第10話
いきなりなんてストレートな奴だ!早く守らなくっちゃ・・そこへ加奈ちゃんの携帯が鳴った!すいませんと言いながら携帯へ出る加奈ちゃん、さっき川崎から連絡が来ていたからその回答かな?
加奈「パイ加奈です。お疲れさまです。あ・・はい、白菜が1個当たり50円安いのですね?トマトはやっぱり上がり気味ですか。では・・キャベツは予定数より減らしまして赤ピーマンや剥きあさりで誤魔化しましょう、代替可能ですからトマトも減数させてホールトマトを多目にします。輸入品でも美味しいし価格も安定していますから」
いきなりバイ加奈で電話に出るのは何か変じゃね?・・先程までの挙動不信な女の子が、いつのまにか遣り手に変身しているのに会長も驚いている。料理が得意なの?そんな事を会長がオレに聞いて来るのだった。まだまだ電話中の加奈ちゃんは、そこでのターンが続いている。
加奈「生徒会のみなさんですか?解りました・・出先で変わって貰ってすいません。その質問の申請書の件ですが、概算及び未定項目多数になっていたのは、来客数の変動によって上限不定となりますので、仮申請はあくまでも目安です。当日には確定しだい再提出いたします。おおよその不確定計上より未定計上が、届けとして真摯に伝わると思ったからです。それとは別件ですが営業開始時間はあくまでも、予定刻の11時で間違いないです。当日の状況によりますが、待ち客数が多かった場合は主催者義務として、無理を承知で繰り上げますが。その日の不出来を見過ごして、何を成したと語れませんからね。追加での繰り上げ変更用の原稿は、こちらで作成した内容を校内放送でお願いします。」
そんな加奈の笑顔は優しさ以上の強さが滲んでいる。あはははは、絶対に強いぞ黄金バッ・・何でやねん。
うわー加奈ちゃんが生徒会を遣り込めてるよ・・あれ?営業開始時間は、10時にするって言ってなかったっけ?その電話を終えた加奈は・・
加奈「そこは作戦ですよ祐くん。プログラムに書かれている物を集客に繋げるのはさすがに難しいので、先に策略した時間変更でもPRの効果は出ません。そして呼び込みなども出来ないのなら、出来ない呼び込みを悟られずな形で遣って、行列が待っているから開始を早くする作戦にしました。そこで待ち状況に見合ったコメントを、場内に放送して貰います。ちなみにその呼び込み作戦とはメイド服っぽいエプロンを装着し、開店30分前にはあっちこっちをうろついて貰います。」
そこは荒手使いだ、そばで聞いていた会長もちょっと引きながら(彼女はさっき、学祭はクラスの応援って言ってたよね)
加奈「はい!わたしはお手伝いです。学校も違いますし1年生ですから、そこはちょっとだけの応援です。それと先ほど提案の日曜日の件ですが、最近まではずっと予定が入っては無かったのですが・・この先の日曜及び休日をすべてエンドレスに、祐君が予定を入れてます、はい!祐君」
加奈がびしっとオレを指差したので・・愛に包まれ幸せいっぱいなオレですと答えた。
ほぼ問題もなく機材の設置が整ったので、これで今日は帰りますと会長達に伝えに行くと、またまた加奈ちゃんの携帯がなった(加奈ちゃんもう学校を出た?帰ってるの?)と京子が聞いてきているらしい。まだ学校に居ると加奈が答えると(このバカップル!とっとと帰りなさい)なんか母親ばりに怖くなってるぞ。加奈ちゃんはそのメイド服っぽいエプロンは着ないのかと聞くと・・着ないらしい。裸エプロンは近い未来に好御期待だとか。ちょっと複雑な気分になりながら、けっこうな時間になったと外を見て帰路についた。
☆彡学祭当日
そしてやって来ましたよ学祭当日!時計が午前10時を指すとマイクラスの喫茶パイスタは開店となり、すでに行列がほどよく出来ていたので初回入店にて最初の満席となった。
そこは催事での運営なので最初に水を持って行っての注文にはなっておらず、まずはメニューを運んでいって注文を取り、その後に食事と一緒に飲み物を出す仕組みだ。
ただ、追加物が加奈から出されていて、メニューと一緒にアンケート用紙も配っている。それは程々に、料理が運ばれる前の待ち時間を癒していた。
加奈「お待たせ致しました!パイ加奈特性炊き立てのパエリアで~す。」
ここぞとばかりにパエリアのアピール!限定数でもあるのでここは初っぱなから飛ばして行く。ちょっと手間のかかるものや馴染みの少ないものは、ちょっとした工夫がないと売れ行きに大きな差がでるからだ。
