第627話 どエルフさんとチン〇やん
【前回のあらすじ】
性郷隆盛ネタをTwitterで呟いた際に、西郷さんの象皮病については教えて貰ったのですが、いやはやたいそう驚きました。まさかそれが決め手になって、死体が判別されたという話があるなんて――おそろしいこともあったものです。
まさに事実は小説より奇なり。
まぁ、それはともかく。
病気についてはデリケートな問題です。そういうところをあえて弄っていくのがギャグの本質ではあるのですが、いかんせん僕は良識派というよりそういう所で突き抜けられない性格です。本作ではその辺りはちょっと配慮して、実際の病気をなぞりつつも、寄生獣パロに走らさせていただきました。
こっちなら傷つく人も少ない――はず!!
「勝手な言い分!!」
アフタ〇ーンでアゴゲ〇とコラボしてたやん。
あれとあんなコラボしてるくらいなんやら、ファンも笑って許してくれるやん。
あと、やっぱりなんやかんやで面白いやん、寄生獣。
この年代の人間なら誰だって影響受けてるリスペクトしている。
そういう胸をお借りする感じで、どうかおなしゃす。
「おなしゃすされても困るでしょうよ!!」
しかしあれですね。
集英〇だったり、小学〇だったり、講談〇だったり、KAD〇KAWAのサイトなのに、他社の作品のパロディとかばっかりやっていて、いいんでしょうかね。
まぁけど、天下のKAD〇KAWAさんですからね。無敵のスタープラ〇ナでなんとかしてくれるでしょう。
「なんともならんわい!! というか、呼吸をするようにパロディするな!! そういうとこやぞ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
「どうしたんですかお義姉さま!! そんなピー音も入れずに猥語を叫ぶなんて!!」
「ちょっと、モーラさん。もう少し言葉を選んでください。おくらい付けられないんですか。まったく、これだから野蛮なエルフは困るんですよ」
「ござるー。流石にちょっと拙者もドン引きでござるよ」
「やめて!! うちの船は男子禁制なのよ!! 年端もいかない女の子も働いている前で、そういう言葉を発するのは止めて!!」
女エルフのツッコミと共に甲板に集まってくるパーティーメンバーと女海賊。
けれどもお前、こんなん無理でしょう。まるで、海辺の戦いで満身創痍になった男子高校生のような顔をして振り返ったモーラを、割と厳しい視線が襲った。
どのような時でも、どのような状況でも、この世界は女エルフに厳しかった。
とことんまでに厳しかった。
だからこそのどエルフだった。
「いや、ボロン股からチン〇出してたら、そら叫ぶがな!!」
「……お、お
「そうですモーラさん。恥じらいというものがないんですか。そんなチン〇チン〇と子供のようにはしゃいで。子供の目に入らないように気を使う、こちらの気にもなってくださいよ。まったく」
「だぞー、何も見えないし、何も聞こえないんだぞー」
恥じらう新女王。
ワンコ教授の精神汚染を瀬戸際で止める
視覚と聴覚を奪われて何もできないワンコ教授。
パーティーメンバーの様子についてはいつもの通り。例によって例の如くの悪者扱いに、いちいち怒る気にもなれなかった。
しかし、それでも断固として主張しなくてはならない。
大性郷の股の下で怒張しているそれについて、声を大にして指摘しなくてはいけない。
「チン〇やん!!」
ここでそれがチン〇でないと認めてしまえば、今後大性郷のそれを持て余すのは目に見えていた。ただでさえ、今の段階で持て余してこぼれでんばかりのそれなのに、更に手が付けられない事態になるのが容易に想像できた。
ここで強く釘を刺して、後々問題にならないようにしなくてはならない。
何かにつけてちらちらと出て来られてはたまったものではない。
そんな危機意識に駆られて女エルフは強く主張した。
スナックバス〇のサボテン回のように、必死に主張した。
許すなチン〇。
揺らすなチン〇。
チン〇がこの先、びろんびろんと出てこないためにも、女エルフはちょっとムキになって、それが出してはいけないものだと強く主張するのだった。
「よく見ろ!! あんなポジションから、あんな感じに出てくる、あんな形状のモノで、チン〇以外のものがあると思うのか!! ないだろう!! 故にチン〇!!」
「……あの、お義姉さま。私はその、男性のそういうのは見たことがなくて」
「思った以上におぼこ!!」
「……何を言っているんですか。子供はコウノトリが運んでくるんですよ。そんなおしべとめしべがどうとかなんて、そんなことある訳ないじゃないですか」
「分かっている上での見苦しい言い訳!!」
「何も見えないんだぞー」
「ケティは見なくていい!! というか、貴方だけは綺麗なままでいて!!」
まったく理解を示さないパーティーメンバーたち。
理解してもらおうと思ったが、そこは相手も女性たちである。男の持ち物のそれについて、恥じらいもあって気軽に口にできないのは仕方ない部分があった。
ぐっと女エルフが顔をしかめる。
ならば、そう――。
「ティトなら分かるでしょう!! どう見たって、その人の股の間から出ていたのはチン〇よね!!」
持っている者に聞けばいい。
男騎士と青年騎士に視線を向けて、女エルフは今度は叫んだ。
どんな時でも真面目な男騎士。
こんなどうでもいい、そしてシモくて仕方のない話だというのに逃げるようなことはない。
彼は真っ向から、女エルフの問いかけを受け止めた。
そして、その問いかけに対して――いかめしい顔を造って対応した。
表情が他のパーティーメンバーと同じ、否定の意思を示していた。
「何を言っているんだモーラさん。あれがチン〇な訳ないだろう」
「……なんですって!!」
「モーラさん。人間の股間から出ている棒状の何かが、例外なくチン〇だという認識は改めた方がいい。人間は、時としてチン〇以外にも股間に何かをぶら下げていることがあるのだ」
「……ないでしょ!!」
あるのだ。
絶叫と共に返す男騎士。
その声色はいつになく真剣だ。
それまで、チン〇チン〇チン〇やんと、まるでギャグマンガのノリで連呼していた女エルフさえもその気迫に呑まれる。
押し黙った彼女に向かって、少し悲し気な肩をして男騎士は俯いて語り始めた。
「性郷どんのそれは、海綿体に寄生した獣なのだ。チン〇では断じてない。むしろ、本来のチン〇はもう一つある。イボ痔のチン〇版みたいなものなんだ」
「イボ痔のチン〇版……」
「想像してみてくれ、二つに分かれた双頭のチン〇を。そして、その片方は喋って、動いて、硬くなるんだ。そんなのを、はたしてチン〇チン〇と、気軽に言ってやっていいだろうか」
もっと言葉を選べ。
暗に男騎士は、女エルフにそう促していた
そう。
誰も好き好んで、チン〇に寄生獣を住まわせている訳ではないのだ。
やむを得ない事情により、チン〇に寄生獣を住まわせているのだ。
それを思えば、確かに女エルフのチン〇やん発言は、軽挙な発言に思えた。
もう少し、言葉を選ぶべきであった。
「なので、チン〇というより、イボと言った方がいいんだ。チン〇にできたイボ。そういうことで、性郷どんのことを見逃してやってくれはしないだろうか」
「ティト」
「男にとって、これはデリケートな問題なんだ。なまじ、喋って、動いて、戦うだけに目につくが、海綿体にできただけのただのイボなんだ。埋め込んだ真珠のようなものだと思って、目を瞑ってやってくれ」
「……たとえは最悪だけれども、分かったわ。確かに、私もちょっと配慮が足りなかったように思う」
病気なのだものね。
女エルフはようやく言葉の矛を収めた。
そう、大性郷とて苦しいのだ。
どうして好んで、チン〇に獣を住まわせねばならぬのか。その心情を思いやって、女エルフは優しい視線を大性郷に向けた。
その股間でぷらりぷらりと揺れる寄生獣――。
「うぅっ、ティト、ありがとう。これが、涙」
その先から、マツタケの雫が垂れていた。
思いのほか、大性郷の股間の寄生獣は人の心を学んでいた。
「――やっぱり、チン〇やん!!」
そして、女エルフはその光景に、そう叫ぶことしかもうできなかった。
どこからどう見ても、確かにそれはチン〇であった。
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