7.妄執

 彼は、曇天にたなびく煙をながめていた。といっても、それはほとんど消えてしまったあとだった。残っているのは強烈な香りと、煙たさという余韻だけ。彼は大きく息を吐き、煙の消えていった方――今なお暴れる赤い竜から目をそらし、湖に背を向ける。そして歩を進めた。

 目指すは、そばの木立だ。

 竜が墜落するのを見た。彼の見間違いでなければ、やっと計画が実を結んだことになる。

 彼は、ほんの一瞬だけ、湖を振り返った。

 かつて、仲間とともに訪れた場所。愛する人が、うしなわれた場所。

「いとしいソニア……もうすぐ、会える」

 彼はぽつりと呟くと、また、歩きだした。草を踏み越え、木々をかきわけて進む。

――遠くに見えていた竜は、すぐに見つかった。淡い光を弾いて輝く、青い鱗。海よりも、空よりも、どんな宝石よりも美しい竜鱗を見た瞬間、彼はたとえようのない喜びを感じた。

 竜は、草のうえに、ぐったりと身を横たえている。眠るようにしていて、目を開ける気配はない。彼は慎重に水の竜へ近づくと――そばに落ちている剣に気づき、それを拾い上げた。まじまじと剣を見つめたあと、それを竜の鼻先あたりに投げ捨てる。その剣は、今の彼には長すぎた。結局彼は、懐に忍ばせていた短剣を引き抜くと、力いっぱいにぎりしめる。横たわっている竜の、唯一やわらかい部分、つまりは腹に、その切っ先を向けた。

 唾をのみこむ。刃先を、腹にぴたりと当てる。

 次の瞬間、強い青が、目を焼いた。彼は反射的に飛び退る。そして、驚きの声を上げた。奇妙なことに、先程まで竜がいた場所が、青い光に包まれていたのだ。

 彼には意味がわからなかった。しかし、このまま何もしないでいてはいけない、という予感はあった。胸にある焦燥に突き動かされ、光の中に短剣を突きこむ。直後、ものすごい衝撃としびれが、彼の先端を駆け巡った。そうかと思えば彼の両手は跳ねあがり、短剣は弾き飛ばされていた。今さらになって、金属音が聞こえる。

 愕然としている彼の前で、光はしぼんで消えた。

 いきなりあたりが薄暗くなって、彼は戸惑った。しかし、遅れて、冷たい感触があることに気づいた。身じろぎしようとしたが、できなかった。なぜなら、彼の喉元に長剣が突きつけられていたからである。彼は長い刃をなぞるように視線を動かし、驚いた。

「――竜のそばに剣が転がっている。おかしいと、思いませんでしたか」

 長剣を構えていたのは、先程まではいなかったはずの少年だ。しかも、彼は少年のことを知っていた。

 ファイネで出会った旅人。名を――ディランといっただろうか。



     ※

     

     

 いきなり腹に短剣を突きたてられそうになったディランは、今は逆に、相手へ剣を突きつけていた。むなしさと、悲しさと、やりきれなさにため息をつく。彼自身が囮となり、それが功を奏して犯人が姿を現した。そこまではよかった。だが問題は、その犯人が知った顔だったことだ。

「こんなまねをしているのがあなただとは思わなかった。……いや、思いたくなかったですよ。ヴィダルさん」

 かみしめるように名を呼べば、絶体絶命のはずの若い薬師は、薄笑いを浮かべる。

「いったいこれは、どんな奇術でしょうか。今、そこには、竜がいたはずですが。あなたには幻を見せる力があった、とか、そういう話ですか」

「意外と冗談が下手ですね。……気づいているのでしょう、本当は」

 きっとヴィダルは、竜にそこまで詳しくないのだろう。ゆえに、変化へんげという竜のわざにも思い至らない。しかし、状況から答えを導きだすことは、できているはずだ。彼ほど聡明な男ならば。だからこそ、ディランには彼の行動が理解できない。

