バレンタイン編⑥ 相手をドキドキさせるチョコの作り方!

 そして、2月14日、バレンタインデー当日。


「ちゅっ……♪ んぱぁ、くぷぷ……♪ ぬぷん、ぬぷん……♪ お姉さま、ずっと、お慕いしてましたぁ……♪」


「ふうぅ、むちゅぅぅ……っ♪ 嬉しい……貴女の気持ち♪」


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」では、今日に限り、お客様の手作りチョコ持ち込みOK。

 あちこちのテーブルで、乙女たちが百合キスしながら告白……。


「ふふっ、今年も大盛況ね」


 自分もお嬢様たちへ、チョコパフェやチョコムースの口移ししながら、金髪巨乳メイドのリズさんがにっこり微笑む。

 ちゅぱちゅぱ百合キス会場と化したお店に、由理ゆーりはほんのり赤くなりながら、


「いつも通りというか、いつも以上というか……」


「ちゅぅぅっ♪ ちゅぷっ、ちゅぱぁ……っ♪」


 今日の百合メイド喫茶は、店中が唇の重なるリップ音でいっぱいだ!


「う、うるさっ!? ていうか、えっちな音がいっぱいでぇぇぇ!?」


 変な気分になってきちゃう由理を、誰も責められない。


 と、そこへウキウキした様子の季紗きさがやって来る。


「ふぁぁぁ、愛のハーモニーだね。聞いてるだけで幸せだよぅ♪」


 女の子同士のキスする音に、切ない吐息に、甘ったるい声に……。

 レズレズ季紗の耳には、聖なる教会音楽みたいに清らかに聞こえてるらしい。


「ふふっ、ところで由理? さっそくだけどぉ……」


 さらさらロングヘアーに清楚な容姿の美少女メイド季紗、カラダをくねくねさせて羞じらいながら、


「リズさんも、美緒奈みおなちゃんも! さっそく私たちも、本命チョコの口移ししようよ♪」


「いや仕事中……」


 店主マスターとおるお姉さんの声は、ぴちゃぴちゃ奏でられる百合接吻音に掻き消されて、由理たちには届かなかった。


「ぴちゃんっ♪ くちゅぅぅぅっ♪」


 さてさて。

 まずは東宮ひがしみや季紗、桃色の包み紙にレースのリボンで可愛らしくラッピングしたチョコレートを。

 小ぶりで愛くるしい、自分のお口に含む。もはやお約束。


「ふふっ……さあ、私の……味わってね?」


 おピンクな発情ハートマークを瞳に浮かべて、季紗がえっちに微笑む。

 唾液で溶かしたチョコを口に含んだまま、3人へ……。


「……ちゅっ♪ ぢゅぅぅ、むるぅぅ♪」


 甘々チョコレートの、直接口移しをした。


「ちゅぁっ、るぷんっ♪ ぬぶ、むぶぅ……んくっ、ふぅぅ……♪」


「ぢゅばぁ、ちゅぷっ! んん……んむ、ちゅぅぅぅ……♪ ん、ば、ばかぁ……こんな、唾液流し込まれたらぁ……♪ 甘くて、おかしくなるぅ……♪」


「ふぁっ、はぁ……はぁ……♪ にゅちゅ……舌ぁ……♪ 季紗姉の舌、美味しひ……♪」


「唾液、んっ、唾液ぃぃ……♪ 季紗の唾液とミルクチョコが最適な比率で混ざり合って、本場ベルギーのショコラティエもびっくりの美味しさよ♪」


 普段はリズさんがいるのでお店ではやらないけど、季紗も料理は得意。

 変態であること以外はパーフェクト美少女である季紗の、お手製チョコの美味しさに、由理たちも大満足の様子だ。


 ぽっと頬を赤らめながら、由理が感想を。


「ん、美味しい。季紗こそ変なモノ入れそうだけど……は、入ってないよね?」


 恐々こわごわ尋ねる由理に、美緒奈とリズも同意。


「ね。媚薬とか……血とか、髪の毛とか?」


「惚れ薬の材料みたいね……」


 季紗にだったら盛られてもいい♪という表情の百合メイドたちだけど、さすがの彼女も抗議。


「も、もうっ。みんなの中で、私ってどんなイメージなの?」


 エロ乙女で変態さんのイメージです……と、3人の心は一つになったけど、優しいから言わない。

 季紗は唇を尖らせて、


「普通の材料しか、使ってないってば。……ちょっと、特別な作り方はしたけどね。ふふっ♪」


 意味深な笑顔を浮かべる季紗。

 怖がる由理たちへ、ハァハァ恍惚の表情で。


「えっとね、今年のバレンタインチョコは……全裸で作ったんだよ♪」


「なにやってるのホントぉぉ!」


 ツッコむ由理だけど、季紗が、スーパー美人な女子高生が素っ裸でチョコを作るのを想像して……鼻血がたらり。


「……ちっ、違うのぉ!? これは、チョコを食べ過ぎただけでぇ!?」


「ふふっ♪ 由理ったら、私の裸を妄想して、ドキドキしてくれたのね♪ パンツも穿かずに作って良かったよぅ♪」


 ……家で、全裸で作ってきたのであって、今はメイド服着てますよ?

 とにかく季紗、由理が興奮(本人はチョコのせいと弁明)しちゃったのが嬉しくて、ちゅっちゅ。


「ふふー、今夜は、私を食べちゃっても良いのよ? ……ちゅっ♪」


「ふぁぁ、なんで……鼻血が止まらないのぉ……?」


 由理にとっての、季紗のチョコは……血の味の思い出になっちゃいました。


 ちなみに美緒奈とリズの感想は。


「す、すっげー……さすが季紗姉。あたしたちには思いつかないことを、平然とやってのける! そこに痺れる、憧れるぅ♪」


「うぅーん……。裸でチョコ作るのって、熱いの跳ねたり危なくないかしら? せめてエプロンだけは付けた方が?」


 この乙女たち、来年は皆、裸エプロンでチョコを作るかも?

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