第98話

 みんな!聞いたでしょ。1300人もいるんだ!本当にありがとう。じゃ、あと2曲なんだけど、その前にメンバー紹介するね。まずは私、ギター・ヴォーカルのマヤです!」

 ギュオーンとマヤがギターを鳴らすと、客たちは一斉にイェーと叫び、あちこちからマヤさーん!の声が聞こえた。

「ちょっとぽっちゃりスーパーベーシスト、ソメノ!」

 ソメノは赤のリッケンですかさず激しくテクニカルなフレーズを弾き盛り上げる。

「ガリガリドラム野郎、キイチ!」

 どこたかどんどことキイチはこれまた複雑なドラミングを披露し、観客を沸かせた。

「そして、最後のひとり・・・アタシたちを救ってくれたといってもいい子。もし去年のデスピノのライヴであの子がここにいなかったら、きっと出会うことは無かったはず。それを考えたら本当に奇跡みたいなことがあるんだってアタシは思った。でも、それはアタシたちの運命で、今こうして一緒にステージに立っている。もし神様がいるなら、アタシは本当に感謝したい。彼女と出会ってからのこの数ヶ月間は本当に楽しかったんだもの。ね、ユリカ。」

 マヤの言葉にユリカはすでに涙腺の堤防が決壊寸前である。そしてその様子を見た観客の中から自然とコールが起こる。

 ――リ・カ! ユ・リ・カ! ユ・リ・カ!

 満場のコールにユリカはいよいよ涙を抑えきれない。両手で口をふさぎ、マヤやソメノの方を何度も見た。

「みんな、ちょっと、ユリカを泣かせないでよ!じゃ、改めて紹介するよ。ヘビーメタル文芸少女、ユリカ!」

 ユリカは半ベソをかきながらも笑顔を見せて、ワウを踏みながら短いアドリブギターソロを弾いた。またしてもユリカコールが起こる。

 ソロが終わると、マヤが叫んだ。

「さ、あと2曲。みんなついてきて!」

 イェー!

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