「どうして、こんなむごいことを? 下手をしたら、人間が竜に殺されていたかもしれませんよ。かつてのように」

 ヴィダルは、気まずそうにしたが、目はそらさなかった。弾かれた右の肘をさすってほほ笑む。

「ただ、彼女に会いたかったんです。二年前にここで亡くなった、愛しいソニアに」

 短く言った彼の瞳は、凪いだ湖面へ向けられていた。意味を察したディランは、剣を構えたまま息をのむ。――その人が湖に落ちたとき、恋人であるヴィダルはきっと、すぐそばにいたのだろう。伸ばした手が、届かなかった。苦渋に細められた目が、語っている。

「そのために、竜の血と力を集めたかった。特に彼女が亡くなったのは湖で間接的な原因は豪雨ですから、水竜のそれがほしかったんです。……あなたほどの竜であれば、人をよみがえらせることも可能かもしれませんね」

 ディランは目をみはった。買いかぶるなと言いたかったが、その一言さえ出てこない。さてどうしようか、と妙に静かな頭で考えたとき、おぼえのある気配を感じた。

「そういうつながりだったとは。虚偽と証明されている言い伝えにすがり、どうあっても届かない幻影を求めて――そのために竜を害していたのは、ほかならぬお主だったか、ヴィダル殿」

 ディランのななめ後ろから、冷たい声が響く。茶色い三つ編みを揺らしながら、少女が姿を現した。落ちる直前に変化したディランが抱きこんだおかげか、あちこち汚れてはいても怪我はしていない。彼女は、瞳に複雑な感情の光をたたえつつも、サーベルに手をかけた。

 ヴィダルは驚いた様子で固まっていたが、やがて「違う」と強い声を発した。

「竜に必要以上の危害を加えるつもりはなかった。ただ、その生命の一滴がほしかっただけです」

「それが少しの役に立たないとわかっていてもか。竜には確かに自然を操る力があるけどもな、それは自然界の均衡を保ち、もとある命を元気づけて、己を守るための力だ。決して世の摂理をねじ曲げるための力ではない。だから、消えた命を呼びもどすことなどできん。たとえ主竜でもな」

 ゼフィアーの声はいつも以上に厳しく、また、いつもより早口で話していた。表れる、静かな憤りを感じ取って、ディランは肩をすくめる。それから彼は、ヴィダルを見すえた。

「なるほど。だからタミルを使ったんですか」

「――ええ、そうです。殺さず、かつ確実に竜の意識を削ぐことができると、聞きましたから」

「竜狩人よりたちが悪いですね」

 人の姿の水竜は、きっぱりと吐き捨てる。ヴィダルは一瞬、表情を曇らせたが、すぐにうっすらと笑みを浮かべた。

「どうののしられようと、無駄だとわかっていようと、あきらめることなどできなかった。どうしても、彼女にもう一度会いたかったから。だから――」

 滔々と語る青年の声をかき消すように。低い音が響き渡る。竜の咆哮がとどろいた。炎竜がまだ、暴れているのだ。

 悪いことはそれだけではない。ディランは気づいて、顔をしかめる。ヴィダルの方からほんのりと、独特の香りが漂ってきていたのだ。よく見ると、彼の瞳にも胡乱な光がちらついている。まさか、と口にした瞬間、ヴィダルが大きく飛びのいた。もとより殺す気のなかったディランも、とっさに彼から距離をとる。そのときにはすでに、薬師の若者の手に、剣がにぎられていた。

「ほんの少しでいいんです。血を分けてくださいませんか、水竜様」

「私の腹を掻き切ろうとする前に頼むのだな」

 竜の口調で応じると、ヴィダルがわずかに目を見開く。けれど彼は、驚きをすぐに奥底へとしまいこむと――剣を構えて、距離を詰めてきた。

 刃が交わり、激しく鳴る。相手の刃を左に弾いたディランは、思わず舌打ちした。彼のにぎる剣は、先程飛ばした短剣とは別のものだ。そして――刃からは、ぞっとするほど冷たい力を感じる。

 かつての儀式でもってしても、還しきれなかった竜魂りゅうこんの欠片。今は元竜狩人の傭兵団が集めてまわっているはずのそれを、いったいどこから手に入れたのか。疑問は頭に渦巻き続ける。しかしディランは、それらをすべて無視した。どんな背景があろうとも、やるべきことはただひとつ。

「《魂喰らい》が相手なら、手加減はできないな」

 振り下ろされる剣を避けた直後、彼はそう呟いて突きを放った。ヴィダルは意外にも俊敏な動きで刃を叩くと、勢いをつけて踏みこんでくる。

「ディラン!」

 ゼフィアーの声がした。あせりがにじんでいる。彼女も気づいたのだろう。ディランはヴィダルの剣を弾きあげ、剣の柄から左手を離すと同時に、叫んだ。

「こっちはいい、ゼフィーはあの炎竜をどうにかしてくれ!」


 ゼフィアーは、サーベルを指先で弄んでから、空を見上げた。曇天がほのかに赤く染まって見えるのは気のせいだろうか。紅い鱗を持つ竜は、いまだにふらふらと暴れまわり、熱波をまき散らしている。少女は長らく考えこんでから、くっと顎を持ちあげた。

「しかたがない。ここはひとつ、やってみるか」

 ゼフィアーは、呟いてから息を吸い――竜語ドラーゼで制止の言葉を吐きだした。竜に届けと、せいいっぱい叫んだつもりである。そのかいあって、竜の赤黒い瞳は彼女をとらえた。けれど、目に、理性の光はなかった。紅い体が向きを変えるのを見て、ゼフィアーは顔をひきつらせる。

「むむ、逆効果だったか……?」

 そうにかできる気はしないが、何もしないよりはましとサーベルを抜き放つ。

 けれど、ゼフィアーが武器を構えるより早く、燃え上がった熱のかたまりが、竜の体にぶつかった。西の空から唐突に飛んできたくれないに、竜は激しい悲鳴を上げる。そこへかぶさるように聞こえてきたのは、悲鳴より強い怒号だった。

『植物ごときにのまれおって、たわけが!』

 ゼフィアーは反射的に顔をしかめたが、唇は笑みのかたちにゆがんだ。耳朶じだを震わす怒声に、聞き覚えがある。空をあおげば、もう一頭、鮮やかな赤の鱗を持つ巨竜が、暴れる炎竜を強く威嚇していた。彼の放った熱波を強引に打ち消した炎の主竜は、一度大きく、高度を下げた。頑張れば、ゼフィアーが飛び乗れそうなほどに。その竜の背中に人影を見いだしたゼフィアーは、鞄からすばやく、小さな革袋をひとつ取り出すと、天に向かって放り投げた。

「チトセ! これ、あの竜に飲ませるのだ! 少しはましになるはずだ!」

 竜の背にまたがっていた少女は、手をのばすと、器用に革袋を受け取った。

「あんたはどうすんのよ。囮にでもなってくれるの」

 空中から叫び声が返ってくる。『伝の一族』の末裔たる彼女は、不敵な笑みを見せた。

「そうだな。撹乱してあげよう」

「……本当にやるんだ。じゃ、頼む」

「うむ」

 短い会話が終わると、少女たちの声を、重い風の音が打ち消した。翼を打った炎の主竜が、再び舞いあがったのだ。背にいるチトセは、その鱗を軽く叩く。

「それじゃあ、よろしく、イグニシオ……だっけ?」

『言われずとも』

 ゼノン山脈の大炎竜は、激しく鼻を鳴らすと、小さき炎竜に向かって突っこんだ。

 

 二つの赤が、紅が、ぶつかり合うただ中で。ゼフィアーは、わざと熱が衝突する真下まで走り寄り、竜語で叫び続けた。酩酊している暴れ竜の意識は、ゼフィアーの声をとらえてはいるようで、ときどきふっと、視線が彼女に向くことがある。

