第13話
その後に課外クの方はどうなっていたのかと言うと、鈍ちんな祐介に説教をしている京子がいた。人間関係で仲間意識の強い祐介は、部外者にはいつも反発姿勢で対峙する事が多いのだが、今回のようなケースで和解に至りさらに頼る状況になった相手が、ツンキャラが素な奴はまずい・・目覚めたツンデレは最悪でしかないからだ。
そこで異性に免疫が少ない人は緩急の表現のギャップが大きければ大きいほど、持ってしまった好意に歯止めも効かず、対処も解らずで抗う事も出来ないと。祐介のそばに居る加奈の為にも、余計な問題を持ち上げたくなかったから、そこは悪巧みを持った裏のある祐介の策を労して模倣したのに鈍感祐介って最悪!って京子は怒っている。
そこで怒られてる祐介といえば「ええー嘘?あんな事で何か芽生える物なの?」ほんとマジに、最悪だなおまえは。そんなお説教現場を見ていたボランティア部の女子達は、加奈さんの為?なんだねぇーと思っている心の隅っこで、自分の為もあるんじゃないの?ちょっとだけ疑ってもいた。
それとこの場に、あの美佳ちゃんが居ない事にも安堵していた。もしいたとしたら、最初から美佳VS財前副会長だったに違いないと。今日の会議はこれ以上の進展もなさそうだなとも思っていたら、視線の先の祐介が携帯を見つめていた。
メールかな?今の時間を確認し、ここに居るメンバー以外でこのメールは「電話よこせ美佳」だと思う。
祐介「おう、オレ。どうしたの・・ふう~ん・・ああ確かにな、それはいいな。こっちもちょっとその事で・・ああ了解した。それを有効に使おう。ん、ああ・・いや、それは止めてくれ。それを美佳がする必要はない、それはこっちで手配して運ぶからいいよ。確かに美佳が何回かに分けて運べば出来るけど、そう簡単なものじゃないんだ。ちゃんと予算で・・理由って・・確かに持てる量を数回に分けて運ぶ、言葉にすれば複雑な作業は含まれない。ただその提案に重要視する所は、必要な物を運ぶ・・じゃあない。運ぶ為に備える安全性が一番大事なんだよ。普段は持ちなれない重さだろ?体力とかじゃなくて持った荷物に、自分の注意が取られやすくなる。途中で体力が落ちたら、そこはなおさらだろ?さらにその場の交通状況で、美佳に気をかけてくれる程世の中は甘くはない。今回貰える事になった予算で買うつもりだった物資は、配送費用も考えてる訳だから何の問題もないじゃないか。課外クの事案の為とか、自分に出来ることを奮起してとかじゃなくて、依頼主のオレの我がままで嫌がっているからって理由でいいんだよ。美佳はいつものおまえで来ればいい。それに・・運ぶ場所も、2度手間にならないように検討しないとな。・・今日はもう帰りがけか?おまえは、犬とかにも負けそうだから気をつけてな。」
あれ?最後に、美佳が何故か怒ってたぞっていいながら通話を終わらせた。ここはいつものついでの一言が、その機嫌をしっかり損ねていた。いるよねー危険な犬!そこそこ強そうな奴が、都会で放し飼いとかしてたら絶対にやばいよ。特に飼い主が・・
部活のタイムアップ寸前に美佳からの朗報で、クリスマスイベントに出そうと思っていた、ひと口サイズ程度のケーキ似なスイーツと、クッキーの原料や皿変わりになる資材が、自高である成敬北上々峰高等学校で、少し前に開催した文化祭に使った残りを、無償で調達出来たのだと。
貰えた量は使い切れないほどに成るが、使う分だけ貰う・・無償な理由が、消費期限がちょうど限界になるって事らしい。
☆彡終末?の金曜日
そんなお得情報は朗報なので、そこで翌日に加奈は自高の生徒会に出向いて、試作品が作れる程度の量を家に持ち帰って、それで作った物を満足そうにみんなでモフモフしている今である。
そのイベント当日に必要な量は50人分、オーブンレンジの3段を使って焼いても、それが3回転は必要だ。だったら必殺・・それは無理なので、前日の土曜日に焼いて作り置きは妥当だと言えよう。それにケーキの土台も焼くから、遣るってのは逃れられないからね・・ガンバルぞby加奈
