雪解け、百合繚乱。

 東京の大雪も、あらかた溶けて。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、今日は通常営業です。


「ちゅっ、んむ♪ にひひ、美緒奈みおな様とキスできなくて、寂しかったかー、由理ゆーり♪」


 ツインテールロリメイドの美緒奈みおな、久々(2日ぶり)の、由理との接吻くちづけ。とても久々。


「むぷっ♪ ちゅ、ふ……♪ べ、別にー?」


 セミロングのツンデレメイド由理、ここはツンツン。百合キスしながらだけど。

 そんな由理を、こちらは百合キスに飢えた季紗きさが押し倒して、


「ふふ、私は、由理とキスしたくてしたくて、腹ペコ狼さんだったよ? なので頂いちゃいまーす♪ ちゅっ、んーぷ、ちゅぱぁ♪」


「ふぷぅ、んちゅう♪ こ、こら季紗、がっつき過ぎぃ♪ ちゅぷん♪」


 由理に抱き付き、桃みたいな甘い香りのカラダを擦り寄せてくる、ロングヘアー清楚系メイドの季紗。


「季紗ねえずるい。あたしがキスしてたのにー!」


「だって飢えてたんだよぅ。えへへ……♪ あ、もちろん美緒奈ちゃんともキスしたいなー♪」


「もー、季紗姉ってば、よくじょーし過ぎ。しょうがねーな♪ ちゅっ♪」


「んふ、ちゅぽっ♪ るぷっ、るちゅっ♪」


 美緒奈と季紗と、由理も入れて3人でイチャイチャイチャ……。


「よーし、今日もお嬢様たちといっぱい百合キスしよ♪」


 季紗の言葉に、金髪縦ロールの巨乳メイド、リズさんもにっこり。


「ふふ、雪の後だからかしら。みんな、やる気がみなぎってるわね!」


 そんなリズさんの唇にキスしながら、こちらは非常勤の百合メイドたち……茶髪ショートの宮野りりなと黒髪ロングの早乙女早百合。


「ええ、早くお仕事(百合キス)したかったんですよ! うちの方もすっごく雪積もって……家で早百合さゆりとキスするしかやることなかったし。だよね、早百合?」


「ふふ、私は満足だけど。りりなが、皆さんともキスしたくて仕方ないみたいですから……覚悟してくださいね、リズさん♪ ちゅっ♪」


「んぷぅ……♪」


 高校1年の二人にちゅっちゅぷ唇を吸われるリズさんであった。


 さて、今日は百合メイド、フルメンバー勢ぞろい。

 中学生なので研修中、困り眉が可愛い百合メイド見習いの前園円美まるみも、頬を染めて由理へ抱きつく。


「お姉さまぁ! 円美……円美は、この日を待ちわびてましたの。いっぱい、いっっぱいキスしてくださいね♪」


 ずっと待ち焦がれてた(2日ぶり)由理とのキスに、泣いて喜んでる円美……愛されて、由理もデレながら、


「も、もぅっ、大げさなんだから……♪ ……ちゅうっ、ん、るぶっ♪」


 後輩へと、たっぷり濃密に、舌を絡め合わせた。


「んぷっ♪ 私たちもがんばろーな、粧子しょうこさん? ちゅっ♪」


「ええ、常勤の子にだって……女の子大好きさでは負けないんだから! ちゅっ、んぶふぅ♪」


 週1くらいのシフトの非常勤メイド……褐色肌の内山凛夏りんかと、学年はリズと同じ3年、大人っぽい外川粧子しょうこ

 彼女たちも、一週間という大きな空白ブランクを埋めるべく、百合キスに一生懸命だ。


「んぷっ、ちゅ、ちゅぱっ♪ ……ふぅっ、ちゅ……ぅん♪ 良かった、久しぶりでも、みんな元気そうね」


 健康状態のチェックという名目(季紗発案)で、百合メイド全員で、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……。

 しばらくぶりの百合営業にも気合いばっちり、変わらない仲間たちの姿に、由理は安心する。


 けれど、


「……久しぶりて。先輩たち、一昨日キスしたばかりじゃないですか」


 つり目に真っ直ぐロングの小柄な後輩メイド、たつみ千歌流ちかるちゃん、残雪みたいに冷たい目を……。


「先輩たちは、毎日キスしないと死ぬんですか。……えっち」


 後輩にツッコまれて由理、


「あれ!? 私もいつの間にか、ツッコまれる側になってるぅぅ!?」


 ……由理も末期症状のようですね。

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