海百合の家へようこそ♪⑤ 君の刺激に病みつき。

 百合専用海の家でのお仕事も、そろそろお終い。

 水着姿でたっぷり百合キスした店内は、乙女の匂いでいっぱいだ。


「けっこう食べ物とか零れてるし。掃除が大変だわ、これ」


 青のビキニにヘッドドレスの由理ゆーり、散らかった店内にげんなり。

 「リトル・ガーデン」と比べると、お客の女の子も水着姿で大胆に百合キスするせいか、口移し時に色々零れるのかも。


 と、由理の鼻腔を、唐辛子の刺激的な匂いがくすぐった。


「なにサボってんのよ、美緒奈みおな?」


 見れば、美緒奈が焼きそばを食べている。

 赤毛のツインテールはいつも通り、白いワンピースの水着に、これまたヘッドドレスのロリ水着メイド。

 食べてる焼きそばは、なんだか赤い。


「サボってねーから。余るのもったいないからって、リズ姉が味付けしてくれたの!」


 ちゅるん、と焼きそばをすする。

 ソースの色が見えないくらいに唐辛子のパウダーをまぶして、そこにラー油も垂らした激辛仕様だ。


「んー、あたし好み♪ やっぱ夏は辛いものだよなー♪」

「うっわ、よく平気ね……」


 真っ赤な焼きそば、香辛料の香り。

 由理から見ると、すっごく辛そう。


 でも、


(……ちょっと、美味しそうかも)


 夏バテしたカラダに効きそうな、食欲をそそる匂い。

 美緒奈の言う通り、確かに夏は、辛いものが食べたくなる。


 由理は、ごくりと唾を飲んだ。


「……ねえ、美緒奈?」


 おずおずと申し出る。


「それ、美味しそうだよね。食べてみていい?」

「えー? 人の食べてる物がうまそーに見えるとか、由理は卑しんぼさんだなー♪」


 そうからかいつつも、美緒奈は。


「けどぉ、お子様な由理には刺激が強いだろーし。あたしの唾液で中和してやんよ♪」


 焼きそばを頬張ったと思えば、眼をつむりキス顔だ!


「や、やっぱり口移しなのね……」


 当ったり前じゃん♪と言いたげな美緒奈に、やれやれとため息を吐きつつ。

 由理は、白の水着に包まれた美緒奈の可憐な肢体を、抱き締めて。


 赤くなりながら、キスをした。


 ※ ※ ※


「ふぅぅ、んん……。んぷぅ、ねぇ、由理……。あたしの、美味しい……?」


 ちゅぷっ、ずぷっと舌を口腔内に出し挿れ。

 刺激的なスパイスの味が、美緒奈の甘い唾液と溶け合って、程よい塩梅あんばいだ。


 焼きそばの麺がすっかりドロドロに溶けても、キスは続く。


「と、唐辛子のせいよねっ。カラダが、んむぅ♪ 熱くなってきてぇ……!?」


 美緒奈の唇を吸いながら由理は、胸がドキドキ、息が荒くなってくる自分に戸惑う。


(辛さで頭、やられたかな)


 どうしよう、潤んだ瞳でされるがままになっている美緒奈が……すごくえっちで、可愛く見える。


「んふぁ、ちゅむぅ……♪ なんか由理、今日は激しい……♪」


 蕩けた表情で銀糸を愛しげに舐めながら、美緒奈うっとり。


「そっかぁ、そんなに美緒奈様の口移しが好きかぁ♪ ちゅぷぅぅ、んむぅ……♪」

「ば、ばかっ、これは……」


 由理は、かぁぁぁっ、と赤くなりながら。

 刺激的なの食べたいだけだってば、と言い返そうとして。


(そ、そうよ。別に、百合キスで興奮してなんて……)


 どっきん、どっきん。

 女の子同士のキスを大好きになってる自分を、自覚してしまった。


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 違う! 違うのぉ!? 夏は辛いモノがカラダに良いのであってだからすっごく美味しく思えてもっと食べたいって……それだけなんだからぁ!?」


 どっきんどっきんどっきん!

 この心臓の熱さ、香辛料のせいだけじゃ説明つかない!


「んっ、ちゅくぅ、ちゅぷぷ♪ 由理ぃ、もっと、吸ってぇぇ……♪」

「ちゅぅ、っふ、んふぅぅぅ……♪ だ、だめぇ、辛いの、病みつきになるぅ……」


 ううん、ホントはもう分かってる。

 由理が、病みつきになったのは……。


 熱く燃える、接吻くちづけの刺激。

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