鬼は外、百合は内。

「悪い子はいねがぁぁぁぁぁ!!」


美緒奈みおなちゃんそれ違う」


 今日は節分、豆まきの日。

 美緒奈と季紗きさが露出度高い虎柄ビキニで、鬼さん役です。


「こ、こんな可愛い鬼さんなら、むしろいてほしいな、なんて……」


 きゅんきゅんしてるのはリズさんだけではないけど、とにかく今日の百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」では、豆まきのイベント開催。

 角のカチューシャ付けた美少女鬼の季紗が、妖しく唇をなぞる。


「ふふ、お嬢様たちを、さらっちゃいますよー♪ 鬼ヶ島へ連れ帰って、私の嫁にするのだ♪」


 きゃーきゃー言ってる……むしろ連れ去られたく見えるお客様たちへ、美緒奈もウインク。


「えへへぇ、美緒奈たちは、百合キスしてくれないと、追い出せないからね?」


 かくして、鬼さんたちを追い出すための百合キス大会が始まった。……豆どこ行った。

 季紗の家のメイドさんで常連客の、白髪ロリ、上代かみしろふぶきが先陣を切る。


「キスで浄化して鬼さんをはらうですね分かりますっ! でわでわ季紗お嬢様、いえエッチな格好で私たちを惑わす悪い鬼め! ふぶきが成敗のキスをするですよっ♪」


「ちゅっ♪ んあぅ……むぅぅ♪ ふふ、私たちは、この程度じゃ逃げてやらないぞ♪」


 というわけで、もっともっと百合キスしてね!と誘う季紗&美緒奈へ、お嬢様たちが口づけの雨を降らせる。


「ちゅっ♪ んんっ、くぷぅ♪ む……むぅ、ふぷん♪ ちゅぱぁ、ずぷっ♪」


「じゅぽ、じゅぽ……ずぶぁ♪ んぐっ……ふぅぅぅっ♪」


 女の子たくさん集まって、百合キス、キス、キス、キス。

 甘い吐息が、唾液が、冬の百合メイド喫茶内を彩る……。


「ふぁぁ……♪ もう、べとべとぉ……♪」


「にはぁ……こ、これであたしたちも、お嬢様たちも……1年幸せ、だね♪」


 唾液でどろどろ(美少女のなので汚くない)、うっとりしながら、えっちな百合鬼さんたちは、瞳を蕩けさせるのでした。


「ふふ、鬼さんたち? ふぶきたちは、まだまだ許してあげないですよ♪ ……ちゅぅぅぅ♪」


「んぷぅ、ちゅぁ……ふぁぁ……♪ だめぇ、鬼の方が……食べられちゃうぅ……♪」


 唇と唇が重なるリップ音に、淫猥な水音……。

 煩悩まみれな百合メイド喫茶の節分を初めて目にして、メイド服姿の由理ゆーりが赤くなる。


「ま、またえっちなイベントね……。私、鬼担当じゃなくて良かった」


 そういう由理は、リズさんといっしょに、お豆の口移し担当。

 節分の豆まき後は、年齢の数だけお豆を食べるという風習が有るのだ。


「ってこっちも百合キスか!」


 百合メイド喫茶なのでしかたない。

 リズさんが、店主マスターの親友でOGのお姉さん、裏沢うらさわ遥香はるか女史へ二十数回、接吻。


「ちゅぱっ、ぷちゅぅ♪ むぷぅ、んぷっ♪ ふふ、一粒一粒、お豆さんを口移しですわ♪ お年の数だけ、ね。ちゅっぷん♪」


 小さなお豆を、ひとつひとつ心を込めて。福が来ますようにと、祈りながら。

 たっぷり唾液といっしょに口移し。ディープな百合キスだ。


「ふぁん、ちゅぶぅ♪ ぢゅぷ、ぢゅくぅん♪ ふぁ、私大人で良かったぁ。リズちゃんといっぱいキスできるぅ……♪」


 ちなみにメイドさん一人につき年齢の数、百合キスしてくれるので、4、5人のメイドに頼めば、100回はキスできることになる。節分は特別に無料だ!


 さて由理も、常連の中学生、円美まるみお嬢様に熱い視線を向けられて。


「ううっ……円美はまだ中学生ですので……15回しかお姉さまとキス出来ませんわ……」


 泣きそうなお嬢様へ、由理は照れ照れしながら、お豆をくわえる。


「ふふっ……♪ じゃあ円美お嬢様だけ特別……年齢詐称OKですよ。……ちゅっ♪」


「ふぁぁ♪ で、では円美は、100歳ということで♪ ……ちゅっ♪」


 由理、やっぱり未来の後輩が可愛いので、特別に100回口移ししてしまいました。


 カラダ中キスマークの鬼さん……季紗が、羨ましそうに見てた。

 美緒奈が察して叫ぶ。


「季紗姉ってば、『女の子のお豆食べたい♪』とか考えてるんでしょ! えっち、季紗姉のえっち!!」


「ふぇぇ無実だよぅ!? う、ううん、食べたいけど♪」


 察してなかったけど、とにかく今度は、鬼さん同士で抱き合って、ちゅぱちゅぱ百合キス……。

 追い払うべき鬼も受け入れて、百合で幸せにする……「リトル・ガーデン」の節分は、とっても懐が深い。


「ちゅっ♪ んぐ、ずぷぬ……るぱぁ、ぷちゅん♪ ふぁぁ……百合キスすると、幸せになれるね美緒奈ちゃん♪」


「ちゅぱぁ、や、ああんっ♪ 季紗姉ったら、ん、脱がせちゃだめぇ♪ ビキニ、だけなんだからぁっ」


 百合メイド喫茶のあちこちで、メイドとお客様、お客様同士にメイド同士で、口づけの饗宴。


「あんっ、くぅぅっ♪ ちゅ、ちゅぅぅ……っ♪」


「ちゅぱぁ、ちゅ……ちゅ……ふぷぅっ♪」


 ……100回の百合キスを終えた由理が、一瞬我に返って羞じらう。


「うん……ふーぞくだね」


 とくに季紗と美緒奈はすごい……。

 赤くなって視線を逸らす由理の手を、でもリズさんが握って。


「ふふ、けど……可愛いでしょ?」


「え、えと……そう思うようになっちゃってる自分が怖いんだけど……」


 百合キスは、可愛く美しい。

 心から認めちゃった由理は、照れながら頷いて、リズさんと唇を重ねた。


 節分は、百合キスで。百合キスすれば、万福招来。

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