 どこかで隙ができるといい。そう思いながらも、熱の重さに耐えかねたゼフィアーは、わずかに視線を下ろした。水が、かすかな冷気を運んできていることに気づく。熱と熱の曖昧な境界線には、湖があった。

「ラケス湖……」

 ゼフィアーは、誰にともなく湖の名を呼ぶ。村で聞いた話と、ヴィダルの言葉がぶつかって、重なって、つながる。亡くなった人とはつまり、ヴィダルの想い人なのだ。そのことを、ゼフィアーはすぐに察した。

「ディランは、己を責めているだろうか」

 ただでさえ、水の主と呼ばれる竜の一角を占めているのだ。女性が亡くなった間接的な原因が、自分の不在がもたらしたものだとわかったのなら、彼はなおさら悩んでいるに違いない。それだけでなく――あの主竜は、想い人を亡くしたことで狂ってしまった人を、もう一人、知っている。


 琥珀色とも金色ともつかぬ瞳は、宙を舞う花弁をとらえた。花弁は、ふわりふわりと風に弄ばれたあと、湖面を滑って浮き沈みを繰り返す。落ちた花のかけらを、透明な水は映し取り、もうひとつの透明な花びらを湖面に浮かびあがらせた。

 どれだけ手を伸ばしても届かない、薄い花びらは、喪われた命によく似ている。ゼフィアーはつかのま瞑目したあと――空を見上げて、その目を開いた。

「だからこそ……それに、とらわれてはいかんのだな」

 かすかな揺らぎを帯びた呟きは、熱のさなかに溶けてゆく。そのときちょうど、イグニシオが竜の熱を振りはらった。その余波は暴風となり、あたりに強く吹きつける。とっさに顔を覆ったゼフィアーは、直後、竜の背から身を乗り出す、少女の影を見た。

 ゼフィアーはまた、叫んだ。竜たちの言葉で。


 おまえの獲物はこちらだ、こちらへ来い、こちらへ来い。

 繰り返していると、竜の、爬虫類に似た瞳が、じろりとゼフィアーをにらんだ。いよいよ、彼の意識を完全に引きつけることに成功した。


「いまだ!」

 ゼフィアーが叫ぶと同時、短髪の少女は主竜の頭を蹴ると、相手の竜に飛び移った。そのとき、開いた革袋を傾けたのがわかる。数拍の間を置いて、その炎竜がもがきはじめた。が、チトセは器用にしがみついて離さない。

「良薬口に苦し、ってね。お仕置きだと思って、せいぜいもだえてなさい」

 竜が低いところに落ちはじめたとはいえ、チトセの叫びは大きかった。地上にいるゼフィアーの耳に、かすかに届くくらいには。それはあるいは、彼女のうっぷん晴らしだったのか。チトセはそれから、竜の頭を押さえつけると、イグニシオの方へ飛び移る。そして、炎の主竜は尾を振った。鞭のようにしなった紅い尾は、相手の炎竜の背に直撃する。

 巨大な竜の、容赦ない一撃を受けた炎竜は――甲高い悲鳴とともに、地上へ落ちていった。



     ※

     

     

つたえ』の村からさらに東。おいしげる草葉の波を、南へと分け入った先に、丸太小屋の群はあった。かつては農村だった場所は、今は廃村となり、ならず者たちが借りる屋根となっている。今日もまた、十人を超すならず者たちが、小屋のひとつでたむろしていた。

