くーるびゅーてぃ 溶ける。(前編)
小高い丘から街を見下ろす、
薔薇の庭園に囲まれた古風な屋敷は築40年で、雨風を受けてきた歳月が、建物の外観に深みと気品を与えている。
たとえて言うなら、思慮深い老貴婦人のような。
それが、東宮
季紗と、そのメイド……クールビューティふぶきの暮らす住居である。
春なのにちょっぴり肌寒い、小雨の降る夜。
湯気でほかほか、年代物のタイルを敷いた4畳半ほどの浴室にて。
北欧の血が流れる、髪も肌も白い少女。
雪の姫君がごとき、儚く幼い容姿のメイドさん。
小さなクールビューティ
入浴中なので、もちろん全裸。
真っ白な肌が湯気で火照ってほんのり色づき、合法ロリータ19歳の彼女に微かな色香を与えている。
さて、そんなクールビューティふぶき、湯船の横で、風呂桶にお湯を汲んで。
「ごくごく……お嬢様が浸かられたお湯、じゅるり……!」
クールじゃない行動をしていた。
季紗のエキスが溶け出た風呂の湯を、美味しそうに飲んでいた!
かなりレベルの高い変態さんである。
上代ふぶき……喋らなければ、そして指一本動かさなければクールビューティ。
と、そこへ、
「ふぶきさんっ、背中流してあげるね♪」
「飲んでません飲んでませんよ!?」
すっぽんぽんの季紗が浴室に乱入! ふぶき慌てる。
「ふぶきはクールビューティれすので! お嬢様が入ったお風呂のお湯を飲んだりとかしませんからぁっ!?」
季紗に裸を見られて赤くなるふぶき。
一緒にお風呂だなんて理性が保てなくなるので最近は避けてるのに、奇襲攻撃で動揺だ。
「あ、あのぉ、お嬢様? 貴女はお風呂済ませたはずでは……」
ふぶき、季紗の裸はしっかり眼に焼き付けつつ、前を隠してもじもじ。
なんでお嬢様がまたお風呂に? と首を傾げる。
先ほど、季紗がシャワーを浴びている間に脱衣所で、シルクの下着に頬擦りしたので間違いないはずだ!
その問いに季紗、高貴な百合の花が背景に見えるほどの、清らかな笑顔で。
「ふふ、裸のふぶきさんに触りたくて♪」
「お嬢様のえっち!? へ、変態さん過ぎます!?」
とりあえず、お前が言うな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます