第12話 雷奈の逆襲! 憤怒の拳!
「くらえ!」
白イタチが今にも撃ち放たんとしているギロチンのように巨大な刃を見た
(くっ……まずい……あんなの受け切れない)
だがその刹那、飛び上がった白イタチの足元に光り輝く小石が数個投げ込まれたのを視界に捉え、
それを投げ込んだのが誰かなど確認するまでもない。
「で……でかしたわよ!
そう。
白イタチが
燃え盛る炎の柱は上空の白イタチにまで達する。
「ぐおおおおおっ!」
突如として地面から噴き上がる
自慢のギロチンは消失し、白イタチは地面に転げ落ちてのたうちまわった。
白い毛並みが真っ黒に焼け、焦げ臭いニオイが辺りに広まる。
「ぐあっ!」
「この機会をずっと待っていたのよ」
そう言って白イタチを
「よくもやってくれたわね。このイタチ野郎!」
護符を握りしめた右の拳を突き下ろし、
「ぐはっ!」
白イタチはあまりの苦痛に目を剥いたが、こんなものでは
「
突然現れた漆黒の鬼に体の自由を奪われ、白イタチは仰天して上ずった声を上げた。
「なっ……何だ?」
必死に身じろぎするが、圧倒的な力が白イタチの体の自由を奪い去る。
「な、何て馬鹿力だ……」
白イタチは信じられないといった表情で
これに構わず
「ぐあああああああああああっ!」
あまりの激痛に悲鳴を上げ、白イタチはあっという間に気を失ってぐったりと頭を垂れた。
相手の妖気がすっかり消え去るのを確認してもなお、
「何よ。
「
戦いの熱は
「そのくらいにしておけよ。
「でも、まだ油断できない」
「もうヤツに力は残ってないさ。
そう言って突然、
「な、なに?」
意外に力強い
彼女の背後では
「大丈夫だ。首もとや動脈近くは切れてない。出血もそんなにひどくはないから安心しろ」
「そ、そう。よかった」
見ると両腕と両足にそれぞれ各数ヶ所の切り傷があり出血はしていたが、
ようやく興奮状態から醒めた
漆黒の大鬼は抱えていた白イタチを放り出すと、地面の中へと消えていった。
「攻撃は手強かったけど、細身の体だし防御は大したことなかったわね。このイタチ」
そう言って
「
この刻印は至近距離からでないと打刻できず、そのためにはこのように相手を無力化する必要がある。
「前科持ちだ。しかも脱獄犯。脱獄後からの累積でさらに45万イービル分の罪を犯してる。罪状はすべて妖魔の殺害。件数からいって殺しの専門家だな」
それを見ると
「45万? やったぁ! 超お釣りがくるじゃん」
そんな彼女の様子に苦笑を浮かべながらも、とりあえず事件解決への大きな手がかりとなるであろう容疑者を確保出来たのは
だが、そんな彼の目の前をふいに黒い何かが横切った。
「ん?」
頭上から彼の足元にゆっくりと舞い降りたそれは、カラスのものと思しき黒い羽だった。
顔を上げて
「な、何だ?」
無数の黒い羽が空から舞い降りる。
乱舞という言葉がふさわしいその奇妙な光景に、
「鳥の羽?」
「上空に何かいます!」
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