「しっかし、ここまで儲かるとは思わなかったな」

 小屋の入口付近に腰かけた男が、軽々しく言って、そばに積み上げられている袋を見た。中に入っているのが乾燥させた植物だということは知っている。

「そうだな。こっちでも、意外と需要があるんだよ」

「ふた月前には団体さんが買っていったしな」

「この前なんか、ひょろっとした若い兄ちゃんが、生のものを大量に買ってったぜ」

 彼の呟きに応じるように、小屋の奥に固まっていた人々が笑いだす。彼は、最後の一人がさりげなく放った言葉に、驚いた。

「生だって? 何に使うんだろうな。風邪薬でも作るのか?」

「風邪薬じゃなきゃ、毒薬だな」

 誰かが言って、また笑い声が起きる。彼も、その頃には深く考えるのをやめて、仲間に迎合し、笑い声を上げていた。けれど、そのとき――彼の鋭敏な耳が、かすかな風の鳴き声をとらえる。なんだ、と彼は顔を上げ、板も硝子もはまっていない窓を見た。

 それから一拍の空隙のあと。強い衝撃と、板の割れる音が連続した。ならず者たちは、ざわめいて、立ち上がる。

「なんだ!?」

「おい、見ろよ、これ」

 一人が、窓際の床を指さす。床には白い矢羽の矢がささっていて、衝撃を受けた板が粉々になっていた。人々は、一斉に身構える。

「誰だ!」

 鋭い叫びがくうを打った。入口に腰かけていた彼も、立ち上がり、扉に飛びかかろうかと考える。けれど、彼が何か行動に出る前に――扉のまんなかにひびが入った。ひびは蜘蛛の巣状に広がる。彼が唖然としていると、今度は蝶番の片方が変な方向に動いた。やがてそれは弾け飛ぶ。

 四角い木の板がぐらりと内側へ倒れかかり、その先に立っていた若い男を襲った。

 轟音が響く。あまりのことに、ならず者たちは唖然としていた。一方、扉を破壊した者は、外から中へと、木くずを踏み越えて入ってくる。男たちより、ずっと小柄な彼は、長い棒を内側へ向けると、首をかしげた。

「あれ……? どうしましょう、ラリーさん。なんだかみなさん、変な顔をしています」

「君の棒の扱い方がぶっとびすぎてるんだ、レビ。まさかそれで蝶番ふっ飛ばすとは思ってなかったぜ」

 少年の後ろから、年若い傭兵が姿を現し、彼に呆れた目を注ぐ。レビは困ったふうにしていたが、すぐに気を取り直して、男たちへ棒を向けた。

「ここ、タミルのにおいが少しします。この人たちであってると思いますよ」

「そっか。中毒にならないよう、注意しろよ」

 はい、とうなずいた少年――レビは、身構える男たちに、油断なく棒を向ける。そうしていると、窓の方から再び鋭いものが飛んで、窓際にいた一人の頭を打ちすえる。彼が鈍い音を立てて倒れると、いよいよならず者たちの間に動揺が広がった。さらに、別の小屋の方から戦いの音と悲鳴が連続すると、彼らは敵意をあらわにする。

「て、てめえら何者だ、いったい!」

「何って。正義の味方の傭兵団」

 調子よく答えたのは、若い傭兵、つまりはラリーである。彼が、首から下げていた赤銅色の円板を見せつけると、男たちは後ずさりする。

「あ、『暁の傭兵団』だと……!」

「お、恐れるな、こっちだって腕利きの傭兵、雇ってるだろ。あいつら呼んでこい!」

「ああ、ごめん。それ、多分無理」

 ならず者の誰かの言葉をさえぎって、手を振ったラリーは爽やかに笑う。

「その傭兵、今頃、うちの首領がぼこぼこにしてるから。三日くらいは立ち上がれないんじゃないかな」

 小屋の中の人々は、いよいよもって青ざめた。『暁の傭兵団』の首領と聞いて、それが誰を指すのかわからないほど、彼らの無知ではないのだった。『烈火』が来ている、と、誰かが震え声で言う。

 おびえるならず者たちを見すえたラリーは、すでに臨戦態勢をとっているレビの横に並んで、剣を抜いた。

「さあて。大人しく降参して――タミルとそれから作った毒薬を誰に売ったのか、どこから仕入れたのか、洗いざらい吐いてもらおうか」

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