第790話 侵略デビ娘とどエルフさん

【前回のあらすじ】


 どエルフさんたち大勝利!!

 希望の未来こと第八部へレディーゴー!!


 と、見せかけて、いろいろとヤバい情報てんこもり!!


 女修道士シスターが力を借りた煉獄の神ナッガイ。

 彼が冥府の底まで用意したという、十二の試練。

 そして、十二の〇金闘士。


 はたして彼らを倒して、女エルフたちは、煉獄に魂をとらわれた仲間を救うことができるのか!!


 第八部 深海十二宮廻りオ〇ンポス


 希望は虚空の中に――のその前に!!


「ちょっと待つでゲソ!! いろいろと消化不良になってるんじゃなイカ!!」


 畳むには、まだちょっと早い第七部。

 いろいろとまだ決着していない状況で、第八部に突っ込むことはできない。

 ここで予想外の人物が待ったをかけてきたのだった。


◇ ◇ ◇ ◇


 海原からどぼんと現れたのは謎の船影。


 鉄鋼船の船員もたまげるそれは潜水艦。

 深海を行く神代の技術によって作られたオーバーテクノロジーの船であった。


 その登場に、男騎士が、法王ポープが、ワンコ教授が、新女王がたまげて目を見開く。店主が、勝が、暗殺者が、次郎長が、なんじゃありゃぁと声を荒げる。


 そして、最後に残されたからくり娘たちが、その身と同じオーバーテクノロジーに驚嘆の声を上げる。


 その舳先に立って、ふっふっふと仁王立ちするは声の主。


 そして――。


「ちょっとデビちゃん!! いくらなんでも唐突に登場し過ぎよ!! 私が皆にあなたのこと説明するって言ったじゃない!!」


「ゲソ!! そんなこと言ったってモーラ!! この流れだと、いい話ダナーで、この部が終わるところだったではなイカ!! いやでゲソよ、なんかしれっと次の部になったら仲間に紛れ込んでるとかそういうのは!!」


「モーラさん。彼女は知り合いなのか?」


 その声に反応したのは女エルフだった。

 たまらず、突然の闖入者から女エルフに全員の視線が移る。


 まぁ、いや、そのなんというかとつぶやいて、男騎士からの問いかけに頭をひねる女エルフ。歯切れの悪いその様子に、何か説明しがたいものがあるのだなとは皆も感じつつ、事情を知っている彼女に今は頼るほかない。


 女エルフも女エルフで、まぁ、自分しか説明できる奴はいないかと、なんかあきらめた顔をする。ふぅと一息吐いた彼女は、それから、潜水艦の方に背を向けると、突如現れた白三画頭巾娘に手を向けたのだった。


「知り合いというか、命の恩人というか、いろいろあって親友というか」


「ゲソ!! 話せば長くなるけれど、モーラとは普通に仲良し!! 親友、刎頸の交わりという奴でゲソ!!」


「という奴でして。まぁ、彼女に助けられていまこうして生きているっていう」


 と、ここまで説明して女エルフ。

 空気が少し変わっているのに気が付いた。


 そうそれは、いつもの――。


 流石だなどエルフさん、さすがだの流れが発生する時の奴。

 女修道士シスターが去ったことにより、緩んでいた警戒心が再び首をもたげた時には時すでに遅し。


「クン〇の交わりだって!!」


「ちょっとモーラさん!! いきなりなんてことを女の子に言わせるんです!! 自分色に染めるにしても、もうちょっと相手のことを考えてあげてください!!」


「勝手にティトが聞き間違えただけでしょ!!」


 いつものお約束。

 男騎士が聞き間違いして女エルフを困らせるパティーンに入っているのだった。


 しかも、それは、ただの一度では終わらない。


「あるいはソウルシスターゲソ!!」


「ソー〇でした!?」


「ななな、何をしたんですかお義姉ねえさま!! 私と言うものがありながら、そんなポッと出の――いや、結構歴史を感じさせるフォルムの、割と数年前だったらネタにしただけでガチで袋叩きにされそうな感じのする、デヴィルフィッシュガールに!!」


「何もしとらんわ!! ほんとお前らの耳は都合よく聞き間違うのう!!」


「ゲソゲソゲソ!! とにかくそういう訳で、モーラとはこの潜水艦で大海を一緒に渡った仲なんでゲソ!! エルフ族とセイレーン族の関係から言っても、もう親友と言ってもいいんじゃなイカ!!」


「せん!!」


「すい!!」


「かん!!」


「……だぞ?」


 その言葉の響きに男騎士たちが戦慄する。

 そう、それは、非常に特殊な大衆浴場で行われる、非常にロマンティックな行い。潜水艦の偵察棒を模してつけられたその行為は、もはやーソー〇のだいご味、代名詞と言っていいようなそんなものである。


 よいこのみんなはググっちゃだめだぞ。


 とにかく、そんな言葉を前に男騎士たちが戦慄するのは無理からぬこと。

 そして、女エルフがうろたえるのも仕方ないことだった。


「ち、違うの!! いや、本当に潜水艦に乗っていて!! そういうのじゃなくてね!! というか見ればわかるじゃない!! ほら、潜水艦よ、潜水艦!! 潜水艦呂07のおかげで、私は海に沈んでも助かったの!! そういうことなの!!」


 必死に弁明する女エルフ。

 しかし、彼女の弁明虚しく、男騎士たちは疑惑の視線を女エルフに向けた。

 そう――全て無駄であった。


「潜水艦とは!?」


「聞けば聞くほどなんだか卑猥な言葉がしますがいったい!?」


「どういう!! それはいったいどういう感じのアレなんですか!?」


「……だぞ、まったくわからないんだぞ」


 そう、この世界には、潜水艦はオーバーテクノロジー。

 その存在をするものからして希少だった。そして、その特殊なアレを言葉だけで理解することなどできるはずもなかった。


 すなわち、これは高度なエロテロ。

 エロい知識を知っていることを周囲に示してしまう自爆落ち。

 ハイハイはいはい、分かりましたよ、いつものアレですねと女エルフ。


 甘んじて、パーティーの仲間を待ち構えるのだった。


 はたして。


「「「なんかよくわからないけれど、マニアックな言葉を知っているようだな。流石だなどエルフさん、さすがだ!!」」」


「なんだぞ!!」


「なんとでも言えぇっ!!」


 潜水艦は異世界においてマニアック。そういうことなんだよね。

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