次回のC・T・S セミナーに必要な、機器の設置に行く前日の今日は金曜日。本日は非常勤者の美佳もこの打ち合わせの参加に来ていた。クッキーの形とか食べ易い大きさの話しをしていながら、おやつ代わりに頬張りクリスマスイベントの詳細を詰めて行く。
財前副会長「こうやって美味しいクッキーを、食べさせて貰って言うのもなんだが、呼ばれた理由は別にあるのだろ?」
祐介「一番の目的は先ほど紹介した美佳、彼女を早めに引き合わせておいたほうが得策と思ったからだ。この他はついでになるけどクッキーの概要への意見と、イベント当日の衣装に必要な備品のお知らせだな。」
財前副会長「衣装の備品?」
祐介「それと補足なんだが、追加資料を見つけたのでそれを・・画像ね。ミニスカサンタの衣装はこんな感じ、これが装着済の全体像だよ。」
その祐介の差し出した携帯の画面には、ミニスカサンタの衣装に身を包んでいる人物が映っていた。京子はその画像を昼休みに確認し、加奈はその人物を知っている。その他の財前副会長を筆頭に、美佳とボランティア部女子3人と、いつの間にかの部長も見いっていた。
美佳「はぁ・・ミニスカと言っても長いソックスでカバーをしているから、露出度は気になりませんね。服全体がほぼ赤一色ですけど、サンタなので仕方はないかと・・それよりこの画像を、どこのサイトで拾ったんですか?何枚もあるし・・決めポーズも多種多彩で・・」
ボランテ静香「知らない芸能人ですけど子役?それより保存の仕方や量・・選んでるポーズも、自分にもっと見せてって画像ばかりで、坂上君の趣味がキモ・・オタクっぽいです。」
財前副会長「・・お前はやはり、変態ロリコンだったのか。この画像の女子も、色んな良い所を寄せ集めた臭いし、特殊合成のCGか?次元超えのアイドルか何か・・・」
祐介「美佳には言って無かったっけ?言われ方が、妙にオレを集中攻撃っぽいんだけど・・気にするとこはそっちじゃないだろ!」
ここで汚いゴミを見るような目で見られている祐介を、優しく庇ったのは京子だった。
京子「あれ?みんな最後まで画像を見てないの?最後の画像で納得しそうだけど・・それもしなそうな気もするけど」
そう聞かされれば今一度見てみるって行動は、変わり者と呼ばれたくない心理なのかもしれない。そこで美佳は顔と頭に疑問符と解る表情で固まってしまった。
ボランテ幸子「うわー、変態の極致だわ」
財前副会長「なんだこれ?え?何なの?」
お前も何だよ、キャラ混じくってるよ財ちゃん。ミニスカサンタの中身の人物、そっちの説明も必要だったのかと地味に諦めながら答えたのだ。
祐介「いやそれよりその画像で、変態の極致ってなんだ?それ妹だし。最後の写真だってつい最近だぞそれ!兄の膝上ショットは、妹のベスボジなんですけど。」
そこで美佳は耳に残ったベスポジを、何度も連呼していた。
ボランテ由紀「・・ベスポジ・・威圧とか強制?」
財前副会長「・・兄の膝上がベスポジって・・どんな強力な弱みを握っているんだ。」
祐介「こら!すぐ犯罪者寄りにはすんな。とっても地味な努力で、頑張って築いたんだよ。最近ちょっと、ニヤけた時のお兄ちゃんがキモいよなんて、居たたまれないセリフで傷つくオレでもあるんだぞ・・妹マジ天使だな。」
肝心なのはミニスカサンタの衣装であって、妹云々はこの際不要なんですーって話にけりをつけた。ヒソヒソと問われてる、マジで信じられない程の可愛い妹・・今は不要の人物像なのでここでは割愛だ。
だって・・溺愛過ぎで話が長くなりそうだから、次回に乞うご期待!美佳にして見れば、その待遇が妹に間違えられていて「妹扱いなだけ」ちょっと機嫌がいい。財前副会長は何故か放心状態なのだが、何で成ったのかは理由がさっぱり不明じゃね?
