美緒奈さまお泊まり編⑧ ベッドへ潜り込むのは義務ですか?
「ちょっと……なんでベッドにまで潜り込んでくるのよ。狭いんですけど」
深夜の百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」。
カーテンやベッドのシーツなどを爽やかな青系で揃えた、
寝間着に着替えた由理と
明かりを落とした夜の部屋、一つのベッド、一つのふとんに枕も一つ。
少し動けばキスしてしまいそうな近さで、赤くなる2人。
というかキスした。
「ちゅ、んっ……。狭くねーだろ、美緒奈様はちっちゃ可愛いし」
うっとり陶酔した瞳が熱い。
パジャマの薄布越し、燃えるカラダを押し付けながら、舌を絡めて。
「抱き締めてもいいんだぜ? あたし、きっと抱き枕みたいにふわふわだから、寝心地いいよ。……ちゅっ♪」
「んふぅ、くぷぅ……!? こ、こんなキスしてくる抱き枕が有るか!」
まったく寝かせてくれない、困った抱き枕である。
いつの間にか指を絡め、パジャマの胸元をはだけながら、ベッドをギシギシ。
お休みのキスにしては、長すぎるかも。
「じゅぶ、んちゅぅ……ずぷ、ぬぷぷぅ♪ ば、ばか美緒奈、これじゃ寝られない……んくぅ!」
「えへへー、寝る前の運動♪ ずぷりゅぅ、ぐちゅっ……♪」
とっても嬉しそうに、幸せそうに唇を重ねてくる美緒奈へ。
由理は、おかしくなりそうに熱を持った頭で、紅潮した頬で、問いただす。
「あ、あんたねぇ、どこまで本気なわけ? こ、こんなにキスばかり、絶対おかしいっての」
恋人でもあるまいし。
そう言って唇を離す由理。
二人の舌先から垂れ、枕を汚しそうな唾液の糸を、美緒奈がペロリ。
真剣な瞳で、由理を見つめる。
「……」
「な、なによ」
黙り込む2人。
時計の音だけが、チクタク耳に響く。
「……全部本気だったら、どうする?」
「え……?」
どくんっ。
ああ、時計よりも大きな音。高鳴る心臓の音。
「あたしが、由理を大好きで、もっともっとキスしたいって」
由理の頬に指を伸ばして、甘い声で囁いて。
「由理とえっちしたいって、本気で思ってるとしたら……どうする?」
「ふぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
フローラルな濃厚吐息の熱さに、由理の思考が沸騰。
目を回して赤面!
「ば、ばばばばばばかぁっ、ばかばかっ、そんなの、ダメに決まってるでしょぉ!?」
「あっそ! ふん、あたしとそーゆう関係は嫌ってわけね!」
由理の反応は羞じらいある可愛らしいものだったが……美緒奈の満足いくものではなかったらしい。
拗ねて背中を向ける。
「まっ、冗談に決まってるけど? あたしだって由理のコトなんて、何とも思ってねーし!」
「な、なに怒ってんのよ。美緒奈が変なコトいうのが悪いんでしょ」
そのまま2人、ベッドの上で反対を向いて。
ようやく眠れる……と思いきや。
心臓の音がドキドキ高鳴り過ぎて、美緒奈に聞かれやしないかと由理は戸惑う。
美緒奈の方はどうなのだろう、と寝息をうかがうと。
「……んっ。……ふぅ、くぅ、っ♪」
背中越し、何やらガサガサ
これって、まさか。
「……はぁっ、はぁっ、ん♪ くぅ……由理ぃ♪」
「なななななななナニしてんのよ人のベッドでぇぇぇ!?」
慌てて美緒奈の方を向けば。
待ち構えていたように。
「……ちゅぅぅ♪」
悪戯子猫の顔で、美緒奈が唇を重ねてきた。
「んぷぅ……!?」
「……冗談、だよ」
唾液を濃密に循環させ、吐息を暑苦しく融合させながら。
「冗談だから……怖がらないで。もっと、すごいコトしよ?」
素直になれない百合小悪魔は、まだまだ由理を寝かせるつもりは無いようだった。
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