第84話
「きゃーユリカ、可愛い!なになに、いーじゃない!」
マヤが開口一番そう言うと、ソメノも
「わー、なんか別人みたーい。ね、あとで一緒に写真撮ろうよ。素敵ねー。」
と絶賛した。
「ね、今日のライヴ、その衣装で出なよ!丁度いいじゃん。」
マヤはユリカに提案する。
「ええっ、これでですか?でも、これ友達の服で・・・」
ちょうど
「いいよお、大石さん。ぜひそれで出てよ。暴れて破れたって大丈夫よ。」
と快く承諾してくれた。
「よかったねえ!絶対ウケるって!そうそう、それでさユリカ、これからアタシたち、部室のアンプを講堂に運ぶからさ、中央広場にいる佐久間のとこへ行って部室の鍵を1回預かるんだよ。どうせならさ、この服を着たユリカを先頭にして校内練り歩いてライヴの宣伝しながら行かない?」
マヤは名案を思いついた、という様子で2人に話しかけた。
「おっ、それいいじゃん!確かアタシ、教室にミニアンプ置いてあったからさ、ユリカがギター弾いて、キイチにスネア叩かせて行進しようよ。」
ユリカに有無を言わさず、2人は次々と色々なことを決めていった。マヤはソメノが自分の教室にミニアンプを取りに行く姿を見届けると、次の仕事に取り掛かった。
「よーし、じゃ、早速ラインとツイッター使って行進についてくる人員を募集しよう。十人くらいすぐ集まるよ、きっと。ユリカ、ギター用意して。」
ユリカは相変わらず忙しいカフェを抜け出すのは心苦しかったが、逆らえる雰囲気ではなかった。須永は
「大石さん、バンドの命運がかかってるんでしょ。こっちは大丈夫だよ。行っておいで。」
とカプチーノを
「ユリカちゃん、ついでにカフェの宣伝もしてね。でも、逆にこれ以上人が来ても大変かな。」
カウンターで須永からコーヒーを受け取りながら横井もユリカを励ました。
「すいません、じゃお言葉に甘えて、ちょっと行ってきます。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます