第50話 56番!56番!剣先が低い!!

  次に9本の木刀形。

何とか、こなしてはみたが、2回ほどミスった。

相手の大学生が、合わせてくれたので助かった。

今の若者は、やさしい!


 いよいよ本番。日本剣道形の始まりである。

30人からの受験者が居る。


 2人の審判が手分けして、大声を張り上げながら

どちらか一方に分かれるように指示している。


 丁度、境目あたりに居た広志は、右側に合流した。

「はあい、こちら側は、打太刀!」

そう言っているように聞こえた。

打太刀なら何とかなる・・そう思った瞬間

もう一人の審判が、片手を挙げながら

「こちら側、仕太刀!」と叫んだ。

えええっ?どっち?

結局、仕太刀の側に組み込まれてしまった・・・。


 体育館狭しと二人一組で並ぶ。

上席に礼。相手に礼。

右手の木刀を正中線にかざして

左手に持ち返る。


 帯刀から前に3歩進み、蹲踞して

立ち上がる。

剣先を下げて、構えを解く。

「56番、56番、剣先が低い!」

体育館一杯に響き渡るマイクアナウンス!

んん?56番?自分である。

会場の観客の視線が、一斉に自分に注がれた!

剣先が低い?

どう言うこと?今までそんな事言われた事ない・・・。

何と!!そのマイクの声の主は、あの、横山であった!!

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