レンジ代 【スピンオフ】


「水無月、今日、休みですか?」


「有休。結婚したいから嫁さん捕まえてくるって。」


「なんすか、その理由。」


「有休だから、別にどんな理由でもいいんだよ。何かあった?」


「新規立ち上げ、水無月、筆頭者になってますよ。支社長の名前で。」


 書面を受け取った文被ふみひら班長がため息をついた。


「来るとは思ってた。下調べしといてやるか。」


 文被班長はラックに並べられた日本工業規格J I Sハンドブックに手を伸ばした。


「何でうちらまで巻き込まれるんですか?」


「みんな使ってるでしょ?文句言わない。面白いものも見れたしな。」


「何ですか?」


「所長が水無月のパシリにされたって、おかんむりよ。俺、笑っちゃった。」


「目のかたきにされますね、水無月。」


「若いうちはその位、勢いがあった方がいいんだよ。俺も嫁さん探してこようかな。」


「本当に捕まえて来たらどうします?新婚旅行いくんで後はよろしくーとか。」


「ハハッ、そん時はそん時よ。」


 文被班長は不敵な笑みを浮かべて言った。




「ぶっ殺す。」






 おしまい



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