第14話 剛腕無双! 巫女の鉄拳!
港湾労働者たちの多くが帰路につき、人の気配も少なくなった路地裏を
それは
今、二人は数日前に依頼された仕事の真っ最中だった。
この近辺では最近、不審なボヤ騒ぎが続いているのだが、漏電や放火の痕跡も見られず原因を特定できないために
それを彼女がこの二人に依頼したのが数日前のことだった。
二人が現場に入るとすぐに目に見える異変が生じた。
「
地上から10メートルほどの空中に青白い光が
そして息つく間もなく、地面から鋭い光が空に向かって立ち上り、光の
すると化学反応を起こしたかのように火花とともに青い稲光がバチバチッと空中で炸裂した。
そして
上空に現れたのは一体の妖魔だった。
それは四足歩行のイタチやタヌキのような獣だが、大きさは牛ほどもある。
「雷獣ね。不審火の原因はこいつらってわけか」
「俺らが退治しにきたことに勘付いたんだろう。自らお出ましとは手間が省けたな」
青い閃光をその身に
二人の間の地面をまさに落雷のような勢いで青い閃光が襲った。
「うわっ!」
思った以上の衝撃に
それは千円札ほどの大きさの白い紙に赤い字で何やら呪文が書かれた護符だった。
バスハウスで
それを拳の中に握り込むと、
「消滅しなさい。このカミナリネズミ!」
雷獣は本能的に身の危険を察知し、振り向きざまに標的と定めた
触れたら感電しそうなほど青白くきらびやかな光を
だが、
「グィィィィッ!」
殴りつけられた雷獣はくぐもった悲鳴を残して大きく吹き飛び、鋼鉄のコンテナボックスにぶち当たると、青い火花を散らして跡形も無く霧散した。
握り締めた護符は雷獣との激しい衝突に焼け
一撃で敵を葬り去った
「相変わらず見事な腕前だな」
「有段者だもの。このくらい当然よ。私、霊能力者じゃなかったら女流空手家になる予定だったんだから」
「それもう20回くらい聞いたよ」
そう言う
幼少の頃より空手を習得し、小学校と中学校時代は全国大会にも出場するほどの腕前であった
そう。
極端に霊力の少ない彼女だったが
「それにしてもあっけないな。まあ
「Eランクの仕事程度に使ってたまるもんですか」
だが事態はそう簡単には片付かなかった。
それに呼応するかのように、再び空中に青白い稲光が
「くっ!」
そのあまりの
だが、その一瞬後に周囲を見渡すと、そこには再び先ほどと同じ青い輝きを放つ雷獣が姿を現していた。
しかもその数は10体にも及び、
「まだいたのか。数が多いな」
「面白いじゃない。護符はたっぷり用意してあるし、さっきの一発で体がウズウズしてきちゃった。まだ暴れ足りないのよ」
そう言うと
その表情が闘志をたたえて燃えたぎる。
「少し派手に暴れるから
飛び込んできた獲物を骨の
だが、
繰り出す右の拳で雷獣の腹を突き破らんばかりにえぐる。
切り返す左の拳で別の雷獣の顔面を容赦なく殴り飛ばす。
その度に青白い閃光が炸裂し、辺りを
鋭い一撃を食らった雷獣は一体、また一体とその数を減らしていく。
倉庫の影へと身を潜ませ、
「うはぁ……妖魔を殴ってるときのアイツはマジでイキイキしてるな」
だが事はそう簡単には運ばなかった。
接近は危険だと察知した数体の雷獣は上空に舞い上がると、口から青い光を吐き出した。
それは青光りする幾すじもの落雷と化して、地上の
「くっ!」
さすがに避けきれず、
稲光は
だが、落雷は止むことが無く、度重なる雷撃に護符の数は一枚また一枚と消耗して焼き切れていく。
「ああもうっ! しつこいっ!」
歯を食いしばりながら
彼女が投げたそれは丸っこい小石であり、赤や緑などの鮮やかな色をしていた。
「とっとと消え去りなさい!」
打ち上げられたスイカほどの大きさの火球は、宙に浮かぶ雷獣を次々と撃墜していく。
火球の直撃を受けた雷獣たちは短い悲鳴を上げて地面へと墜落した。
「くたばれぇぇぇぇぇぇっ!」
残った護符を握りしめると、獲物との距離を一気に詰めるチーターのように低い姿勢で
そして地面に墜落してあえぐ雷獣に次々と拳を叩きつけた。
全身から青い閃光を放ちながら断末魔の悲鳴を上げて雷獣は全て
「イエスッ! 楽勝!」
まるでスポーツの試合に快勝した選手のように清々しい顔で
勝利の快感に雄たけびを上げようとした彼女だったが、嬉々として
空気を切り裂くような鋭い雷鳴が耳をつんざき、天空から舞い降りた青い稲光が
「きゃあっ!」
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