第73話

「わたしも優勝できなかったことは確かに悔しいです。だって、あんなに練習して、必死の思いで予選に出て・・・しかもわたしソロを最後まで弾けなかったんですから。でも、そもそもこのコンテストは知名度を上げるための手段だったはずです。目的はあくまで学園祭で1000人集めることなんですから、逆にこれを利用するしかないと思います。ツイッターでここまで広がっているんだから、かなりこの件に関してはインパクトがあったんじゃないでしょうか。だからもっと積極的に他にもネットを使った宣伝が出来ると思いますよ。ね、キイチさん。」

「うん・・・確かにそうだね。ユリカちゃんの言うとおりだよ。まずこのツイートにリプライしよ・・・。“どうも、デスピノです。ドラゴンが燃えて優勝もなくなったけれど、学園祭にはみんな来てください”っと。おっ、なんかフォロワーが増えてるし。やっぱり大谷ツイート効果かな。どうせならもっといろんなとこに投稿したりするか。フェイスブックと連動させて・・・そうだ、ユリカちゃんのお父さんがビデオ撮ってたよね?あれ、後でデータもらえる?ユーチューブにアップするから。」

「だったら、わたし、今日帰ってすぐにやっときます。こういうのは早い方がいいですからね。逆にハプニング映像としての価値はあるんじゃないかって思いますよ。」

 テキパキと行動するユリカとキイチをみていたマヤは少し元気を取り戻したようだった。

「あんたたち、切り替えが早いね。・・・でも、そうだね、ユリカの言うとおり、逆にこれを利用したほうがいいみたいだし、怪我の功名ってヤツ?」

 そう言って深呼吸を一つしてから、マヤはコウタローに向かってさっきとは違うトーンで話しかけた。

「どうせだから、学祭に再びドラゴン登場!何かが起こるかも?ってあおったりする?」

 コウタローは思わず顔を上げた。マヤの手形が青白い頬にうっすらとピンク色に浮かんでいた。

「先輩、結果的になんか話題になってるみたいだから、許したげる。でも、これが最後だよ。もう火は吹かないって約束して。」

 マヤにそう言われてコウタローの表情はみるみる晴れやかになった。

「や、約束する!今度は火よりも平和的な仕掛けを考えるよ!ありがとう!」

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