どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第682話 ど男騎士さんと第一レース決着
第682話 ど男騎士さんと第一レース決着
【前回のあらすじ】
モッリ水軍の猛攻と伊能ガリバーによる突撃に気を取られていた男騎士たち。
そんな彼らの背後にいつのまにか近づいていたのはダークホース。
いや、今の今まで息をひそめていた大本命。
『ゴール!! GTR第一レース!! 凪の海を踏破する静かなる戦いを制覇したのはやはりこの男!! 鋼の船を蒸気の力で突き動かす!! 咸臨社ァ!! 勝海舟ゥ!!』
勝海舟率いる威臨社であった。
風のない凪の海を蒸気の力で進み切った彼らは見事に一着で第一レースをゴールイン。更に、一隻以上の差を離しての大勝利をおさめてみせた。
まさしく外側からの差し。
レースの駆け引きの醍醐味を見せつけた勝たち。
とんだ食わせ物を相手にしたものだと、男騎士たちは戦慄する。
はたして男騎士たちは、この突然現れた老紳士に勝つことができるのか――。
という所で、今週もどエルフさんはじまります。
「先週までちん〇乱舞していたとは思えない真面目な導入」
しっかり寝て体力回復しましたので。
皆さん、ご迷惑をおかけしました。今週からは、ノーチン〇、ノー下ネタでお送りいたします。(白目)
「不安しかない」
◇ ◇ ◇ ◇
GTRインあーまーみー諸島。
第一レースの着順は以下の通りとなった。
一位 咸臨社 (4時間35分)
二位 パイ〇ーツ・マルミエヤン・ドットコム(4時間56分)
三位 モッリ水軍(5時間12分)
四位 小野コマシスターズ(5時間30分)
五位 北海傭兵団(5時間34分)
六位
七位 謎の大陸商人コードX(8時間22分)
以下 省略
なお、伊能ガリバー冒険隊は、リーダーの伊能カリバーの戦闘不能によりリタイアと相成った。
一レース目から脱落チームが出るのは近年のGTRにしては珍しいこと。
これは、今回のレースが一味違ったものになるであろうことを、レースの観戦者たちに期待させることとなった。
とにもかくにも、一日目が終わった。
「「「「「「「おつかれさまー!!」」だぞ」です」ござる」」」
イワガキ島の宿舎。
レース参加者をねぎらうために、酒と料理がふんだんに用意されたそこに入ると、男騎士たちパーティはさっそく祝杯を挙げた。
負けはしたけれどそれはそれ、レースの結果は第二位とまずまずのものである。
そして、息抜きでもしないことには、これから続くレースをやっていられない。
戦士にとって休息もまた、必要な作業なのであった。
とはいえ――。
「いやー、まさかあそこであんなまくられかたをするとはおもわなぐぅ!!」
「はい、ティト、お酒飲んだら一発で寝ちゃうの分かっててなんで飲むかしらね」
「だぞ。相変わらず、ティトはアルコールへの耐性がダメ駄目なんだぞ」
「そういうケティさんもグレープジュースですけれどね」
「あははーっ、お姉さま!! お姉さまがいっぱい!! どれが本当のお姉さま!! どれでもいいか、ここはお姉さまパラダイス!! お姉さまランド!!」
「……うぇえぇっエリィもお酒に弱い口か。私もあんまり得意じゃないのに」
「ティトさん、お酒弱かったんですね。意外だ」
「ござるござる。戦士というのは常に気を張っているもの。それがアルコールが入った瞬間にふっと抜けるのは仕方ないこと。それだけティト殿が、常在戦場の心意気で日々を生きているということに他ならない」
「いや、単に弱いだけよ」
さっそくつぶれる男騎士。
もっとも、酒には弱いが、すぐに倒れるので翌日には引きずらない彼である。ある意味では、息抜きとして一番よい酒の飲み方とも言えた。
とにもかくにも、これから宴もはじまろうか、宴もたけなわはまだ遠いというのに、お開き状態である。なんともチームリーダーとしては情けないが、彼らしいと言えば彼らしいシチュエーションであった。
さて。
そんな男騎士を放っておけるわけもなく、女エルフはすぐに彼に肩を貸す。
まるでこうなることなど分かっていたように、彼の身体を背に抱えると、宴会会場からすぐ横にある宿泊所へと歩き出した。
「……すまない、モーラさん」
「あら。意識が残る程度にはお酒への耐性ができてきたのね。けど、今日はもういいから寝ておきなさいな。無理してたら、明日以降のレースがもたないわ」
「……いや、そっちではなく。いや、そっちでもあるのだが」
胡乱な目をして、上気する顔を左右に振る男騎士。
さきほどまでさっぱりと、レースの結果のことなど忘れて乾杯の音頭を取っていた男とは思えない、何か忸怩たる感情がその顔の奥には潜んでいた。
やはり、悔しいのだ。
最後の最期。
まさかまさかの大逆転を果たされ、トップの座をやすやすと奪われた。
どころか、大きな差を付けられての決着。
「船のことは素人の俺だが、それでもここまで勝に対して大きな後れを取ったのはリーダーとしての判断ミスだ。もう少し、俺が上手く立ち回れていれば」
悔し涙が男騎士の頬を伝う。
命の取り合いにおいては無敗。
常に勝利を納めてきている彼だ。
でなければ、冒険者稼業の世界では生き延びられない。時に戦略的撤退も取りうるがそれはそれ。
それだけに負けが堪えた。
なまじ出し抜かれる形の敗北は、彼にとって屈辱以外のなにものでなかった。
うっぐっぐと涙声を噛み殺す彼に、華やいだ飲み会の席が一気に冷める。
彼と同じく、パーティーメンバーも悔しいのは同じだ。まさか、あのような結果になろうとは誰が思っただろうか。
法王はうつむき、ワンコ教授はだぞと嘆息し、新女王は力なく机に突っ伏し、青年騎士は握りしめた盃に自分の姿を見る。いつもは道化じみているからくり侍でさえ、感情を殺して無言を貫いていた。
同じく、男騎士に次いで船のかじ取りの責任を担っていた女船長に至っては、やけ酒だとばかりに矢継ぎ早にエールを煽っている。
悔しくない訳がない。
あんな負け方。
そんなことを思った時。
「なに言ってんのよ。私たちの目的は勝つことじゃないでしょう」
ぺしぺしと、男騎士の頬を女エルフがその白い手でたたく。
アルコールにちょっと当たったのか、それとも慣れないことをしたからか。
彼女の頬は、その手よりもちょっとだけ赤みがかっていた。
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