第五十一話「総力戦」

 Side カルマ・ティリア


『激しいドライブだったな!』

 

『全くだ!』

 

 カルマの愚痴にティリアも同意する。

 二人トモラウンド・ウォーリアーを身に纏い全身の火器でとにかく迫り来る敵を薙ぎ倒す。

 

 ここまで付いてきた自衛隊員や天照学園のスタッフも必死に銃火器で応戦する。


 空では黒先 カイトが頑張っている。

 

 時折、ブレンの配下と思われる怪人が迫り来るが黒いレヴァイザーことマスクコマンダーが対応する。

 

 蒼翼が着陸した場所は敵の本陣、巨大円盤の真下の艦様の整備ドッグの一つと思われる場所だった。

 そこから皆散り散りになって行動している。

 

 捕らわれた人々を捜索する救出班。

 

 敵の本陣である巨大円盤を攻略する制圧班。


 そして蒼翼を守る殿班だ。

 

『私は全体のサポートを担当します。春龍様、お気を付けて』


『うむ頼んだアル』


 そしてヒロイックなピンクのパワードスーツを着た戦士が流れるような動作でカンフーを披露しつつ次々と敵を薙ぎ倒していく。 

 春龍である。

 九龍の大幹部の肩書きは伊達ではないらしい。

 何故だか「テッコウオーは間に合わんアルな」とボヤいていたがカルマとティリアはその意図を理解する事は出来なかった。


『どうやらデカ物もこっちに来てるらしいぞ』


『打って出るぞ!!』 


 カルマにそう言われてティリアは打って出る事を決意する。

 じっとその場に留まって守っていたら敵の大火力で粉砕されてしまいだ。

 だからその前に早急にデカ物――巨大ロボットを叩き潰すしかないと判断した。 



 Side ホーク・ウィンドウ


 悪の組織部のメンバー+アウティエル。


 天村 志郎。

 ハヤテ。

 倉崎 稜。

 宮園 恵理。

 ホーク・ウィンドウ。


 丁度五人で纏まって行動している。


 取り合えず全体構造を把握するまで制圧班と一緒に行動していたのだが――途中で別れた。


 ブレンジャー達が円盤へと続く道中に現れたからだ。


志朗達も変身して対峙している。


『此方も五人、そちらも五人・・・・・・同じ人数なら勝てると思っているのか?』

 

 ブレンジャーの気持ちを代弁するかの様にレッドがそう言った。


『ええ、勝てますよ』


 志郎がそう返す。


「そうね。私には稜がいる。だから勝てる」


『僕も恵理さんと一緒なら負ける気がしません』


 恵理と稜のやり取りにホークは『こんな時までお熱いこって』と呟く。


『これ程の科学力を持ちながら何故人々を拉致する様な真似を?』


 志郎は疑問を投げ書けた。

 しかしブレンのレッドは鼻で笑ってこう返す。


『この広大な宇宙では正しかろうと間違っていようが力ある者こそが法だ。我々の労働力として働くチャンスを与えられただけありがたく思って欲しい物だ』


 考え方がまんま何処かの悪の帝国その物だなとホークは末恐ろしく感じた。


『捕らえた人々は何処へ?』


『丁寧に教えると思ったか!! ここで死ね!!』


 それが戦闘開始の合図となった。

 


 Side 天野 猛


 ヒーロー部。

 

 嵐山 蘭子。

 

 揚羽 舞。

 

 森口 沙耶。

 

 城咲 春歌。 

 

 グレース・ナディア。

 

 そして天野 猛。


 この六人はブレンの円盤内部へと辿り着いていた。

敵地なので皆当然変身状態だ。

 

「しかし意外だったわね。嵐山先生も変身出来たなんて」


「ちょっと前に話しただろ? 私ももってんだよ」


 全身をライダースーツで包み込み、頭はフルフェイス仕様のバイクのヘルメットを被り、胴体を防護ガラスとライトが付いたレース用バイクの先頭部分で飾り付けている。

 背中に一対のマフラー管を伸ばし、両肩はバイクのグリップ、左手首には変身ブレスレットを付けた赤いバイクを模した個性的なデザインのヒーロー。


 それが嵐山 蘭子の変身姿だ。

 スピードを活かした戦いが得意なのか、目にも止まらぬ早さで次々と道中、立ちはだかる敵を薙ぎ倒していった。


「沙耶? 大丈夫なの?」


「私に任せなさい。インベーダーのコンピューターだろうが何だろうがちょちょいののちょいよ」


 と、メガネを掛け直す仕草を見せながら沙耶は言い切ってみせた。

 森口 沙耶も天村 志郎に匹敵する程の天才の部類に入る少女である。

 異星人のテクノロジーとかにも触れる機会があったので、下手な一般人よりかはとても頼れる存在だ。


「この異星人の宇宙船ぶっ壊すワケには行かないからね・・・・・・」


 自分達の目的は異星人の本拠地の破壊ではなく、捕らえられた人々を助けるためにも、この戦いを終結させるためにも動力炉を停止させて司令室を停止させる事にある。


 そのために一向は中心部へと急いでいた。

 

「動力炉を停止させるか、動力炉からこの船へのエネルギー供給を直接断つだけでも戦局は大きく変わるわ――皆の頑張りを無駄にしないためにも急ぐわよ」


 そう言って沙耶は皆の先を促す。


「それにあの子から託された分もあるからね」


 と、呟いたがヒーロー部の面々はその意味を知る事は出来なかった。



 こうして皆、散り散りになりながらも自分達の役割を果たすため、全力を持って全うする。

 

 はたしてこの戦い。


 どう収束するのであろうか?

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る