ここで一旦現状の把握に祐介は頭を整理する・・妹の事じゃないからね。イベントの為の訪問場所の老人ホームは、介護に必要な人は現在は入所していないので、ちょっとハメを外しそうな園児達「近隣でアポ済」の訪問もOK。
もちろん訪問日時も交渉許可も取得済だ、当日の軽食!ケーキ似やクッキーの物資は確保したので、他に不足分なのは飲料になる。これは一時保留で待機とし24日の前日に購入、それは加奈家でクッキーを焼きまくった当日に一緒に持ち込みの予定だ。
次のケーキ似は老人ホームのキッチンで最終仕上げをし、ケーキとして当日に完成をさせる。我ら工作員メンバーは各々に現地集合の予定なんだけど、京子とボランティア部員に京子の親衛隊が一緒の行動で、オレと加奈と美佳が一緒の予定なのだ。
園児達は当日園児バスの移動だから問題ないとして、財ちゃんはどんな予定なのだろう?家がどの辺なのかにもよるな。当日早めの合流で昼も一緒にし、後の行動も共にして貰うか?
祐介「財ちゃん、昼飯を一緒に食うか?」思考の結果で、ぽろっと出た言葉がこれだった。そんな突然の誘い文句に、何時?貴方は誰?的になった慧奈である。
財前副会長「・・はあ?・・はあ?・・はあ?・・」
そこで出た反応は、傷つきのCDみたいに無限ループをしていた。
その壊れた財前副会長を見ていた祐介は、やっと自分の間違いに気ずいた。突然明日の昼食を誘ったみたいになっちゃってるよこれ。回りの目も寒気がするほど冷たくなっていて、早く誤解を解かないと死ぬかも?
祐介「いやゴメン!今ちょっと違う事を考えていて、思考錯誤の結果が昼飯の誘いっておかしくね?ちっがーう、さらに混乱させてどうすんだよオレ。早く会いたいだけで一緒したいのは昼飯じゃないって、さらにちっがーう。ちょっと落ち着きない!」
京子「いま落ち着くのはお前た!事によっては活動の停止まであるけどな。」
キタ、出た ! どっちも一緒だが女王様の降臨だ。まじコワ・・まずは深呼吸で再起しなくっちゃ、オレのびびりが体内拡散だ。
祐介「えーとね、イベントの25日の当日に、どう合流してくれるのか?についてだな。そこで京子女王組は、ボランティア部と親衛隊を従えて、現場に見参予定なのね。こっちのフワモフ天使ペアの加奈美佳は、イベントスイーツをその日に運ぶから財ちゃんの確保をどうするかって話さ。」
京子「女王で・・従えちゃってるじゃん・・」
美佳「フワモフ天使は良い意味?悪い意味?」
加奈「祐くん・・ねっ!」
祐介「ああそうだな。いや悪い大丈夫だ、慧奈は家で待ってろ。昼近くだけどタクシーで迎えに行くからいいな。」
財前副会長は頬を染めながら、はいと小さく返事をした。京子はそれでちょっと汗ったが、冷静に見れば従順な態度の財前副会長をここで危機するより、祐介を尻に引いた加奈の勢いなら、それは大丈夫だろうと解釈していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます