ももいろお風呂祭り その3 南原美緒奈
マンション12階の自宅の中、深夜のお風呂で、彼女は全裸だ。
お風呂ではまず頭を洗う派の美緒奈、ツインテールを解いた赤毛の髪を、シャンプーで流す真っ最中。
小学生サイズの幼い……それゆえに季紗やリズとは別種の色香を放つ裸体が、まぶしい。
赤毛にツリ目、にぱっと笑えば八重歯が可愛い、ロリメイド美緒奈。
彼女は今、慌てていた。
「ああっ、もう! 深夜アニメ始まっちゃうじゃんさぁ!」
急いでシャワーを浴びれば、つるぺた絶壁を白い液体シャンプーが流れ落ちる。
細い手足と小さなお尻ににじんだ汗……神聖なロリータボディを、白濁した液体(シャンプーです)が清めていく、浄化の光景……という名のシャワーシーン。
「むー、コンディショナーとかめんどいなー。アニメ予約忘れたし、お風呂さっさと済ませちゃおっかな」
髪の毛をくるくる指で
なのだが。
脳裏になぜか、先日の秋葉原デートでの、
(美緒奈は、可愛いよ)
「ふにゃぁぁっ!? なんで由理の顔が浮かぶのさぁぁーっ!?」
熟れたトマトの色に頬が染まる! いきなり顔面沸騰、ドキがムネムネ大暴走スタンピード。
ロリな腋、ロリなちっぱい、ロリなお腹をごしごし洗いながら、ツンデレ少女のテンプレート的台詞を吐いた。
「べ、別にっ、由理に可愛いって思われたいとかじゃねーけど!?」
脂肪率低めでもぷにぷに柔らかい天使エンジェルボディを、くまなくすみずみまで綺麗に。
朱の差した夕焼けほっぺが、熱い。
「あたしも女子高生だし? この美貌を磨いてやるのは、可愛い美緒奈様の義務だよねっ」
アニメは後で動画の配信を見よう。
リアルタイム視聴よりお風呂を優先した美緒奈、口の中でごにょごにょ。
「由理なんてどーでもいいけど。ま、まぁ、不潔とか思われんのも嫌だもんな。ホント、別に、由理のことなんて……!?」
ぷっくりした唇からプリティ八重歯を覗かせて、デレデレ顔の自分に気付いて。
……あたし、どうしちゃったのかな。
初めての胸の疼きに、戸惑うのだった。
「やだ……こんなの、知らないっ……」
秋葉原に一緒に行って、「可愛い」とか「好き」とか言われてから。
由理のコトを考えると、なぜか美緒奈の小さな胸は、甘く締め付けられて……。
未知の感情? いいえ、本当は色々なアニメで、見たこと有る。
ドキドキ甘酸っぱくて、切ない……初こ
「うにゃぁぁぁぁぁあたしのバカバカバカ! は、初恋とかそんなわけねーから!?」
高層マンション12階のシャワールームに、胸きゅん乙女の絶叫が響く。
近所迷惑!
「ちょっと美緒奈! またお隣さんに怒られるじゃない!?」
美緒奈ママが浴室の外から叱るけど。
娘の頭は妄想トリップ中!
〈以下妄想〉
裸の由理が、ベッドの上で同じく下着も脱いだ美緒奈を抱いて、頬擦りして。
……はだいろ、密着。
『ふふ、美緒奈ったら。心臓、すっごくドキドキさせちゃって、可愛いじゃない♪』
『ゆ、由理のばかっ! あたし、ときめいてなんかないっ……』
『強がっちゃって。嘘吐きさんね、美緒奈は。でも……ふふっ』
くちゅぅっ。
『……こっちのお口は、正直みたいだけど?』
『あ、ひゃぁんっ♪ そこは、だめ、お姉さまっ……♪』
これ以上は危険だ!!
「ふぎゃぁ!? あたしってば何を
お風呂のタイルの上、全裸でごろんごろん悶え転げるロリータ美少女の図。
かなりうるさいので、パジャマ姿のママが怒って、ガチャリとドアを開ける。
「静かにしてよもうっ! コスプレ衣装作ってあげないわよ!」
ちなみに美緒奈ママは絶賛アラフォーだが、容姿は娘に負けず劣らずロリータ。
夫婦でいると、パパはよく警官に職務質問される。「ち、違います! 犯罪じゃないです合法です!?」が美緒奈パパの口癖だ。
そんなロリ熟女の美緒奈ママ、愛娘がお風呂でぺたんと座り込み、眼に涙をにじませるのを見て。
「……あら、恋する乙女の顔♪」
実の娘に、萌えてしまった様子だ。
その頭の中には、娘に着せる新作コスプレ衣装のアイデアが、次々と湧き上がってるであろうことは、きらきら輝く瞳を見れば、想像に
「うー……」
タオルで前を隠すのも忘れ、裸の美緒奈。
開いたドアから浴室に流れ込む涼しい風に、オーバーヒートな脳と肌とをどうにかクールダウンされながら。
(胸、苦しいままだ。なんで美緒奈様が、こんなわけわかんねー思いをっ……)
この感情の正体を知るためにも。
明日も由理にキスしてみようと、控えめな胸に誓うのだった。
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