを引き留められ、役員に選出されてしまった上に、演奏会の企画まで押しつけられた主人公を描いた短編小説です。

周囲からまったく期待されず、メンバーの士気が落ち、互いに足を引っ張り合うような機能不全に陥った組織の中で、小さなプロジェクトの成功に向けて孤軍奮闘する――そんな熱い人間ドラマ・サクセスストーリーを、PTAというテーマで読めるとは思いも寄りませんでした。
最近は共働きの家庭が非常に増えて、以前にも増してPTAの運営が成り立たなくなっていると聞きますので、これは十分ありえる現実なのでしょうね。

また、作者の得意分野である演奏会の描写がリアルでとても美しく、緊張感溢れるストーリーの中でいいアクセントになっているのもよかったです。

短編集ということで、この主人公が登場するのは今回限りかもしれませんが、その後、周囲を巻き込みながら組織改革していくストーリーも読んでみたいと思いました。

とても面白いので、ぜひ読んでみてください。