第24話 作戦

おおます「お初に御会いした方々 はじめまして!私はおおますと申します よろしくお願い致します」



おおますが軽く一礼すると数人が応えて頭を下げた。



おおます「そして、こちらが西新宿チームより作戦に加わって頂いた 前田さんです」



おおますの隣りにいる男 前田



おおますから紹介を受け前田が深々と頭を下げた。



前田「宜しくお願いします」



おおます「え~ ではっ 皆さんの自己紹介をする前にまずはざっと近況報告と軽い説明から始めていきたいと思います まず4日前から高層ビルにいる生存者達との交信が途絶えてしまいました。 恐らくはパソコンの充電切れと思われますがその為現在安否が取れない状態です 生存数は28名と報告を受けてます」



刺青の男はおおますの話しになど耳をかさず… エレナの後ろ姿のみをただずっとガン見している…



おおます「ただし餓死者がいつ出てもおかしくない危険な状態との事です 今作戦はこの生存者達を速やかに救出する事が目的です ただこれには大きな問題点が1つあります それはこのビル内、ビル全域に奴等が多数徘徊しているって点です 正確な数も不明で困難を極める事が予想されます」



徐(おもむろ)に前田が部屋の明かりを消し、プロジェクターを作動させ。



すると黒板に線で描かれた立体的なビルの構造図が映し出された。



おおます「次にこのビルの簡単な説明に入りたいと思います え~ このビルにはおよそ7箇所の出入り口があります まずはここ!南側の正門ゲート…」



おおますが構造図を指差しながら説明を続けた。



おおます「…そして次に北側の裏ゲート、次いで西側には非常口、東側には防災管理及び警備員室へと繋がる扉、もう1カ所がここの非常口、そして最後に地下のパーキングから繋がる業者用の搬入エレベーターと来客用のエレベーターの2箇所 ビル内部に通ずる計7箇所が存在します」



純やと江藤は腕を組みながらおおますの話しに真剣に耳を傾けている。



おおます「この中で奴等との戦闘経験のある者は?」



エレナ、ハサウェイ、純や、江藤が手を挙げ、次いで葛藤、よしたかも挙手、また太ったオタク風な男と最後列にいる5人組が手をあげた。



おおますは見渡し頷くと



おおます「ありがとう 未経験者も多い実情 なるべく会敵は回避しなければいけません ですのでこの救出作戦に当たる前にまず最初にやらなければならない事があります… ではっ その説明を前田さんお願いします」



すると おおますに変わり今度は前田が黒板に投影された立体見取り図を前に説明を始めた。



前田「え~ まずはここの正門と裏門の自動扉を停止させなければならない… 今も尚この自動扉は作動してましてゾンビ等が自由に出入りを繰り返してる状況です… したがってまずはこの2つの扉を停止させ、各入口のシャッターを降ろして、外部とシャットアウトする必要があります」



小太りなオタク男が手を挙げ前田に質問した。



オタク男「あ~ すんません そのメインフロアーにはゾンビ達何匹くらいいるんですか?」



前田「今も自由に出入りしてるので正確な数までは分からない… 最低でも40体から50体以上はいるだろうと思われる…」



オタク男「ふーん まぁ 思ったよりは少ないか…」



前田が話しを続けた。



前田「とりあえずこいつを早く停めないといつまで経っても奴等がどんどんと中に入ってきてしまう為 この作業が第1優先です… それでこの自動扉のスイッチの場所なんですが スイッチはここの受付の中カウンター後ろにあるスイッチ盤もしくわ警備員室にあるメインセキュリティーコンピューターの操作と2箇所ある事が分かってます そこでまずはこの警備員用の入口から警備員室へ侵入、両自動ドアの電源をオフにして外部との通行を遮断させたいと考えてます それとこのビルはセキュリティーがかなりしっかりしてて厳重です 至る所に防犯カメラが設置され、今尚動いてる事が分かりました。ですのでここの警備員室を占拠後 ここからモニター監視で奴等の動きを把握し、指示を送る事も出来ます… ここを司令室として使用しここから作戦を実行していきたいと思ってます その為にもここは重要な場所になる訳です」



前田の説明を聞きながらよしたかが葛藤に小声でそっと耳打ちした



よしたか「親っさん ちょっと緊張してません?」



葛藤はその問いかけに軽く鼻で笑い気だるそうな表情を浮かべている。



前田「…それからEV(エレベーター)を使い一気に屋上まで移動したい所なんですが… EVはエントランス…つまり室内にいるゾンビ達のド真ん中に位置している為… まずは1階メインフロアーのゾンビを一掃するって手もありますが… これはあまりにリスクが高い為断念しました その代わりに地下のEVを使いたいと思ってます」



太った男がまた手を挙げ口を開いた



オタク男「ん? 警備室と地下パーキングって事ですよね それってつまり二手に別れるって事ですか?」



前田「はい 最初だけですが ではっ そこらへんの詳細を説明したいと思います。 まず2班に別れます。 1班は警備員室へ そしてもう1班は地下パーキングへ! 地下班は到着後に待機 警備室班は到着後にモニターでゾンビの数をチェックしゾンビの少ない階、もしくわゾンビのいない階へ地下班を誘導します それら確認、連絡をとりながら待機班は指示された階へと移動するんです そして警備室班は指示者を残し移動します。 ここの制御室の隣りにある非常階段を使ってまずは3階まで上がり、そしてここに非常用の通路があるのでこれを使用して西側へと移ります したらここに来客用のEVがあるのでこれを使って指定の階へ上がり合流が出来ます そこからは一気に屋上まで行くっていう作戦です どうでしょう? ここまでで何か質問はありますか?」



するとハサウェイが挙手するや席から立ち上がり口を開いた。



ハサウェイは「大まかな概要は分かりました み…んな… 理解出来たかと思います 俺から1つだけ質問があります それはビル内に入る以前の問題なんですが ビルの周りにも大群の奴等が徘徊してるって聞いたんですが ビルに潜入する事事態難しいのでは? どうやって入り込むんですか?」



おおます「ハサウェイ! 先走るな 説明はまだ終わっとらん それもこれから…」



前田「えぇ それは既に手を打ってます」



前田が端に座るある筋骨隆々な男を指差し話しを続けた。



前田「それは彼が担当しますので 」



ハサウェイは後ろを振り返り、皆もその男に視線を向けた。



前田「ダンプカーを入手してます 当日その車を使います それを使って奴等をおびき寄せ、隙をつくりますので… まぁそれは当日にでも」



室内の明かりが点き、プロジェクターが消されると、おおますが用紙を配りはじめた



おおます「実際は現場に行かないと何とも言えん状況です…」



エレナは配られた用紙に目を通した。



地下潜入班


新宿チーム ハサウェイ、エレナ、純や、江藤  



西新宿チーム 葛藤、よしたか



神谷町チーム 由美 スタイル



警備員室潜入班



渋谷チーム 龍谷 キラー 健太 デス 芹沢



千代田チーム まるこめ 修平 晴菜 スギゾー



指揮、運搬

おおます 前田 矢口



おおます「この表の通り2班に分かれて貰います ではっ遅れながら紹介も兼ねてまずは、地下潜入班 新宿チーム ハサウェイ、エレナ…」



おおますに呼ばれハサウェイとエレナが立ち上がりハサウェイは軽く会釈、エレナは皆に手を振り笑顔を振りまいた。



エレナ「よろしくお願いします」



それから純や、江藤が呼ばれ順々に名が呼ばれていった



おおます「…よしたか 次いで神谷町チーム 由美…」



ショートヘアーの女子高生 由美が立ち上がるが会釈も挨拶も無く席に着く



おおます「…スタイル!」



厚化粧のニューハーフ スタイルが立ち上がるや皆にウインクしながら手を振る。



おおます「続いて 警備員室潜入班渋谷チーム 龍谷!」



スキンヘッドにタンクトップ姿 首、腕、全身に入れられた刺青



龍谷は立ち上がりもせず右手のみを軽く挙げた。



おおます「キラー!」



目つきも悪くガラの悪そうな男キラー



デニムのポケットに手を突っ込んだまま挨拶は無い



後ろのポケットからドデカいナイフとが見える。



おおます「デス!」



デス「おぃ」



渋谷にたむろしてそうなギャル男風の容姿そのままな男デス



この部屋にいる女を舐め回すように見ている。



その男のシャツには、スタンガンらしきものが入れられていた。



おおます「健太!」



小さめだが体格のガッシリした男健太は椅子の背もたれに反り返る程にもたれイビキをかいて爆睡している。



テーブルの上には拳銃が置かれていた。



おおます「…芹沢!」



眼鏡を掛けた一見普通に真面目そうな好青年芹沢が立ち上がるや笑顔を見せながら皆に挨拶を交わした。



芹沢「皆様どうも~ 芹沢です 宜しく~」



テーブルに愛用のノートパソコンが置かれている…



おおます「…次に晴菜!」



長身なモデル風の女性晴菜が立ち上がり行儀良く会釈した。



晴菜「宜しくお願いします」



おおます「スギゾー!」



こちらもモデル並みに背も高く男前な男スギゾーが立ち手で挨拶した。



スギゾー「しくよろ」



おおます「修平!」



ヒョロヒョロっとした暗い感じ



無口な青年が修平が立ち上がりすぐに着席した。



おおます「まるこめ!」



一見オタク風な太った男まるこめが立ち上がる



まるこめ「よろしくー」



おおます「最後に運搬係に矢口!」



ボディービルダーのような鋼の筋肉の男矢口が立ち上がり挨拶した。



矢口「運搬係りを務めます 矢口です」



おおますは壁に掛けられた時計にチラッと目向け



おおます「以上 今日はこれにて解散します 2日後…0時ジャストに作戦を決行する」

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