四人の旅

 アニーの別荘に辿り着いたコギト達三人は、着替えてから、リビングにあった椅子に座って手当てを始めようとしていた。

 「いやあ、驚いたなあ。まさか、こんな所でコギトさんに会えるなんて」

 アニーは、救急箱を持ってきながら言った。

 「だから、『さん』はいらないって。後、救急箱と、敬語も」

 「え?でも……」

 「あっ、そっか。アニーちゃんには、見せていなかったね」

 コギトはそう言うと、ロブのお腹に手を当てて、

 「ライフアップある……いやべー……γ!」

 コギトは、ライフアップβを通り越して、γを閃いた。

 ライフアップγは、ロブの打撲痕を跡形もなく消した。

 「すごい……、痛みが完全に無くなった」

 ロブは感心した様子で言ったが、

 「あれ?ライフアップって、こんなに回復力すごかったっけ?」

 すぐに首を傾げた。

 「さっきの強いワニとの戦闘で、一気に成長したみたいだね」

 コギトは、肩をすくめて言った。

 「ちょっ、ちょっと待って、今の何?」

 アニーが、困惑した様子で言った。

 「見ての通り、超能力。PSIって呼んでるんだけどね」

 「ぴー、えすあい?」

 「うん。聞き慣れない単語だろうけどね」

 「へえ……、超能力、ね……」

 アニーは、イマイチ納得がいってなかったのか、何度か口の中でPSIと言うのを繰り返した。

 「まあ、信じられないのが普通だけど、さ」

 コギトは、もう一度肩をすくめた。

 「ま、まあ、今目の前で見せられた訳だし、信じるよ」

 アニーは、苦笑しながら言った。

 「そう言ってくれると助かるなあ」

 コギトは笑いながら言った。

 「ふーん、γで全回復なのね……私はまだβしか使えないからなあ……」

 ハナが、ライフアップβを自分にかけながら、羨ましそうに言った。

 「その内覚えると思うよ、多分」

 「多分って……」

 ハナは苦笑した。

 「まあ、とりあえず、洗濯物が乾くまでは、ここに泊まっていってよ。その間に、湿地帯に出てくる、人を襲う奴の事、教えるからさ」

 「あ、じゃあ、お言葉に甘えて」

 コギト達は、アニーの別荘に泊まる事となった。

 アニーの別荘に泊まっている間、コギト達は、旅の事情を話した。コギトの事も、全て話した。

 

 二日後。 

 「アニーちゃん、本当に着いてくるの?」

 ロブが、アニーに聞いた。

 「だから、着いて行くっていったでしょ。友達の友達が、困ってるんだから」

 事情を全て聞いたアニーは、コギト達三人に着いて行こうと言っていた。

 「バッヂを渡してそれでおしまいだなんて、私は嫌だよ。最後まで付き合うよ。それに、今ンイタンレバは治安がとても悪い状況なの。三人より、四人でしょ?」

 「アニーちゃん……、ありがとう。それじゃあ、行こうか」

 コギトは、そう言って歩き出そうとして、

 「あっ、コギトさん、道案内なら私がするよ」

 アニーが呼び止めて、コギト達の前を歩き出した。

                 ―続く―

 

 

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