下着のサイズを測ろう!

「ちゅぷぅ……んむ、ふぁぁ……んんっ。リズねえ、すっごくドキドキしてる。おっぱいの上からでも分かるよ……」

「ぬぷ、ぬるぅ……びちゅ、ぐちゅちゅぅ♪ だ、だって、誰かに見られたらって思うと……」


 4人でやって来た、百貨店内のちょっぴりお高いお店。

 女性用下着売り場の一角、奥まった試着室前で、人目をはばかりながら百合キスする2人の乙女。

 ゴスロリ姿の赤毛ツインテール少女美緒奈みおなと、変な服の金髪縦ロール巨乳娘リズだ。


「そ、それに……」


 潤んだ瞳で唇を離せば、ねぷっと垂れる銀の糸。

 唾液の橋を架けながら、リズは試着室へ視線を。


「あれを見てたら、ねえ? その、ドキドキしちゃって」

「ふぁっ……♪ 季紗きさのばかぁ……、そんなっ、トコ触るなぁ……っ!?」

「ふふ、そっかぁ、由理ゆーりはここが気持ち良いのね♪」


 えっちな声!

 ギシギシ揺れる試着室から甘い声が漏れ出る。

 試着室の内側と外側を隔へだてる薄いカーテンには、影絵のような由理と季紗のシルエット……下着姿で抱き合いたわむれる、淫靡いんびな愛欲劇場。


「んく、ぁぁぁぅぁ……っ♪」

「中でナニしとるか、あんた達はぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 顔を赤くして、美緒奈は吠えた。

 試着室の中から、返事代わりに百合キスの水音。


「んんっ、ずぷぷ……♪ もうっ、胸とか腰のサイズを測るだけなのに、由理が騒ぐからだよ? イケない唇は、キスで塞いじゃいます♪」

「じゅぷぅ!? ぐむぅ、んむぐぅ……。ふーっ、ふーっ♪」


 パサリ。

 ブラが床へ落ちるのが、カーテンの隙間、足元に見えた。


「は、激しい身体測定ね……」


 ごくり。

 薄布越しに影だけ見える、裸の女の子の絡みに、リズの青い眼は、もう、釘付け。

 きゅんと胸を締め付ける甘い疼きに、脚をもじもじと動かしながら、でも視線は一秒たりと外せない。


「ね、ねえ……リズ姉もさ」


 同じく、尿意を我慢するようなポーズで赤くなりながら、美緒奈は唐突に聞いた。


「由理と……あんなコトしてるの? お店に一緒に住んでるんでしょ?」

「ふぇぇぇ!? してないしてない、あんなえっちなコト!」


 季紗ほど変態ではないリズ、手をぶんぶん振って否定。

 清純乙女な羞じらい顔で、とっても聖処女。


「私と由理ちゃんは……お風呂に2人で入ったり、同じベッドで寝たりしてるだけよ!?」

「……むー。じゅうぶん、イチャイチャしてるし」


 ふりふりのゴスロリドレスに包まれた美緒奈の小さな胸に、ぴりっと電流が走る。

 それが、嫉妬と呼ばれる感情であるのを、彼女はかたくなに認めない。

 認めないけど、リズを見上げて。


「ねぇ、今度さ、あたしも泊まりに行っていい? 『リトル・ガーデン』に」

「美緒奈ちゃんが? それって……」


 探るような美緒奈の表情とは裏腹に、リズはぱっと顔を輝かせる。

 自分の肩を抱いて、うっとり小声で。


「み、美緒奈ちゃんもお風呂で、私の胸を触ったりしたいのかしら? ど、どうしましょう、恥ずかしいけど……嬉しい♪」

「リズ姉?」


 美緒奈が呼ぶと、


「はぅっ!? OKよもちろんOK! 3人でっ、川の字で寝ましょう♪」

「川の字なんてよく知ってるね、リズ姉。ホントにイギリス人?」


 ぎゅっと美緒奈を抱き締めて頬へキスするリズ。

 美緒奈の方はと言えば……リズとキスするのは大好きなのだけど、なんとも複雑な表情を浮かべた。

 そこへ。


「た、助けてぇぇぇぇぇぇぇっ!? 季紗が、季紗がパンツまで脱がそうとぉぉぉぉ!?」


 試着室のカーテンから首だけ出して、由理が泣きついてきた。


「動かないで由理! これは身体測定。身体測定なんだよ!? 動いたら下着のサイズ測れないよ!」


 カーテン越し、由理のパンツをぐいぐい引っ張る季紗の影。

 美緒奈とリズは顔を見合わせ、


「……やれやれ。しかたねーな」

「ふふ、私達も手伝いましょうか」


 脱ぎ脱ぎ。なぜか着衣を脱ぎながら、試着室の中へ。

 由理は青ざめました。


「え? え? なんで2人も脱ぐの? 私を助けてくれるんだよね!? ねっ!?」


 にこり。可愛らしく微笑むリズと美緒奈。

 下着姿で……下着姿で……。


「ちゅぷぅ♪」


 由理の悲鳴。

 この後は、百合乙女達がくんずほぐれつする影絵劇場を、お楽しみくださいませ。


 ※ ※ ※


 お店でこんな行為、怒られないの? とお思いの貴方へ。

 レジカウンターから試着室を見ながら、店員のお姉さんたちも、ドキドキしてました。


「い、いいの、あれ。止めなくて……?」

「う、うん……。イケないと思う、お店であんなコト。で、でも……」


 気弱そうなお姉さん、隣の、勝気なお姉さんを見つめて。


「わ、私……その、カラダが、火照ってきちゃったの」


 うるうる可愛らしく瞳を濡らせ、上目遣い。


「ねえ、私にも……」

「う、うぐぅ。実は私も、ムラムラしてて……」


 近づく唇は、零距離に。


「……ちゅぅ♪」


 こうして、百合の花園は広がるのでした。


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