第19話
何やら話の展開が急変して、文芸部の方々はすっかり置き去りな状態である。しかし食べ物の話題にみんな「課外クの人」が和んだので、そこへ参戦してくる者も居る。
3年男子「皆さんはスイーツがお好きなんですね。そう言えば最近駅前に行列の出来るスイーツ店が出来ましたから、今度宜しかったらご馳走(女子限定)しましょうか?そんなに待ち時間も長くないらしいですよ。」
京子「そんなの出来たんですか?知りませんでした。う~ん、祐介は知ってる?」
祐介「いや、知らないな。あんまりスイーツに興味も無いし、店で用があるのはコンビニくらいだからな。家族で外食ってのはほとんど・・全く無かったような気がする。」
3年男子「えっ?外食しないんですか?けっこう美味しいお店とかありますよ。庶民的なチェーン店も多いですけど、有名な焼肉店や中華屋さんも有りますから。」
京子「あ~それそれ、中華!祐介って知ってるの?私ちょっと気になっていたのよ、中華とか食べてるのかな~って」
祐介「こらこら!そこはさすがに知ってます。食べた事だって数回は・・あるな。うん、あるよ」
京子「ちょっと、何よその不安な返事。別にいいのよラーメンなんか大衆食なんだし、何かと色々混ざっている料理が口に合わないなら、そこは好んで食べなくても」
3年男子「混ざっている物になっていたけど・・八宝菜・回鍋肉・麻婆豆・酢豚とか、美味しい料理が沢山あるでしょ?食の文化は中華にアルって言っても過言じゃないと言われるけど、でも予算は少し高めになるね」
加奈「・・祐くんは、中華は嫌いなんですか?」
祐介「食べてるよ!めっちゃ食べれるからね。麺類だってバリバリ行ける口だから・・我が家の食卓に上るのは、比較的飲茶とかそっち方面な感じの中華ってだけだからね。」
財前副会長「坂上家の食事には母上の愛情が籠っているのだから中・・下賤な食文化に、馴染ませなくてもよかろう?散々PM2.5をまき散らした文化に、何を敬う義理がある?日本の食材で加奈が丹精を込めれは、心身共に健勝でいられるのではないか」
加奈「そうですね、申し訳ありません。作法も下品であるのに、無理強いをしてしまった事をお許し下さい。必ずや挽回出来る創作料理を精進して見せます。」
京子「ああーそーよね。すいません先輩!中華は下・・ちょっと無理っぽいです。ですがスイーツは全然大丈夫なので、今後の機会にでも差し入れしてください。」
財前副会長「そうだな。川崎の言う通りスイーツなら得に問題もなかろう。それに差し入れなら個室・・そこで嫌な喧噪に揉まれる経験もしたくはないからな。」
祐介「いや、つい最近でも喧噪に揉まれたよ、アイスショップで。どれだけアイスのステータスが高いのか・・今までに築いて来た人格すら容易く変えるってのが良く解ったよ。アイスっていいなーって、久々に思えた事件だったな。」
3年男子「・・中華は下品?そんな感じなんだ・・スイーツが完勝なのは良く解ったけど、差し入れが条件なんだ」
京子「中華はあれですよ先輩。大皿盛りで取り分けるって日本人としてちょっと無理かなーって、席も隣接していて他のお客さんの顔を見るくらいなら、家で食事を取る方が気が休まるじゃないですか?」
3年男子「いやでも、焼肉やお寿司と多種な外食に行けば、お客さんとは必ず顔を合わす訳で・・」
京子「はっ!すいませんでした先輩。私達は最近、車から降りたら個室的な事が多くなっていて・・外食の経験が少ないので、そっちが当たり前な感じに」
財前副会長「コホン!学食でも隣接してたりするから其の内に慣れるだろうよ。それより今回の話は大体済んだと思っていいのだな?・・それでは坂上、スイーツ試食の感想はどうしたらいい?時期に迎えがあるのか?」
祐介「ああ、感想か。そうだな、話しを聞きたいと言って顔を見ないで電話で済ます事はないな。こっちも時期的にそろそろ忙しくなるから、イベントが終わった後位にあるんじゃないかな?そ・・その時には、中華が食べれるって証明をしよう。」
京子「大丈夫よ。その辺は家で食べれるから、中華は間にあってる。食べ物が無くなった時の、選択肢かな?」
加奈「私が美味しい中華を作ります・・ですので今は、急がなくても大丈夫ですよ。」
そんな翌日の今だが、昨日の最後にとんだ大騒ぎが合った・・そんな感慨に耽けりながら、今日も京子と二人仲良くのランチを過ごしていた祐介である。それにしても門脇さんは、絶対にオタクだと・・文芸部での話しが終わりの頃に突然来た乱入者は、祖母の使用人である門脇さんだった。
祐介「そこで挨拶されたと思ったら、いきなり限定解除は無いよな」
京子「あーあれね。私もびっくりしたわよ。「祐介君、出ました限定解除です。もはや今の力を隠す必要はありません」とか何んとか、そんな事を言ってた奴だっけ?その後は何が起こるのか、あの人から目が離せなかったもん。」
祐介「ハハハ隠していたのは門脇、お前だ!むしろ過去に戻って隠れろって思ったよ。」
京子「それはそれで、ひどい話しじゃない。それで何を隠してたのよ?それと限定って?」
