第99話 出撃

空母ジョージ・ワシントン 航空甲板滑走路



2つのエンジン排口ノズルから燃焼する火炎が噴出、アフターバーナーによる点火された機体がカタパルトによって押し出された。



けたたましいジェット音を奏で1機のホーネットが大空に舞う



発進士官「Super needle arrow1 take off from warship.(スーパーニードルアロー1 離鑑)



第115攻撃飛行隊 F/A18C ホーネットの隊長1番機が今、出撃された。



続いて隣りの射出機に待機する2機目のホーネットもアフターバーナーが点火され、既に酸素マスクを装着したパイロットがコックピッド内から親指を立てOKサインを出す。



そして、その合図を確認した発進士官が頷くや、カタパルトオフィサーへ合図のジェスチャーを送り、両人差し指を前方へ立てながら



発進士官2「Go!aeroplane taking off from warship.(行け!発鑑だ)」



カタパルトオフィサーが射出ボタンを押す



すると 2機目のホーネットもカタパルトに押し出され、轟音と共に天空へと飛び立った。



発進士官2「Super needle arrow2 Flight.(飛翔)」



そして後続で起動された3番機、4番機のホーネットが迅速にカタパルトへと移送され、操縦席に乗り込むパイロットがあらゆる計器類のチェックをおこなう



「Instrument panel and Console panel all green.(計器盤、操作盤共に全て正常)」



「Avionics Start.(アビオニクス起動)」



「Phased Array Radar Clear.(フェーズドアレイレーダー正常)」



発進士官3「Ok!」



ウィィィィィ



そして、飛行甲板のカタパルト後方床が音と共に斜めに上昇し、突如ボードの様な壁が現れた。



発進士官3「Jet Blast Deflector!Setting completion.(ジェットブラストディフレクター 設置完了) 」



出撃時、戦闘機のエンジンノズルから排出時に生みだされるジェット気流や高温熱、排ガス



他の乗員や他の航空機をそれらから保護する為のジェットブラストディフレクターが発進士官によって設置された。



「EADI check」



「EICAS check」



「CCPI check」



「226XJ EOTS Clear.」



ホーネットの可変翼のスラットやフラップの稼動テスト、可動域の調整が行われ



「Movable V,G,W is Clear.(可変翼 可動良好)」



発進士官3「Ok Fire an Afterburner.(了解 アフターバーナーを点火しろ)」



そして点火された2つのノズルから更に勢いを増して燃焼されたジェット火炎が噴出される。



パイロットは、HUDの最終システムチェックと平行して操縦桿を操作、エンジン出力をフルパワーにしてブレーキを外すと最終チェックで操縦系を確認後、発進士官へ敬礼



発進士官に出撃可能の合図を送った。



同時に隣りのカタパルトでも4機目のホーネットが発進士官への合図を終える。



2人の発進士官が同時にカタパルトオフィサーへGoサインを出すや



2つのカタパルトが同時に作動、ホーネット2機が射出される。



時速250キロの高速でカタパルトが100メートルの距離を押し出し、2機のホーネットが天界へと飛び立った。

 


発進士官3「Super needle arrow3 take off」



発進士官4「Super needle arrow4 Flight」



こうして東北自動車道を目指し、今、4本の剣(つるぎ)が空母から飛び立った。



東京都江東区南砂町 上空



プロペラ音が聞こえる…



1つ…2つ…いや3つ4つ5つ…6つ



いや…もっとだ…



プロペラ音が近づき



日の丸のマークが施された黒い機体が現れ通り過ぎた。



陸自の多目汎用ヘリコプターUHー60JA通称ブラックホークだ!



機内には3名の海上自衛官が乗員しているのが見える。



そして、先頭を飛行するブラックホークの10メートル後方から4つのプロペラを回す大型の攻撃機が姿を現した。



威圧を放つ勇猛な機体



ACー130Uスペクター通称ガンシップだ!



そして、すぐ斜め後方を飛行し姿を現したのはスペクターと同型の戦術輸送機ハーキュリーズ!



そのハーキュリーズの横にもう一機の陸自用ブラックホークが飛行している。



また!スペクターの斜め後方に、もう一機の日の丸を掲げたブラックホーク、最後方にももう一機の日本製ブラックホークが飛行している。



この6機の編隊飛行する機体…



常磐自動車道を目指すガンシップ隊だ



スペクター、ハーキュリーズを中心に4機のブラックホークが囲む様な飛行形態がとられている。



ホーネット隊より15分程前に駆逐艦を飛び立ち常磐自動車道を目指すガンシップ隊。



スペクターパイロット「Registration aau130uー002」



ガンシップのバトルマネージメント室にある火器管制の射撃管制パネルに1人の管制官が装甲抗弾能力値を入力している。



スペクターパイロット「Latitude 150…longitude 090…」



目標の敵は…装甲の硬い戦車でもなければ…



対空の機関砲でも無い…



自分等と同じ単なる肉の塊だ



管制官は0の数字を入力した。



次に防弾圧鋼板換算値…これも0



スペクターパイロット「Altitade 4000feet.」



次に…迎撃弾威力推定数値



相手はたかがゾンビだ…ウロウロ歩くだけで迎撃される恐れは無い



これも0だ…



そして次々と数値を入力しながら火器管制官が横に置かれた受話器を手に取り口にした。



管制官「The first pointer…(第一砲手…)」



管制官「Sighting shot of Bofors.(ボフォースの試射をしろ)」



第一砲手「Wilco(了解)」



管制官「The Second pointer…! Sighting Shot of Chain Gun…take off a beltlink by all means.(第2砲手も…チェーンガンの試射をしろ…ベルトリンクは外せよ)」



第2砲手「Aye Aye sir.(了解しました)」



スペクターパイロット「Vertical speed…climb rate80%、drop rate50%…and…Modss112422…」



即座に各砲座の機関砲が作動し空砲による射撃テストが行われた。



ハーキュリーズでもGAUー12 25mmガトリング砲やM102 105mm榴弾砲の空砲テストが行われている。



また4機のブラックホークでもMINIMIによる試射弾のテスト撃ちが実施されていた。



その一機のブラックホークに乗員する自衛官



榊原二等海尉「なぁ…おまえ知ってるか?今…市ヶ谷の弾薬製造工場をフル稼動してるらしいぞ…原料があるだけ弾薬製造に回してるみたいだ…」



吉田二等海士「え…2尉…それまじすか?って事は例の弾薬製造してる旭川精機って企業…でしたっけ?」



榊原「あぁ…銃器の弾薬を全て担ってる企業だな!そこの製造ラインを今、全て5.56の普通弾にしてるらしい」



吉田「じゃあこのMINIMIも撃ち放題っすね」



榊原「撃ち放題…?まぁ…当面はな…でも吉田!よく聞け!今…推定ではゾンビの数は一億体いるんだ…弾は一億発分も無いぞ…死にたくなければ…節約と正確な射撃が必要になる…無駄撃ちは絶対控えるんだ…いいな?」



吉田「一億体も…あ…はい…分かりました2尉…」



そして、スペクターを始め、各機で兵装の作動テストが行われた。



スペクターパイロット「Track is…0010…over」



コニングタワー「Copy!」



目的ポイント到着までおよそ15分



もう間もなく戦争が始まる…

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