私の特等席。

「んっ……。ちゅぷ、ちゅく……。んむぅ、ふぅぅぅ……♪」


 ふかふかなベッドの上で、2人パジャマ姿で指を絡め、唇と唇を触れさせる。

 青い寝巻の由理ゆーりと、洋画のお姫さまみたいなシュミーズのリズ。

 半ば微睡まどろみながら、ベッドで百合キス中です。


 これは毎晩の光景。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」に住み込んで働く、女子高生メイド2人の、お休みのキスの光景である。


「ちゅぷ……ふぅぅ♪ んむぅ、ふぅー、ふぁぁ♪ これじゃ、寝られないよー♪」


 リズの舌が挿入はいってくるので。

 由理、なかなか寝られない。


 だったら一人で寝ればいいのに、とお思いの方も、いるかもだけど。


(む、無理無理! ベッドで毛布をどけたら、リズさんがわくわくした顔で待機してるんだよ!? ぎゅっと抱き締めてほしそうにさ!?)


 それをベッドから追い出せる女子がいるとしたら、鬼かノンケくらいだ。


「……あれ? 私はノンケじゃなかったっけ?」


 由理が細かいことを考え出したところに、リズが抱き付いてくる。

 柔らかい。どこがとは言わないけど。


「ふふ、やっぱり女同士で抱き合って寝るのって、柔らかくて安眠できそうよね。由理も、もっとぎゅってしていいのよ?」

「あ、安眠できる気がしなーい!?」


 ぷにっとしたのを押し付けられて、甘い吐息と、ミルクみたいな入浴剤の薫りが鼻に掛かって。

 夜が明けるまでキスしちゃうかも……と困ってみる、ノンケ(自称)の西城さいじょう由理さんでした。


 ※ ※ ※


 ……そして。

 キスし疲れたか、先に夢の世界に墜ちたのは、由理だった。


「んっ……。お母、さん……」


 幸せそうな寝顔。

 懐かしい夢でも、見ているのだろうか。


 同じベッドに金髪を垂らし、その寝顔を覗きながらリズが微笑む。


「……ふふ。いい夢見れてたら、私も嬉しいな」


 自分が母にしてもらっていたように、その豊かな胸へ、ぎゅっと。

 由理の頭を挟み込む。


「……んっ♪」


 柔らかたわわにサンドイッチされて、由理、気持ち良さそう。

 リズは、その乳に似ず幼げな顔立ちに、お姉さまな表情を浮かべて。

 青い瞳を細めた。


「お姉さんに、好きなだけ甘えていいのよ。ここは、貴女の特等席だから」


 リズさんの柔らかおっぱい。由理だけの、専用スイート枕……。


「……ちゅっ♪」


 おでこにキスされるのも、仕様です。

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