第550話 ど第二王女さんと不穏な感じ
【前回のあらすじ】
第二王女との交渉に向かおうとする
教会の代表として向かうのだから衣服を整えるのは当然。制服に着替えてまいりますという彼女を――。
「なんで
女エルフが止めるのであった。
いやはやまったく、制服である。それに
流石だなどエルフさん、さすがだ。
相手は教会の最高権威ですよ。そんな人が、
普通に
なに言っているんですか、まったくこれだからドスケベは。
「だったら最初から礼服って言えばいいじゃないのよ!! なんなの!!」
とまぁ、そんな感じで。
男騎士不在でもどエルフネタをぶちかます。
流石だなどエルフさん流石だ。
とまぁ、今週もいつものノリでどエルフさん始まります。
◇ ◇ ◇ ◇
「いけなーい、遅刻遅刻!!」
私、法王リーケット。どこにでもいる26歳女子高生なの。
という感じで、フランスパンを口に咥えて走る
身にまとう衣服は制服――薄茶色にブレザーにギンガムチェックのスカート、そして胸元には緑色のネクタイである。
姉と同じでどたぷんとした胸のデカメロンが彼女の腕の動きに合わせてゆれる。
たわわたわわ。月曜日の朝から元気が出そうな、そして、この作品ではもはやおなじみとなったウワキツ感がそこにはあった。
火曜日のウワキツ。
女エルフも、
「結局!!
そんな現状に女エルフがキレた。
今にも第二王女に向かって突撃していき、いたたー、ごめんごめんという感じの会話を炸裂させそうな、法王の襟首をむんずりと摑まえてそれを止めた。
目が
腕に込めた力も
これにはこの大陸で一番の権力を持っているはずの法王も、思わず口ごもってしまうのだった。
「アンタね。さんざん人のことをおちょくっておいて、そういうことを平然とするの、年上としてどうかと思うわよ」
「……いやいや、何をおっしゃるんですか。やるなよ、やるなよ、絶対やるなよっていう、絶妙のフリだったじゃないですか。そういう空気を汲み取って、行動できるのって人間として大切なことだと思いますよ」
「空気読んだみたいに言ったが、少しも読めてないわよ。なに考えてんのよ。考えうる限り最悪の出会い方じゃない」
「……そうですか? 男と女の出会い方としては鉄板のような?」
「女と女だろうが!!」
「ジェンダーフリーの世の中に何をおっしゃっていらっしゃるのですか?」
「男が女が言い出したのはお前だろうが!!」
絶妙のフリに絶妙のツッコミを返す女エルフ。
そして、その抜群のトンチキぶりで、せっかくまとまった作戦の方向性を、見事にぶち壊してくれたのだった。
この女に交渉を任せるのは不可能。
それと似たようなものを、そこはかとなく法王の態度から感じて仕方がない。
女エルフは落胆のため息を吐いた。
「どうしてアンタら姉妹は、こういう大切な時にてんでポンコツなのかしらね。世話するこっちの身にもなっていただきたいわよ」
「失礼ですね。この完璧な私の作戦の、いったい何が不満だというのですか」
「全部じゃ全部。ぼろっぼろに穴だらけの作戦じゃないの。いいわよ、もう、アンタに期待した私がバカだったわ」
私が行く。
そう言って、女エルフが強引に法王の前に出る。
むっと頬を膨らませた法王だったが、それを第一王女が腕を引っ張って止めた。
法王の足が止まる。
「お姉様にお任せしましょう。法王さま」
「エリザベートさま」
「だぞ。まぁ、いきなり法王みたいな権力者が出ていくと、逆に話がややこしくなるかもしれないんだぞ。ここはモーラみたいな一介の冒険者が接触した方が、上手く行くかもしれないんだぞ」
「ケティさん」
第一王女とワンコ教授、二人がかりで法王を説得する。
せっかくその気になった法王だったが――実際問題その本気のなり方には、彼女たちも不安を覚えていた。
最高権力者になるだけあって、人徳があるかと思ったが、微妙にずれている。
それをひしひしと感じ取り、彼女たちはあえて法王をひっこませることを選択したのだった。
かくして。
「結局私が交渉役か。まぁ、そうよね、そうなるわよね。とほほ」
女エルフが第二王女の下へと向かう。
男騎士不在の中、一番のベテランにして年長者、女エルフ。
あまり人との交渉事は得意ではない彼女だが、白百合女王国の未来のため、意を決して彼女は第二王女の下へと向かったのだった。
徐々に徐々に第二王女へと近づく女エルフ。
その姿に、近づかれる方もすぐに気が付く。
街の住人たちにエルフがいない訳ではないが、衣服の乱れていない、いかにも冒険者という感じの女エルフ。そんな者の接近に警戒しない方がおかしいだろう。
「第二王女ローラね。ちょっと話があるわ。時間をいただいても構わないかしら」
その警戒を察して女エルフも言葉を選ぶ。
あえてあなたに接近したのよと、勿体ぶった感じを言葉の端々に匂わせる。
はたして、そんな女エルフの思惑を第二王女は――。
「薄汚いエルフが。気安く私様に話しかけてんじゃねぇぞ」
生唾と暴言により台無しにして返すのであった。
「……そう言えば、言い忘れていました」
「……だぞ」
「……なんですか、エリザベートさま」
「ローラはお母様と同じで、大のエルフ嫌い。いえ、もう、なんていうか、アンチエルフと言っていいほどの、エルフに対する憎しみを背負った者なのです。そう、エルフの顔を見れば唾を迷うことなく吐きかけるくらいに。吐きかけるくらいに」
そういうことは吐きかけられる前に言って。
女エルフの眉間に青筋が走った。
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