どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第818話 ど法王さんと大胸筋プロテクター
第818話 ど法王さんと大胸筋プロテクター
【前回のあらすじ】
男騎士達が迷い込んだのは偶像英雄ペニ○・サイズとマヨイガが合体してできた悪魔の館。人々の根源的恐怖を映し出す、ホラーハウスだった。
不本意な女装に苦しめられる(?)男騎士達。
その気色の悪さに悲鳴を上げる女エルフ達。
この恐怖を乗り越えることこそ、このフロアの戦いの勝利条件。
一方その頃、そんな事情は知らない
突然退路を断たれ、扉の向こうに進むことを強要される法王達。
蛇が出るか鬼が出るか。はたして、法王達を扉の向こうで待ち構えていたのは。
「へい、いらっしぇえ!! ここはおっぱい屋だよ!! 今日もいいおっぱい入ってるよ!! どうだい、お嬢ちゃん!! 装備していかないかい!!」
おっぱいをつけたおっさんというとてつもない視覚的衝撃であった。
はたして、これは誰の深層心理に根付いた恐怖なのか。
「いや、あるでばらんの回でもう明らかよね」
はたしておっぱいの恐怖に、彼女は打ち勝つことができるのか。
という所で、今週もどエルフさんはじまりますよ。
◇ ◇ ◇ ◇
「おっぱい屋。ふむ、どういう営業形態か分かりかねますが、どうやらおっぱいを商っているようですね。いいおっぱいとはどういうものか、ひとつ見せていただけませんか?」
「リーケット様!?」
いきなりこの非常識極まりない世界に順応して見せた
目の前のおっぱいをはやしたおっさんという、伝説級のクリーチャーを遭遇しながらも、彼女はいっさいひるむことは無かった。
この状況を前にして流石の法王というべきだろう。
はたして、その灰色の脳細胞を活性化させて、ここがペニ○・サイズとマヨイガが合体したホラーハウスと瞬時に理解したのか。はたまた、目の前に立ち塞がるおっぱい男という異形から、恐怖することが自分たちにとっての敗北の条件だということを察したのか。
若き女法王は、そんなことでは驚かぬぞと気丈に男に相対した。
いや、いささか頭に血が上っていた。血管が浮き出ていた。ついでに奥歯もかみしめていた。もはや顔面から怒りがこみ上げていた。
「……リーケット様?」
「いけない、彼女は今、頭に血が上っている」
違った。
法王は別に聡明でも何でも無かった。
いきなり現れたおっぱい屋などという、得体の知れない存在に憤怒していた。
いや、まるで自分への当てつけのように現れたおっぱい屋なる、あきらかに採算がとれなさそうな商売に、悪意以外の何物も感じることができず、憤慨していた。
あぁん、喧嘩なら言い値で買うぞ。
全身全霊でぶち切れていた。
中央大陸はおろか、世界全土にあまねく信奉される教会。
その頭領の彼女が弱腰な訳がない。
ときには各国の元首に対して対等に渡り合うだけの胆力を持ち合わせていなければ、教会の長という席に座ることはできないのだ。
そして、先ほどのあるでばらんによる突然の貧乳弄りも加えて、このような悪意と下劣極まりない○金闘士たちの行いに、正義の怒りを燃え上がらせていたのだ。
そう。
今が、その刻であった。
法王にも意地があるのだ。
決して譲れぬ、心の中の矜持というものがあるのだ。
そこに、この、おっぱい屋のおっさんは土足で上がり込んだ。
もはやこれより先に残された道は、血で血を洗う争いしかない。
貞淑にして賢明なる法王の姿はそこにはない。
一人の小さなおっぱいを気にする女がそこにはいた。
怒りのオーラを振りまいて彼女は、手にしたロッドを放り投げると、おっぱい屋が待ち受けるカウンターへとにじり寄る。
どんとそのカウンターに肘を乗せて、下からおやじの顔をねめつけるその姿は、おおよそ世界の人々の平和を願う教会の長と言うにはおぞましく、そして、修羅の巷に片足を突っ込んでいるものだった。
「見せて貰おうじゃありませんか。そのいいおっぱいって奴を」
「おぉう、こりゃまたおっぱいの盛り甲斐がありそうなお嬢ちゃんじゃないか。いいね、気に入ったよ。その胸のパッドなんかじゃ味わえない、極上のおっぱいって奴を、この俺が味合わせてやるよ」
「ほざけ――これは大胸筋プロテクターだ!!」
法王リーケット、いきなり上着を脱ぎ散らかす。
まるでプロレスラーのように颯爽と道衣を脱いだ彼女の上半身には、キャミソールでもブラジャーでもなく、コルセット――胸回りにパッドをしこたま装着できる、革鎧が巻かれていた。
まさか、そんな重たそうなモノを着けて、今まで彼女は戦っていたというのか。
いやそれよりも、その胸の貧しさは、もはやあまりに貧しすぎていじってやるのがかわいそうということで、皆何も言わなくなった女エルフに迫るものがあるのではないのか。
なんにしても、法王は胸のパッドもとい大胸筋プロテクターをこれでもかと見せつけて、目の前のおっぱい屋の親父に勝負を挑んだ。
「ふっ、パッドを大胸筋プロテクターと言い張るその度胸。嫌いじゃないわよ」
「誰がなんと言おうと、これはパッドではない。大胸筋プロテクターであり、胸部を守るためのまっとうな装備だ」
「胸部装甲の厚さが防御力の決定的要素だと誰が決めた。やれやれ、そうやって慎ましやかなおっぱいを否定する辺り、お嬢ちゃんはまだまだおっぱいの神髄にたどりつけていないと見える」
「おっぱいの神髄だと!!」
どういう意味だといきり立って叫ぶ法王。
しかしながら、今もっともその言葉を叫びたいのは、彼女の後ろでこの茶番に対して、いったいどういう風に口を挟めばいいのか分からず、ただただ見守ることしかできない新女王と魔性少年であった。
新女王。
年の割にはしっかりと育っているたわわを抱えて一言。
「そんなに大きいことはいいことでしょうか。割と、私は、これの扱いを持て余しているきらいがあるのですけれど」
「持っている奴はそう言うんだよ!!」
「ひんっ!!」
「リーケットさん落ち着いてください!! こちらは味方です!!」
もはや敵味方もわからぬほどの感情の奔流に飲み込まれた法王。
はたして、彼女は目の前の恐怖の権化――おっぱい屋に彼女は勝てるのか。
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