第28話 会戦

スタイル「ねぇ…何よ殺人って…?こんな事になった以上、屋上の生存者さん達には悪いけど作戦は失敗よ 今なら…まだ間に合うし このまま引き返せば帰れるわ さぁ 戻りましょう」



スタイルが歩き始めるとハサウェイがそれを呼び止めた。



ハサウェイ「待ってスタイルさん 無駄だよ 既に駐車場入口門の頑丈なシャッターは降ろされてる… 多分出れない」



スタイル「そんなの行ってみないと分からないじゃない しかも奴等がさっき入ってきたんだし」



ハサウェイ「いや 無理だよ 駆逐してる最中上から閉まる音が聞こえてきた もう行かなくても分かるよ…残念だけど… 恐らく閉じ込められ」



スタイル「そんな…じゃあどうするのこれから?本気であんな野蛮な奴等を相手にするつもり?」



よしたか「当たり前だよ あいつらは前田のおっさんを殺したんだ 敵討ちしないと気が済まない」



純や「そうだぁ 俺達もおおますさんが殺られた 仇討ちしないとこの怒りおさまらない」



スタイル「嫌よ それは… 確かに許せないし、憎いかもしれないけど 目的が違うもの 殺し合いのゲームなんか私は嫌!そんなの絶対嫌!」



よしたか「もう あんたも立派に巻き込まれたんだ ここは腹をくくるしかないよ」



スタイル「私もあの殺人集団に命を狙われるの…?」



純や「スタイルさん その通りだよ 殺人を快楽に思ってる様なイかれた輩だ 躊躇無く命を狙ってくるだろう」



江藤「純や君 とりあえず落ち着いて」



純や「落ち着いてられるかよ おおますさんが…」



江藤「今は錯乱してても仕方無いよ まずはみんな冷静になろう っで!これからどうします?」



江藤がハサウェイへ振ると



ハサウェイ「奴等が敵になった以上、今後ゾンビと俺達の三つ巴の図式になるだろう…」



エレナ「そうですね 感染者だけでもリスクが大きくて苦労するのに…でも、主旨はやはり上の人達の救出です。とりあえず上を目指しませんか?」



スタイル「嫌よ もう作戦はオジャンになったじゃない 見殺しにするのは心が痛むけど上に行けば行くほど更にリスクだって上がるのよ ここは安全なんだからここに留まるべきよ」



エレナ「スタイルさん 今は安全だけど、ここも直に奴等が侵入してくる可能性は高いと思います 脱出するしか…このビルに安全な場所なんて無いに等しいと思います」



スタイル「そんなぁ…」



江藤「ここに居てもラチあかない!さっき20階と32階が手薄だと言ってましたが行ってみますか?」



葛藤「デマかせな罠だったら…?」



ハサウェイ「いや 恐らくホントの事だと思う」



葛藤「なんでそう言える?あんな奴等の言葉信用するのか?」



ハサウェイ「あの余裕 あいつは完全に俺達を舐めている それにゲームを提案してきたのは向こうだ ゲーム開始早々俺達に全滅されても困るだろう 純粋に監視カメラを見て言ったと思う」



葛藤「なるほど じゃあ とりあえず上に行ってから考えてみるかぁ?」



ハサウェイは頷くと



ハサウェイ「あぁ それに…一度じっくりとあいつらの顔を見ときたい まずは挨拶してやんないとさぁ」



ーーーーーーーーーーーーーーーー




警備室 



キラー「おまえ勝手に人の名前出してんじゃねえよ それと何勝手に話し進めてんだよ」



芹沢「ハッ ゲームなんてウソっぱちにに決まってんじゃん そんなの形だけだよ だって結局狩るって事には違いないでしょ それにどちらにせよ龍谷にはまだ待てって言われてんだし 1時間は待たないと怒られるよ どうせ奴等は逃げらんないし」



キラー「まぁ そうだな」



健太「なぁ ところでこいつらはどうするよ?」



健太が直立不動で立ち尽くす修平とスギゾーを指差した。



デスがスギゾーへ話しかける。



デス「なあ おまえ さっき龍谷が連れてった女いたろ あれってもしやおまえの女じゃねぇ?」



スギゾーは恐怖で硬直しながらゆっくりと頷いた。



デス「ハハ やっぱしな なぁ エラいいい女だな 今龍谷くんに何されてるかおまえ分かってんの?」



スギゾーは血の気の引いた表情で再度頷いた。



デス「はは 分かるのか こいつ自分の女が連れ去られたのを何もせず黙って見てた事になるぜ 腰抜けどころか最低な彼氏じゃねぇ」



芹沢「クズだなぁ~~」



キラー「あぁ 彼氏としてと言うか…男として最低な野郎だな 風上にもおけねぇ~~」



スギゾー「…」



デスがゆっくり立ち上がりスギゾーの背後へ周るやスタンガンを押し付けた。



デス「おまえちっと来い」



そして デスがスギゾーをどこかへと連れて行った。



健太「あいつ本気で歪み過ぎだな」



キラー「それはおまえもだろ」



芹沢「おまえもだ」



キラーと健太「おまえもだ!」



デスとスギゾーが廊下に出た途端



何処からともなく晴菜のあの声が聞こえてきた。



デスはすぐに2人の居場所を特定する事ができた。



それは従業員仮眠室のネームプレートが貼られた扉の先



そこを開くとソファーに座った龍谷



そして衣服を全て剥ぎ取られ龍谷にまたがり、座位の体位で激しく腰を動かす晴菜の姿が見てとれた。



龍谷のレイプする常套手段なのか…??



晴菜の首には刃物が押し突きつけられ、晴菜は腰振り動作を強要されていた。



急速にスギゾーの顔色が悪化する光景



自分の女が目の前で…



犯されている…



龍谷「なんだ?邪魔だ 向こう行ってろ」



デス「なぁ 龍谷 その女 こいつの彼女らしいよ」



すると無言で龍谷がチラリとスギゾーを眼にするや



「前を向け」



全裸の晴菜を後ろ姿から前向きに…



デスとスギゾーの正面に向かせ激しい腰振りを強制した。



再び後ろから晴菜の首筋に鋭いナイフが添えられる…



晴菜はスギゾーと眼を合わせ涙を流し、眼を背け、眼を瞑り、喘ぎ声を必死に押し殺した。



お願い… みないで…



デス「ヒャハハハ 恥ずかしいから見ないでだってよ なぁ 自分の女が眼の前で犯されてるって彼氏的にどんな気分なんだよ」



スギゾーの眼に涙が溢れ恐怖心より次第に怒りがこみ上げてきた。



スギゾーは目の前で行われてる行為を直視出来ず、床に膝を付き崩れ落ちた。



デス「はっははは おいおい 何勝手に座ってんだよ 悔し涙とかウゼェーから なぁ どうゆう気分なのか教えろよ この女 背徳感で逆に興奮してんぜ」



スギゾーは小声で口にした。



スギゾー「黙れ…」



デス「あぁ?」



スギゾー「おまえら…」



デス「あ!?何?」



…こいつらホントに同じ人間か?…



…こいつらに比べればまだゾンビの方がマシじゃねえか…



…晴菜ごめんな…



俺がこんな所に連れてきちまったばっかりに…



…こんなヒドい目にあわせちまって…



…どけよ…



晴菜から離れろ…



スギゾーは顔を上げると龍谷に向かい大声をあげた。



スギゾー「どけよ… おい 晴菜からどけよ!」



そう怒鳴りつける



だが ソファーの軋む音は止まず龍谷は無言で性行為を続けた。



晴菜の髪と胸は激しい上下運動により乱れ、揺らぎ続ける



晴菜は大量の涙を流しながら手で口を塞いだ。



スギゾー「おい 聞こえなかったのかよ?おまえ… さっさと晴菜からどけって言ってんだよ」



目の前の許すまじき行為に怒りの頂点に達したスギゾーが思い余って立ち上がった。



そして 龍谷へ詰め寄ろうとした。



その時だ



スギゾーの脳天に突如ナイフが深々と刺し込まれた。



スギゾーの眼が張り裂けんばかりに見開かれ晴菜を見続ける…



晴菜はスギゾーと目を合わせ



晴菜「いや いやぁぁ~~~~」



龍谷の激しいピストン運動が行われる中、晴菜は泣き叫んだ。



デス「質問に答えないで勝手に喚くな馬鹿がぁ それと勝手に動くんじゃねえよ」



スギゾーは犯される晴菜を見続けながら前に倒れ、死亡した。



頭に深々とナイフが突き刺されたままに…



それと同時に龍谷の動きが止まり、快楽の表情で晴菜の中に放出、激しい腰振りが止んだ



性行為が終わり喉からナイフが離れると同時に晴菜が倒れたスギゾーへ近寄ろうと動いた…



瞬間



突然晴菜の首がナイフでかっ捌かれた。



頸動脈を裂かれ、尋常じゃない量の血液が吹き出し、スギゾーの遺体に降りかかった。



デス「うわっ 汚ね」



それから晴菜も抵抗無く前倒れで床へと倒れた。



うつ伏せの状態で裂かれた首から止まらぬ血、晴菜が必死に両手で押さえるも流血は止まらず、晴菜の顔は真っ赤に染まっていた。



晴菜「いや いや いやぁぁぁ~~~~」



それから晴菜は床をのたうち回り苦しみの表情を浮かべながらスギゾーの死体を目にした。



憎しみ、悲しみの残留思念を漂わせ…



スギゾーの死体に腕を伸ばした途中で



晴菜もそのまま息絶えた。



デス「おぃ ちょっと待てよ 龍谷なんでこの女まで殺すんだよ?まだ俺挿入(い)れてねぇーぞ 順番あんじゃねぇかよ」



龍谷「勝手に動きやがった」



その後龍谷とデスが警備室に戻ってきた。



健太「あれ あの2人は?」



デス「男は俺が…こいつ女まで殺しやがった」



健太「はぁ?殺した?男は別にいいけど道具まで殺すなや… まじかよ?」



龍谷は何もなかったかの様な素振りで芹沢に近寄り口にした。



龍谷「状況は?」



芹沢は1つのモニター画面を指で叩き



芹沢「いるよ ここ」



龍谷がモニターに映る8人の姿を目にした。



眼つきを変え



龍谷「よし 早速 人間狩りにでも出かけるか」



龍谷の1言でキラー、デス、健太、芹沢の眼つきも急変、凶暴な顔つきとなった。



死闘が始まる…

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