百合キスは世代(とき)を越えて③

「ぴちゅっ♪ ちゅぅ、んぷぅ。ふぅっ……く、ぁぅ……むぅ♪ るぷ、ぬちゅぅぅ……♪」


「んっ、ちゅぷぅぅ♪ んん、由理ゆーり……♪ そ、そうよ、そこが、気持ち良いのぉ……♪」


 今夜もぴちゃぴちゃ水音と、切ない吐息が聞こえる、「リトル・ガーデン」の浴室。

 シャワーに濡れた裸の肌を重ね、リズのお口の中、口腔の上の方まで舌で舐めすすってあげながら、由理は思い出す。


「……どうしてこうなった」


 ※ ※ ※


 2年前、日本にやって来たばかりのリズが、母と同じ名前の女性を探していた……その重要情報を店主マスターから聞いて。

 由理はさっそく、リズへ話を聞こうと思ったわけだけど。


 時刻は閉店後の夜。

 浴室からシャワー音と、リズの楽しげな鼻歌が聞こえたので、もしやと思ったら。


「リズさん、お風呂中かぁ……」


 お風呂のドアの擦りガラス越し、やたら扇情的な感じの、裸の女性のシルエットが影絵みたいに見える。

 脱衣所のカゴには、控えめなフリルが清楚な印象の、白い下着……ただしブラジャーのサイズは控えめではない。


 ここで由理の脳内選択肢!! 間違えたらデッドエンドです。


 その1。後輩として、お姉さまのお背中を流して差し上げましょう。

 つい胸を揉んじゃったり、百合キスに発展ハッテンしちゃうかもだけど……スキンシップだから問題ないよね?


 その2。西城さいじょう由理は淑女なので、えっちなのはダメだと思います。

 部屋に戻って、おとなしくリズさんがお風呂を出るのを待ちましょう。


 その3。西城由理は淑女(違う意味で)なので、リズさんの下着を……。


「却下! 3は却下だからぁ!!」


 現実は非情である。

 由理は、季紗きさみたいなことはしないのである。


「てかなによ、選択肢って。……女同士なんだし、気にすることないでしょ。普通に、お風呂いっしょに入るわよ」


 ツンデレ御用達の腕組みポーズで、その1の選択肢を選んだ!!

 桃色展開になるだろうことは分かってるくせに。


 そして、由理もメイド服を脱ぎ脱ぎ。

 胸のリボンをしゅるりと解いて、ヘッドドレスを外して。

 黒のメイド服が脱衣所の床にすとりと落ちる。


「い、いつも私がお風呂入ってると、リズさんも入ってくるんだし? 今日は順番が逆ってだけで……」


 小さなリボンがワンアクセントな、淡いグリーンのブラを外す。

 大きくはないけど、形の良い由理の胸が露わに。


「そ、そうよ。別に、意識することなんてっ。だからこれは、リズさんの裸のシルエット見てムラムラしたとか……そういうんじゃないんだからね。ぜったい、違うんだからね!?」


 脚を上げて、ショーツを脱ぐ。

 その間もずっと、自分を納得させるべく言い訳してる由理は、ツンデレのかがみです。


 そしてドキドキしながら、ごくっと息を飲んで……ドアノブに手を掛けて。

 ゆっくりと、開ける。


「ふぇぇ!? ゆ、由理? どうしたの、貴女からなんて、珍しい……」


 シャワー室の中には裸のリズさん。驚いて羞じらうのが可愛い。

 くびれのはっきりしたカラダに、柔らかな乳がシャワーのつぶてを弾く。

 長い金髪が輝くせいか、シャワー室が明るく映えるような美貌。エロい。


(うわ、リズさん綺麗……)


 思わず見惚れながら由理、


「え、えと。たまには背中流してあげよっかなって……」


 赤くなりながら申し出ると、リズの表情がぱぁっと明るさを増した。


「嬉しい……。ちょうど私も、由理とキスしたい気分だったの♪」


「……お風呂で百合キスは、前提なの?」


 そして、冒頭へ戻る。


 ※ ※ ※


「ぴちゃ、ちゅぱぁ……♪ んふぅ……ちゅぷ♪ ん、もっとぉ♪ もっと、百合キスぅ……♪」


 美少女の乳同士がむにゅむにゅ、柔らかなモノが密着する。

 カラダ中石鹸で濡れているので、肌を擦り寄せ合うのもスムーズ、とても気持ちいい。


「じゅぶっ♪ じゅぶぅ♪ じゅぱっ、じょぽぉ……♪」


 おっと! 言っておくけど、えっちなコトをしてるのではありませんよ?

 お風呂の中だから、全裸なのは当たり前。

 石鹸ぬるぬるなのも当たり前!


 ただちょっと、少しだけ、裸でカラダをすりすりし合って、舌を絡めあうフレンチキスしてるだけで……スキンシップが過剰気味なだけです!!


「んくぅぅ♪ じゅぶちゅぅぅ……♪ リ、リズさんっ……リズさん、私……もうっ♪」


「ちゅぷぅ♪ ちゅっ♪ ぬぷぅ、ちゅくっ♪ え、ええ由理♪ いっしょに、んあぁ♪ いっしょにぃぃ……♪ んっ! んぁ、あ、ぁぁぁぁぁっ……♪」


 ……私、何しに来たんだっけ?

 由理が忘れかけた頃、またお風呂のドアが開いて。


「あらー♪ 2人とも、お熱いわね……♪」


「わ、若いな、お前達……」


 遥香はるかお姉さんと、店主のとおるお姉さん。

 年上のお姉さん2人が、裸でお風呂に入って来た。

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