学園祭編⑤ 

 少し前の時間。


 生徒会副会長兼、風紀委員長でもある季紗きさは、見回りを終えて、これからクラスでメイド接客の予定。


 なのだけど、その前に。


「よく晴れてるからかな。学校中歩いてたら、けっこう汗かいちゃった……」


「そうね、ちょっとべとべとかも」


 手伝いの由理ゆーりと2人、運動部のシャワー室を借りて、裸です。


 狭いシャワー室で、密着して汗を流し合う女の子。

 学園祭の賑やかな音が、シャワーより大きく聞こえる中で、全裸という……お店のお風呂とは違う背徳感に、由理はキスしたくなって、


「しないからね?」


「ええっ、しないの? しようよ百合キス! 学校でぜんぶ脱いで百合キスなんて、めったに出来ないよ♪」


 けっきょく季紗に押し切られた。

 ちゅぷ、ぴちゃ、ぴちゃ。ちゅぷん、ぴちゃぁ……。


 シャワーより激しく水音立てて、唾液のぬかるみを舌で吸い合う。

 淫靡な百合キスのコーラス……。


「ま、待って、季紗。もう、限界……」


「ちゅむぅ、んぷぅ♪ ずぷぐ、んむ。お店で、いつももっとしてるのに……?」


 まだ口内粘膜の交換をし足りない表情の季紗を、由理が止める。


「わ、私もまだしたいけど……あわわ、じゃなくて!?」


 もうすぐ、クラスの出し物……メイド喫茶の、担当の時間だよ、と告げるのだった。


 ※ ※ ※


 シャワールームで裸の時間を過ごした後は、もちろん下着タイムです。


 カラダをバスタオルで拭いている途中で、まだ全裸の季紗。

 由理の下着姿に、あっと声を上げる。


「由理、そのブラとパンツ……!」


「ん、前に季紗達が買ってくれたやつよ」


 お店に慣れ始めた由理を、百合メイドたち皆でランジェリーショップに連れて行って。

 下着を交換したり、くんかくんかしたりしながら、プレゼントした物である。


 由理によく似合う、淡いブルーで上品な雰囲気の下着。


「あ、あんまり見るなってば。……恥ずかしいじゃない」


 照れ照れ恥ずかしがる由理に、季紗は嬉しそうな顔。


「そっかぁ。由理ってば、勝負下着にしてくれてるんだ♪」


「勝負下着いうなっての、ばか」


 季紗の頭へ、軽くチョップのふり。

 やぁん、と喜ぶ季紗へ、由理は照れ隠しに頬をかきながら、


「……まあ、でも、気に入ってるのは本当よ。季紗達が選んでくれたからかな。季紗も、リズさんも、美緒奈みおなも、皆がいっしょにいてくれるみたいで、勇気が出るっていうか……」


 恥ずかしいセリフだね、と赤くなる由理だけど。

 季紗は微笑んで、


「ふふ、そういうこと、素直に言える由理は素敵だと思う」


 私は、学校だと自分を隠してるから。

 正直な由理が、ちょっと眩しいな、と、季紗はつぶやいた。


「よし、私も、学校でももっと自分を出してみる! まずはありのままの私を見て♪」


 はらりとバスタオルを取る痴女スタイルで全裸の季紗!


「なんでそうなるの!? いいからパンツ穿きなさいよぉぉぉ!」


 裸の季紗を、下着姿の由理が止めようとして押し倒す格好!


 ……それを、呼びに来たクラスメートに見られた。


「……あの、委員長に西城さいじょうさん。お邪魔だった?」


「……ごめんね。えっちなことしてたわけじゃないよって言ったら、信じてくれる?」


 季紗の裸の胸を触ったままの由理が、クラスメートに聞くと。

 彼女は、無言で首を横に振った。


 ※ ※ ※


 さて、メイド服に着替えて、由理と季紗は教室へ。

 しばらくは百合キスも口移しも無い、普通のメイド喫茶をやっていると……。


「げ、美緒奈……ホントに来たか」


「由理お姉さまぁ♪ 貴女の愛しの美緒奈が、会いに来ましたわ♪」

 

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