ときめきハロウィン週間⑧ 変わり続けるもの。

「……」


 2人きりの、更衣室。

 包帯がほどけて裸な季紗きさが、メイド服の由理ゆーりに押し倒され百合キスされる。


 びっくりした顔で少女達が見つめ合うのは、いつかの学校での、ファーストキスの焼き直しの光景。

 百合の女神さまが偶然に起こした、いたずらな事故チュウだ。


「……ちろり」


「……むぷぅ!?」


 季紗は前みたいに、由理のお口の中へ、舌を挿れてみる。

 初めての時は、由理がびっくりして、逃げた。


「……るちゅぅぅ? んぷぅ」


 でも、今度は。

 季紗の方が、ドキドキしてる。


(由理、逃げちゃうかな。それとも、恥ずかしがるのかな?)


 拒絶は……されないよね?

 不安な気持ちが、胸をチクリ。


 最近、由理ってば百合キスへ積極的になってきたと思う。

 嬉しい反面、今までの関係が変わるのが、怖く思えてしまったり。

 「えっちな季紗なんて嫌い! 美緒奈みおな、リズさん、私達だけで百合キスしましょ?」なんて、言われたら?


「るぷっ、ぬぷぅぅ……。るふ……」


 たどたどしく舌挿れしながら(はた目には充分淫靡)、季紗が肩を震わせていると。


「……ぬるり」


 由理の方からも、舌を挿れ返してきた。


「ちゅぶ!? ぬるぅ♪」


 季紗、びっくり。

 間近に見る由理の顔はというと、百合キスに羞じらいながらも……季紗に負けず劣らず、ドキドキ乙女のそれだった。


「ちゅぷぅ♪ ぬるぅ、ずっぷ、ずっぷ♪ ぬるふぅ……んむぅ、るぷぅ♪」


「びちゅぅ、じゅっぷ!? ずぶ、ずぷ……。ぬむぅぅぅ……♪」


 もう、とっくに。

 受け入れて、くれてる。


 星の数、言葉を並べるよりも雄弁に、唇は……伝えてくれる。


(……ばか。季紗のコト、拒絶するわけないでしょ。私も、百合キス大好きなんだから……)


(ふわわぁ……。す、すごい奥までぇ、由理の舌が私の中に、入ってくるぅぅ♪)


 ずぷ、じゅっぷ……ずぷ、ぬぷん。


「ふぁっ……んくぅ♪ ぷはぁ、ぴちゅ……れろぉ、れちゅぉ……♪」


「べろぉ、ぢゅるり……♪ ぢゅる……ぢゅる……♪」


 メイド服の由理のカラダの下で、季紗の裸な柔肌が、ほんのり色づく。

 更衣室の床で、2人愛の抱擁を交わして、舌を奏で合う。


 ……熱くて、甘くて。どっちの舌か分からなくなるまで、陶酔して……。


 ※ ※ ※


「す、すっごい、ハードな百合キスしちゃった……♪」


 開店時間が近付いて、他の百合メイド達の声が、部屋の外でし始める。


 我に返った季紗は、口づけの感触を思い出しながら、うっとり。

 包帯ほどけて、全裸のまま。もじもじしつつ、由理をちらり。


「で、でも……美味しかったよ。また……したいな」


 やっぱり私、百合キス大好き。

 由理とちゅっちゅするのが、大好き。

 そんな想いを、季紗が噛み締めていると。


「……ばか」


 乱れたメイド服を直しながら、由理が照れて。


「き、季紗がしたいなら。いつでもキスしてあげるんだから」


 頬は赤いまま、ちょっぴり怒った顔で。


「……てゆーか。季紗が嫌がっても、私がキスするから。覚悟してよね?」


「ぶほぁぁぁ!?」


 季紗、萌えすぎてヨダレ噴いた。


「い、今の! もう一回言って!? もっとツンデレ風味で!?」


「ば、ばかぁ!? 言わない、言わないんだからぁ!?」


 もちろん今度は、季紗が由理を押し倒して、チュウ。


 いちゃいちゃ、ちゅっちゅしながら、季紗は思う。


(そっか……。変わるのって、悪くないのかも)


 変わり続ける関係、新しい百合キス……その味を、今は唇で思いっきり、味わうのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る