第126話 会う約束




ゴロゴロしているだけだけど、このままこうしていたい。

拓夢の右胸に、頬を寄せた。



「しょうがないな、この気まぐれは」


「何それ。俺のこと?」


「完璧そうだけど」


「…気まぐれじゃないし」


「………」


「うざい」


「いたっ」



脛を蹴ると、拓夢が身体を丸めた。

視線がビシビシ来るが、知らんわ。

ふいっと顔を背けると、頬を撫でられる。


んーーー。

何なんだよ。



「あ、真琴。携帯光ってる」


「え?」



拓夢に言われて布団から出て、学ランの上着と一緒に置いておいた携帯を取りに行くと、メッセージが一件。


開いてみると、洋介さんからだった。



[返信遅くなってごめんね。今週末とかどう?]



「………」


「…どした?」


「洋介さんから」


「えっ」


「今週末会えないかって」


「………」



いきなりだよな。

あの人、何時も突然言い出すから…。

何て言うか、突拍子の無い人。



「わかった」


「え」


「俺は何の用事も無いし、行ける。真琴は?」


「…俺も平気」


「じゃあ、そう返信しといて」


「ん」


「真琴」


「なに」


「おいで」



布団の中から、大きく広げられる両手。

俺は其処に思い切り飛び込んだ。





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死ぬ前の話 丹桂 @10s

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