小説に使える国際社会の闇知識

作者 飛野猶

もっと知りたい、世界のこと。

  • ★★★ Excellent!!!

犯罪・紛争や貧困・格差といった『 資源の分配問題 』について、国際的な視点から、分かりやすく、多数の例が解説されています。

政治的な事件については、対立陣営の利益やさらなる真相秘匿のための操作が行われていたり、政治取引で決着したりする場合もあって、評価が難しいですが、人道的・軍事的事件の問題性は明らかです。

文明の課題をその性質(文明活動の目的であり、結果でもある資源の生産と分配の、どこに問題があるか)で分けると、4種類があると思います。
① 資源枯渇……特定資源の不足。
② 境破破壊……ある資源の利用が、環境内の他の資源を損なう。
この2つは、資源の生産(獲得)上の問題です。
③ 貧困・格差……資源分配の不公正。
④ 犯罪・戦争……公正感覚の違いや欠如にもとづく行為や争いから、さらに資源が損なわれる。
この2つは、資源の分配上の問題です。

4つの課題は相互作用の関係にありますが、特に犯罪・紛争は深刻で、様々な原因が絡み、他の課題にも大きな影響を及ぼす重要な問題だと思います。

日本人は豊かな生活を得ましたが、少子超高齢化や物的資源の老朽化、格差の拡大、自然災害の懸念など新しい課題も生じています。
また文明は世界に拡大し、地球の資源は限界が見えてきた一方、国際社会はまとまりつつあり、公平で人道的な解決が求められています。
人類文明は新たな状況に直面し、その持続可能性が問われています。

我々は人類文明の一員として、国内問題を解決してお手本を示しながら、世界的な問題の解決にも貢献してゆかねばなりません。

それら4つの課題に対して、既存の技術や政策で対症療法的な処置を行うことも大事です。しかしそろそろ、それらを原因から捉え直し、新しい文明段階を拓くような技術や政策で解決していくことも必要な時期が、来ているのではないでしょうか?

文明の課題をその原因(文明活動に関わる要素のうち、どこに問題があるか)で分けると、3種類になると思います。
① 物的資源の持続可能性……埋蔵資源の利用による枯渇や環境破壊。
② 人的資源の持続可能性……健康・教養水準の経年・経代的な低下。
③ 経済・社会活動の持続可能性……経済・社会活動の大規模・複雑・加速化による、再分配と再生産の両立の困難化。

以上の課題を解決できる、再生可能資源や先進医療・HMI、人工知能といった新技術は、現れつつあります。
それらを正しく活かす政策も、考えられていると思います。

しかし、具体的に政策を考え、技術を活かしていくにはまず、より多くの人々が社会の実態を知らねばなりません。
このような作品は、世界の現実を教えてくれることにより、以上のような文明課題の解決にも貢献するのではないかと思います。





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