お姉さまになろう①
そんな後輩が、生徒会室にて
「ごめんね、千歌流ちゃん。うちのクラスのメイド喫茶、手伝ってもらっちゃって」
クラスの出し物の写真……友達たちがメイドさんな写真を見て、にこにこな季紗へ。
千歌流はこの前の学園祭を思い出し、かぁぁっと赤くなる。
「そ、その、私、初体験で……。恥ずかしかったけど、でも気持ち良かったです……♪」
「メイド体験の話だよね?」
アルバイトをやってない千歌流にとって、接客業は初めて。
でも、お客様をもてなすのは悪い気分じゃなかった。
「それより副会長! 副会長が本物のメイド喫茶でバイトしてるって話! あれは本当ですか!?」
瞳がキラキラするのを自覚しつつ、千歌流は質問。
うぐ、と言葉を詰まらせる季紗の手を握って、
「み、見たいです、先輩のメイド姿♪ 学園祭だとちょっとしか見られなかったし……」
「えと、その……。わ、私のバイト姿なんて、そんなたいしたものじゃないよ?」
目を泳がせる季紗だけど、千歌流の追及は止まない。
「素敵です
要約すると、憧れの季紗のメイド姿をもっと見たい。
あわよくば「ふふ、お嬢様? ほっぺたにクリーム着いてますわ。ハンカチで拭き拭き♪」とかしてほしい……という千歌流の欲望。
「こ、これは社会勉強なんです!? 下心なんて無くてですね、私、副会長を尊敬してますので! 憧れの人が、どんなバイトしてるのか興味がありましてですね!?」
千歌流にもツンデレの素質?
素直じゃない言い訳しつつ、先輩のお店行ってみたいアピールする少女へ。
季紗は少し考え込む。
「……千歌流ちゃん、素質有りそうだし。
「先輩……?」
何やら思案顔でつぶやいてる季紗の手を、千歌流握ったまま。
(わぁ、先輩の手、すべすべ……♪)
なんて興奮していると。
「……ねえ、千歌流ちゃん。女の子同士って、どう思う?」
恥ずかしそうな季紗に、そんなことを聞かれた。
「女の子同士、ですか。それって、どういう……」
質問の意図が分からず首を傾げる千歌流。
季紗は羞じらいを深くしながら、
「だ、だからね。その、お、女の子同士でこう手を握ったり……キ、キスしたり。千歌流ちゃんは、有りだと思う?」
チラチラこちらをうかがう季紗の表情。
微かな期待を込めた視線を受けて。
千歌流の頬が、だんだん赤くなる。
(こ、こ、これってまさか……告白!?)
「あ、有りですっ! もちろん有りですよ先輩! 女の子同士でも愛が有れば問題無いって言うか……」
季紗の手を握る指に力を込めて、グイグイ詰め寄る。
脳内では季紗との結婚式に初夜まで済ませた妄想済み!
「こ、子供は何人欲しいですか!? マイホームはやっぱり、陽のよく当たる家が良いですよね♪」
「ごめん、千歌流ちゃんが何を言ってるのかよく分からないけど……」
今度うちのお店見学するってことでOK?とたずねる季紗へ、勢いよく頷きながら千歌流は。
(お、お姉さまがメイド! メイド姿で私にご奉仕……!? ど、どうしよう頭撫でてくれたり、してくれるのかな!? そ、それどころか……)
「また来てくださいね、お嬢様?」って額にキスしてくれたり……いやいや、メイド喫茶だからってそんなお店あるわけない……ああっでも!と、色々妄想して、期待に、平らかな胸を膨らませるのだった。
※ ※ ※
そして、日曜日。
精いっぱいおめかしして、「リトル・ガーデン」へご来店の千歌流は。
「……ちゅっ♪ んむぅ、ぐちゅ♪ 由理お姉さま、今日も
「ぐぷっ、ちゅぶぬ。は、はい、お嬢様がお望みでしたら……は、恥ずかしいですけど♪」
「だ、だめぇ、るんちゃん♪ 胸ばっかり揉まないでぇ♪」
「だってリズさんの乳触らないと、一週間が始まらないんだもん! すりすり♪」
そんな百合世界を目撃して、叫んだ。
「ふ、ふーぞくだ、これぇぇぇぇぇぇ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます