第124話 裕也って奴を、詳しく





そう、あの日裕也に噛まれて痕付けられて、もうこんな自分じゃ拓夢に会えないと思って…


離れようとして、また夜の街に出た。


そんで、そこを洋介さんに止められて、洋介さんの家に行って、そしたら拓夢から呼ばれたんだよな。

何だこのふらふら具合。

あっちこっち行き過ぎじゃね…?



「あー…と」


「………」



え、何を言えば良いんだっけ。



「ごめん。質問何だっけ」


「何で裕也って奴は、真琴を噛むの」



そうだ。その質問だった。



「…何か、頭おかしいんだと思う」


「………」


「………」


「…そいつは、智紀とかも噛むわけ?」


「…噛んでない」


「………」


「………」


「え、なに。真琴、そいつに好かれてんの?」


「……ん?」


「え?」


「………」


「………」



裕也からは、食べたいとは言われたけど…好きとは言われて…ない、気が…。

え、言われてないよね?

言われてても、そういうのじゃない筈だし。



「…待って。好き以外には、何て言われたの」


「『食べたい』的な」


「………」


「え、なに」


「……もうやだ此奴」



何か、拓夢に嘆かれたんだけど。

解せぬ。




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