夏バテと戦おう!

 夏が少しずつ、近付いてきた昨今。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」のある、東京、埼玉の県境は、今年も蒸し蒸し、ジメジメ……。


「ただいまー。あーっ、のど渇いたぁ」


 高校2年の住み込みメイド店員、由理ゆーり

 女子高夏服の胸元をパタパタして風を送りながら、額の汗を拭いた。


「お帰りなさい、由理ちゃん。お水飲む?」


 お店のメイド服姿で出迎える金髪縦ロールの美少女は、リズ。

 由理と同じ住み込み組で、高校3年生。金髪巨乳メイド。


「うん、飲む飲む。汗がひどくてさー」

「ええ、じゃあ、ちょっと待ってね。……んー♪」


 リズさんお水を口に含み、目を閉じ指を組んで、キス待ちポーズ。


「ちゅっ♪ ん……んく、んく」

「ちゅぷ♪ ちゅぅっ、ごくん……♪」


 女の子同士抱き合って、お水を口移しである。


「ってなんで口移しなのよぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 キスした後で、由理は正気に戻った。

 唾液の糸で唇同士結ばれたまま、リズさん首を傾げる。


「え、今さら……?」


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」は美味しい珈琲、紅茶と甘々スイーツを、百合キス口移しで提供するお店なので……ここでキスしない発想は無いのだ。


「いや普通に飲ませてよ、お水くらい! ていうかぬるくなるから!?」

「なるほどね、ぬるいのがイヤと。つまり由理は、アイスの口移しが希望ってわけ?」


 アイスキャンディーを口にくわえて、顔を近付ける赤毛ツインテールのロリメイド。

 高校1年の美緒奈みおな


「にひひ、いいぜー美緒奈様は。あわれな由理に、接吻アイスを恵んでやんよ♪」

「だ、だから私は別に、キスしたいわけじゃ……もうっ」


 ……ちゅっ。

 結局拒めない、(自称)ノンケの由理。


「……ちゅっ、んむっ。ちゅぷ、ちゅぷぅ……♪」

「ぢゅるっ、ん……。む、ふぅん……♪」


 爽やかリンゴ味のアイスキャンディーが、濃密な唾液と溶け合って糸を引く。


「ば、ばかっ。これじゃ逆に……!」


 カラダが熱くなる……。

 赤面して、疼く唇を押さえながら、由理は美緒奈を睨んだ。


「なぁに、ドキドキしてんの? 由理のえっちー」


 小悪魔スマイルで挑発的に唇を舐める美緒奈に、由理はふんっと、そっぽを向いて、


「う、うるさいっ」


 ツン状態に入るが、今度はもう一人が、横から唇を奪った。


「だめだよ由理、汗をかいたらミネラル取らないと。というわけで麦茶口移し♪」

「ちゅぷぅ!?」


 不意打ちの接吻は、亜麻色がかったさらさらロングヘアー、長い睫毛まつげに星の瞳の、美少女メイド。

 由理と同級生の、季紗きさ

 見た目は清楚で可憐で、深窓のご令嬢な印象。


「ちゅぅぅ♪ んーむっ、ぐぶぅ♪ ずちゅっ、にゅるぅ……んっ、ふぁ♪ むぅん、ちゅぅぅぅっ♪ ずちゅん!」


 キスはいちばん深い。


「ちゅぅぅ!? んむー、くぷん♪ ふぁっ、季紗、舌ぁ、挿れすぎぃぃ……んっ!」

「ちゅぅぅっ、んむぅ♪ ふふ、由理……私のミネラル、いっぱい吸ってね♪ ちゅっ……♪」


 明らかに麦茶の量以上な唾液を、交換し合う2年生たちの姿に……リズと美緒奈も頬を染め、もじもじ。


「な、なんだか、火照ってきちゃったわね、美緒奈ちゃん?」

「あたしたちも……塩分補給しよっか、リズ姉?」


 そのまま指を絡めて、麦茶口移し。


「……ちゅっ♪」


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」では、今日も開店前から、百合の花が見頃です。

 季紗が、キスしながら由理へにっこり。


「ふふ、唇の塩気でほどよい塩分も取れて、とっても合理的だね♪ ……ちゅっ♪」

「いやいや、ないから。普通に飲む方が早いから」


 暑い夏、今年は百合キス口移しで乗り越えてはいかが?

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