第296話わがために

わがために

     くる秋にしも

           あらなくに

                むしのねきけば

                       まづぞかなしき


                       よみ人しらず 古今186


秋は 自分のためだけに 訪れるわけではないけれど

虫の音を聞いていると 何より先に 哀しさを感じてしまう



「秋」と「自らに対する飽き」を掛けているのだろうか。

愛人が通ってこなくなった女性の哀しみを 表現したのかもしれない。

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