第36話 全校朝礼






誰だよ、全校朝礼なんて作ったの。


今日は朝から体育館で朝礼があるらしく、HRが終わると同時に移動を指示された。

ダラダラと皆、かったるそうに歩いて行く。



「まこちゃん、眠そうだね。俺と一緒にベッドにでも…」


「無言入室をしろ」



ぺちゃくちゃと煩い裕也は、体育館の入口に入った所で、教師に頭を叩かれ注意を受けた。



「うっ…痛い」


「…ばーか」



クラスごとに整列し、座り込む。

最初は話を聞こうと頑張っていたが、校長の話が始まると、俺の我慢は限界となってきた。


やばい…。ねっむ…。

昨日の夜は結局眠れず、寝不足な俺。

うつらうつらと頭が揺れる。



チラリと横を見ると、スポーツ科の生徒が前の生徒の背中にしがみついていた。

どうやら前の生徒の背中におでこをくっ付け、枕代わりに支えてるらしい。


男にしては近い距離だし、スキンシップが過剰な気がする。

でも、スポーツ科の生徒ってのは、大体がこんな感じだ。


他の科の男子よりも、互いのスキンシップが激しい。



…こういうのを見てると、男子校なんかになるとホモが出てくるんだろうな、とか考える。


スポーツ科には、女子がいない。

欲求不満になり、男同士触れ合うことでその欲求を、満たしているんだろう。



良いなぁ、あの格好。

よく眠れそう。


俺みたいに下を向きながら寝ると、起きた時に首が痛くて仕方が無くなる。






…あいつらだってやってるんだから、俺もしていいかな。





ホモだとか何だとか、騒がれなさそうだし。

俺はそこまで考えると、前の生徒の背中にトンとおでこをくっ付けた。



「――ッ!?ま、真琴?」


「んー・・・」


「ど、どうしたの急に…」


「…眠い。俺、寝るから大人しくしてて」



背中に違和感を感じたのか、前にいた智樹は、後ろを振り返った。

そして、俺が背中に寄りかかっているのを見ると、アワアワと動き出す。



…こんなんじゃ眠れねー・・・。


俺は智樹の腰に腕を回し、ぎゅっと体をくっ付けた。

動く智樹を押さえ込む。

これで大人しくするだろう。



「…鼻血出そう」


「…ん?なんか言った?」


「な、何でもない!」


「…そう」


「…あの真琴がデレるなんて…」



ごちそうさまです、なんて呟く智樹。


…何が?


時々、智樹はよくわからないことを言う。

まぁ、いいか。

とりあえず、今は眠い。寝たい。



抱きついた智樹の体が温かい。

より一層俺の眠気は増した。

段々と周りの声が遠くなる。


あ、眠れそう…。






「何してるんだよ」






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