それが閑散とする閉店間近にその不人気なものを売るのはとっても厳しいし、時間帯も今回の営業時間となればそこはおやつタイムになるからだ。
なら退路を作って勝利を掴め!そこでもうひとつの工夫がオーダーの仕方でもあった。
当然人気な商品が後半の位置取りになるので、スパの3品目のペスカトーレは本命で間違いない。それは呼び名を簡素化しペス1とかペス2すると、聞こえているお客でも記憶の留めは薄くなるからだ。そこへアマトリチャーナにボンゴレビアンコ、特別なパエリアはフル名を大きめの声かけとする事で、期待を持たせての印象を残す遣り方だ。
各々のテーブルの着席時に渡しているアンケートの一番下には、パエリアのルーツまでも記載済みである。そして現場が順調に20席が3回転した頃では、ちょっとしたギクシャクで問題になっていたモノも、卒なく熟すような体制になっていた。
ちょっと腕力がいるパスタの茹湯の交換を、加奈と裕介がそこそこの意気でこなしているので、このまま突き進みそうであったのだが60食目をこなした時間が予想以上に早く、80食になってからの買出しには調達時間不足な展開になってしまった。
ならば今の60食の時間に出発しないと、仕込みの材料が間に合わない計算が出てしまった。しかしこの状況に置いては60食分の資金しかないので、追加の100食は買ってはこれないため追加分が80食までとなれば140食が売れた頃を見計らって、1回余分な買出しをしなくてはならない。
加奈「祐君これを。お母さんが・・お金がすべてじゃないですが、お金で出来る事もたくさんあります。・・と」それを加奈母から加奈は預かって来ていたのだ。
やったぜ!加奈母・・惚れなおしちゃったよ!この好意に甘え一時的にだが拝借させて貰い、それから当初の計画通りに買い物を済ませる。
ここでもやはり子供のやる事は、親の手の内になっていた。転ばぬ先の杖・・いくら感謝しても足りないくらいの愛だろう。
この前倒しでの10時開店を行なったので、午後4時までの営業であったが終わりの頃には間延びもあって、トータルにして360食の販売で終了となった。
やっと終わった文化祭・・この後は片付けを遣れるだけやって、そこからは打ち上げに突入だ。
この営業時間内に昼食が取れなかった加奈は、ちょっとした合間に裕介が水分の補給やチョコを食べさせるなどで繋いでいたので、ここでやっとお食事タイムだ。それは裕介が買い物のついでに、フルーツサンドイッチの調達をしていた。
それでもって午後4時過ぎからバタバタと撤収作業に入り、手の空いた人から打ち上げも無事始まった。今回応援として加奈のクラスメイトが来ていたので、ささやかな報酬だが裕介が自腹でケーキを買って置いたのだ。その応援3人と加奈に京子、裕介は余ったチョコをお腹へと処分していた。
ここでの騒ぎの宴も酣であったが、そろそろお開きとしま~す!この打ち上げ終了の合図が出たのは午後5時半であった。まだ日は落ちてしまうほどの時期ではないが、そんなに早い時間でもない。
今回応援に来てくれた学外の者達は北上校近隣に住んでいるので、その帰路の交通手段にタクシーを調達する。その事を遠慮している彼女達だが、この交通費は課学外クラブの予算で処理されるから、そっちは大丈夫ですよと告げた。
そこはさすがの部長で、最近見ないけどちゃんと参加してる? 忘れ物のないように確認をしてもらって、荷物はタクシーに・・応援3人と加奈と裕介が同乗をした。
そのタクシー同乗者は家の近い人から降りて行き、3番目に加奈が降りたので裕介もそこで降りた。最後の1人である有馬美佳には精算をお願いして、翌日には加奈に領収書を渡して貰う手はずだ。最後の美佳がタクシーから降りたら、家に帰ったよメールを送って貰う事にした。
それはタクシーから降りた瞬間が・・そこまで気にする事でもないが、治外法権は家だと思っているオレだ。裕介は加奈を玄関先に届けて加奈母には、本日の報告と感謝を済ませて帰路についた。途中で美佳のメールを確認しながら(ちゃんと家に入ってメールしたんだろうな!)っと、余計な返信をしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます