どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第896話 ど男騎士さんと真どエルフさん
第896話 ど男騎士さんと真どエルフさん
【前回のあらすじ】
男騎士を謎の光が襲う。
特選エクスカリバーにかかっていた呪いが、不用意に近づいた男騎士に襲いかかったのだ。あわれ男騎士、絶叫の後に倒れた彼は。
「まさか、そんな、これはもしや――」
「えぇ、ティト、そのもしやよ」
「TS好きの執念が、まさか剣にこんな力を与えていたなんて。いったい誰が想像するかよ。ティトお前は今――」
女の子になってしまったのだった。
それはTS王としてこの世界に君臨した合体英雄が残した呪い。いじらしいまでのTSへの執着。そして、やっぱり、なんというか型○パロ。
TS王の呪いにより、男騎士は女騎士へと変身してしまったのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「こ、これが俺――いや、私。なんて美しいんだ」
「はい、お前のその順応の高さはいったいどこから来るんだ。もっとこう、驚いたりするべきではないのかと」
「モーラちゃん、言うな。こいつにとっては、謎の魔法にかかることの怖さよりも、性転換して女の子になることのわくわくの方が上なんだ」
「なんちゅー適応力」
「男ってのはそういうもんなんだよ」
三人のTS王の言葉が今更ながら女エルフの頭の中に蘇る。
どうやら男騎士もまた、自分の内側に女の子になりたい願望を貯めている男だったようだ。頭の痛いこと限りない話ではあるが。
まぁ、ショックを受けて戦闘不能になるよりはいいか。
女エルフと魔剣がそんなことを思ったのもつかの間。
「……むっ、むぐぐっ、なんということ。女子の身体というのは、ここまで動かし辛いのか。いや、待て、エルフの身体ということもあるかもしれない。なんにしても、ものすごく身体が重たい。これは、こんな鎧なんて着ていられないぞ」
「え、ちょっと、マジで言ってるのティト?」
「……まぁ、お前、男にしても結構重たい装備してたもんな。冒険者は基本的に軽装なのに、騎士と同じレベルの鎧着込んでたもんな」
元々、騎士団出身の男騎士。
しかも所属していた騎士団が、大陸全土を守護することを目的とした化け物騎士団ということもあって、彼の身体能力は極めて高く、冒険者に身を落としても尚、騎士団時代と同様の装備をし続けていた。
なので普通の冒険者ならばまず着ないプレートメイルなどで武装している。
戦争などの戦闘時間が限定された局所戦ならばいざ知らず、数日がかりでミッションをこなす冒険者の装備として、その行動力と体力を削ぐプレートメイルは、あまり好まれるものではない。
いや、純粋に、冒険者が使いこなせるものではないのだ。
使いこなす――それを充分に機能させるにはちゃんとしたトレーニングが必要。
剣と同じでプレートメイルとは簡単に使える防具ではない。
それこそ騎士団でその扱い方を徹底して教え込まれたからこそ、男騎士はそれを着込んで闘う事ができるし、長時間による行動もすることができたが――それが女の身に置き換わったとき、十全に使いこなせるかと言えばそれは違う。
女の身体でフルプレートメイルを使いこなすのにはまたそれはそれで使い方があり、その技術を身につけていない男騎士に、まして男物のフルプレートメイルを操ることはできないのだった。
じたばたと鎧を着たまま動き回る女になった男騎士。
まるで陸に打ち上げられた魚ねと、それを生温かい目で見つめる女エルフ。するとすぐに、見てないで助けてくれと彼女は男騎士から助けを求められた。
マヌケかつ自業自得とはいえ、確かにこのまま放っておくこともできない。
仕方ないなとごちって女エルフ。
彼女は得意の魔法――久しぶりの
そう――そのボインボインのナイスバディな身体に合うように。
金属部分の多くがそぎ落とされて、プレートメイルの下に着込んでいた衣服と混じり合って再構成される。
とはいえ、ただの布では心許ない。
大事な部分は、プレートメイルの繋ぎに使われていた皮を使って補強する。
金属による補助装甲が追加されたチェイン+レザーメイル。
女性の身体でもなんとか動ける重量と可動域に代わった鎧に身を包むと、ようやく男騎士はその場に立ち上がった。
ふぅ、と、彼の口からため息の安堵が漏れる。
「いやぁ、一緒にモーラさんが居てくれて助かった。まさかこんな悪質なトラップに引っかかってしまうとは」
「いや、悪質なトラップというか、自分から罹りにいったんでしょうよ。もうちょっと慎重に動きなさいよ」
「モーラちゃん、言うてこれはちょっと想像できひんってもんやで……いや、それにしても。元がティトにしてもこれはなんというか」
黒髪のエルフ。
我が儘なボディに、ワイルドな風貌。
そして、これでもかと鋼成分をそぎ落としたのと、レザー部分が少なかったことにより、意図せずなってしまったビキニアーマー。
まさしく、歴戦の女戦士の風格。
そんなモノを漂わせる、見事な女エルフがそこには立っていた。
そう、女エルフよりも女エルフらしい、真の女エルフが。
おもわず、またしても女エルフの顔がジト目になる。
「ふぅん、それが、お前の思う最高の女エルフってことね、ティト」
「いや、そういう訳じゃない!! 別にそういう意図は全然ない!! まぁ、たしかに――モーラさんと比べれば、ちょっといろいろヒロイン力高いなとは思うけど」
「はい、火炎魔法で焼く。ちょとダークエルフになってみよっか?」
「冗談だよ冗談!!」
「いや、しかし、ティト。冗談でエルフィンガーティト子とかやってるけど、いざ本物になってみると、お前なかなか様になってるじゃねえか。ちょっと俺様もキュンときたぞ?」
「エロスまで!! まったく、バカなことを言うのはよしてくれ!!」
ヒロインよりヒロインらしい姿をした真どエルフさんこと男騎士。
照れ照れと頬をかくその姿に、妙な間がパーティに流れる。
その沈黙を満を持して破って、女エルフが魔剣に視線を向ける。
「やっぱちょっとヒロイン力高くない? 嫌なんだけれど、主人公のTSした姿にヒロイン力で負けるとか、屈辱以外のなにものでもないんだけれど。まだ、エルフィンガーティト子は許せていたけれど、これはちょっと」
「……まぁけど、モーラちゃん、ほら、これでどエルフの席はこいつに譲れるし」
「なるほど!! ならいいか!!」
「ちっともよくない!!」
「またまた、嬉しいくせに」
「TSできて嬉しいくせに嫌がっちゃうとは。いや、TSモノの肝を押えておりますな。流石だな真どエルフさん、さすがだ」
そういうんじゃないんだと女になった男騎士の叫びが響く。
普段弄られているだけに、ここぞという時に弄り返されるのは、もはや自業自得というほか仕方が無いのだった。
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