唐突に終わりを迎えてしまった日常。その絶望の中で一筋の光を見出した二人。不可解な冒頭から思いがけない結末へと昇華していく過程に唸りました。命のバトンがこんな形で実を結ぶとは。彼のぶっきらぼうな口調の中に見え隠れする優しさに気持ちが温かくなりました。
荒れ果てた場所。救いのない世界。絶望。たった一人で生き残ったかに見えた、その人たちは全く別の人生を生きてきて、しかし共に収束していく。人はいつか必ず死にゆく。それは決まっていることでだから怖い、焦る、諦める、悲しむ。でもここを読んでいたら、それは果てだと思っていたのにもしかしたら、本当はまだ先があるかのような気がしてしまった。ここで繋がった二人は、ほんの微かな光に照らされて、神々しい。