バラと桜と新婚さん

作者 朝野とき

9

3人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

ささやかな幸せがすとんと胸に落ちてくるような、とても素敵な作品でした。

長年だらだらと付き合い続け、ときめくような展開のないままなんとなく入籍した二人。
前半は、新婚だというのに既にマンネリ化しているような状態に見えます。
それを語り手も感じていて、どこか満たされていないのだというのが、淡々とした筆致からよく伝わってきました。

けれど、それがラストでくるりとひっくり返ります。
その瞬間がとても自然で、同時に語り手と同じくとても温かい気持ちなることができます。

ほんの些細なことだけれど、彼らにとっては特別な、大切なことというのがたいへんよく表現されていて、その気持ちを読み手も共有できるような小さくて素敵な作品でした。