祐介「まさに限定って言えそうだけどな。うちの祖母が気易く使用人と話すなって言っていたけど、オレの知ってる使用人は門脇さんしか知らないし・・ただバストショットの写真に、あれだけ盛り上がれるのが凄いよ。」
蛍名「・・バスト・・写真・・」
食事中の2人の近くを通りかかった加藤蛍名は、聞こえた印象に残った言葉を呟きそこから京子の胸で視線が止まっている。自分の胸元に異様な視線の数が集まるのを感じた京子は、視線を探ぐってその人達と目が重なるのであった。
ってか、何でみんなで見てんだよ。このおっぱいにオレの所有権はまだないけどな。だが、も、揉んでみたいな・・それ。
祐介「その胸の写真な訳あるか!上半身の証明写真の話しだよ。そういうのバストショットって言うじゃん。・・ちょっと大きく見えてるだけだし」
京子「ちょっと待った!その・・私の胸は大きい訳じゃないわ、そこは女子の平均以下だからね。ちょっとだけトップとアンダーの差が大きいから、あるように見えるだけよ?」
財前副会長「そこのヤシの身の育ち加減な話しは程々にな。それより今日は日々垣会長が2人に用事があると言うことで、こちらにお出でに成っている。それで少し時間を貰いたい」
いつの間にここに来たんだ、その起伏の乏しい財前副会長さん。祐介がそんな目を向ける隣に、日々垣会長がにっこりしながら立っていた。
日々垣会長「こんにちは。まだお食事中ですね?来るのがちょっと早過ぎました。」
財前副会長「日々垣会長、そこは気にしないで大丈夫ですよ。この二人はほっとけばお昼休みをずっとこんな感じで過ごしているので、待っていたらきりが有りません。その結界内のラブ臭さえガマンできれば、無力化も容易ですよ。」
祐介「虫コナーイをなめるな。W装着が可能で本人も気持ち悪くなるんだそ。トリプル装着なら完全無欠で、自分は虫だって思えちゃったりするからな。」
京子「え‥えーっ?ここで私なの?臭いで虫でしょ?あっ!祐介はい、あ~んイモ虫ウインナー」
祐介「タコさんじゃないのかよ」
日々垣会長が会いに来た理由は、来週末にボランティア部の事案であるクリスマスイベントを控えての、課外クの現進行状況の把握であった。
それならボランティア部に行けばと思うのだが、立案から行動計画までのリーダーシップをこの課外クが率先して行っているので、実施の行動部隊リーダー的存在な祐介の所に確認‥お邪魔しに来たのだ。
祐介「そのイベント状況の進捗具合なら財前副会長があらかた報告しているのと、それは何ら変わらない物ですが、実行動の7割8割は来週の1週間になっていますので、今は何をしようかなって感じの目覚め気分程度の物ですよ。それにイベント用の装飾品もあらかたは老人ホームにある物で足りそうですから、それ程の落ち度も生まれないと思います。」
京子「うんうん、園児の遊戯も模範に沿わせたり、近づける努力は滞ってはいませんしね。その場に来て貰って遊戯を楽しんでくれたら、それを見る側もきっと楽しいんじゃない?そんな発想ですからね。楽しければOKって、誰かも言ってたし!」
日々垣会長「そう言われるのは、解っていました。提出して頂いた書面にも、そこは記載されていましたからね。ただ、ここまでの時期に来ますと、他に何かを遣っている所も無いのです。それでいて生徒会を空にし、みなさんのお手伝いに専念してしまうのも愚行になりますので、現状は遣ってる振り‥ですね。」
そこで財前副会長はうわー・・ぶっちゃけちゃったよこの人と叫んでいた。
そんな昼休みの合った日々垣会長のぶっちゃけから2時間程経過した今は、課外クで19日~24日までの実働計画に誤りが無いかを再確認している状態である。その期間はフル稼働・・ってな事でもなくて、初日の19日は老人ホームに伺い、使わせてもらう装飾品を確認し装飾まで行う。
もしかすると、その日だけで終わってしまうかも知れないけど、それは遣ってみないと解らないって奴だ。ツリーも飾れたら飾ってしまうのと、こちらから持ち込みの暗幕も・・室内にある当日には邪魔になるテーブルの配置替えは、今はまだ思考だけに整理しておく。
現場の客席作りと会場整理は当日の午前中の予定になっていて、イベント終了後は即座に戻し直ぐその場から撤収のつもりだ。そこで会場準備とは別に当日に行なわれる園児達の遊戯の捗りは、時たま見学に行って進捗度を見ている。
それは遊戯の出来具合を計っているだけではなく、園児達のモチベーションの継続を維持する為である。そこでの出来不出来を評価する訳でないけど、遊戯に飽きられて当日不参加者続出となったら最悪なのだ。
だから出来ようが出来まいが、そこに園児が来る事が一番の重要性である。期日も残り1週間ちょいとなっている今「遣る振り」そんな事を口走った日々垣会長の事も忘れ、財前副会長はボランティア部と課外クの今度の合同イベントに向かって、身を引き締めるのであった。
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