第468話 どエルフさんと神との合体
【前回のあらすじ】
祝!!
「祝じゃないッ!!」
ウワキツ三百歳系魔法少女マジカルモーラさん
制作決定です。(嘘)
「嘘でもそういうのやめて!! 私がどれだけの覚悟で、この格好をしていると思っているのよ!! もうッ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
「モーラさん。駄々をこねるのはやめるんだ。腹を括るしかない。君がウワキツ系魔法少女になることで、魔女ペペロペを倒すことができるんだぞ」
「そうですよモーラさん。お養母さんを助けるために、ウワキツ系魔法少女にならなくては。それが親孝行というものですよ」
「いやじゃー!! そんな親孝行、親も泣くだけじゃー!!」
男戦士と
もっと他に魔法少女になるにしてもうってつけの人がいるでしょう。
そんな感じに、イヤイヤと女エルフは首を横に振るのだった。
無理もなかった。
流石に三百歳を超えて、
もう完全にその手のお店だった。
マニアックなお店だった。
喜ぶのは男戦士ばかりである。三百路女エルフウワキツ系というマニアックすぎるそのヒロインっぷりに、書いてるこっちもちょっと混乱気味であった。
しかし、そこに待ったをかける者が一人。
「待ってくださいお義姉さま!! それはちょっと、幾らなんでも親に対して無責任ではありませんか!!」
「エリィ!!」
第一王女である。
彼女はいつもだったら義姉であるモーラに対して、唯々諾々と従う女である。しかし、今日ばかりは手を挙げて、彼女に食らいついて来た。
何故か、どうしてか、何が彼女に手を挙げさせたのか。
それは彼女の来歴を考えれば仕方がなかった。
「親が下着姿でうろついているんですよ!! それに対して、責任を感じない子供がいるでしょうか!! ボケた親の面倒は子供が見るべきです!!」
「説得力!!」
そう、白百合女王国第一王女の彼女である。
詳しい話は第二部に譲るが、彼女はかつて自分の母が、下着一つで大暴走した際に、それを止めるために体を張っていた。
その過去が彼女の言葉に力を与えた。
親の介護をするのは子供の務めという台詞に説得力を産んだ。
そして、女エルフをその言葉で追い詰めた。
そう、今まさに、暗黒大陸からやってきて、中央大陸を脅かさんとしている、魔女ペペロペは肉体だけは女エルフの養母である。そして、ほぼ下着のような衣服を身に付けて、暴れまわっているという散々な状況である。
そしてその状況は、まさしく第一王女の時と酷似していた。
義妹がしたことを、義姉である女エルフが、恥ずかしいからという理由でしないということがまかり通るだろうか。
そんなことがまかり通ってしまったら長幼の列が乱れてしまう。
彼女の見本となる正しき義姉であろうと思うのならば女エルフに断るという選択肢はなかった。
しかし。
「それと!! これとは!! 話が別よ!!」
女エルフは強引にその流れを断ち切った。
絶対に嫌だと、そういう感じに、義妹に向かって言い放った。
そう、確かに理屈は通っていたが、女エルフにとって
三百歳エルフ娘である。
先程言ったように、だらしない腹回りが、ぴっちりとしたスク水にはなんとも残酷な状況なのである。そんなもん喜ぶのは年増好きの変態だけなのである。
主に、男戦士だけしか得していない展開なのである。
そこに加えて足は、残酷なところまでとはいかないが、セルライトができているくらいに経年劣化しているのである。年頃に、そして、マニアックに、女エルフは三百歳エルフをやっているのである。
ウワキツとか茶化して言ったが、実際問題セクハラ以外の何物でもなかった。
ここで、引き下がる訳にはいかない。
女エルフが不退転の覚悟で義妹に睨みかかった。
そう、女エルフはこれ以上、恥も掻く気もなかったし、平和のために自分の身を犠牲にするつもりもなかった。
正義の味方。
物語の主人公。
そうはいっても、年頃の女性は女性。
そこらへんはちゃんと、線引きをする、まともな神経の女エルフだった。
しかし。
彼の女傑、白百合女王国の女王の血を引く第一王女。
彼女はそう来るだろうと思ってか、それとも、無意識にか――強烈な二の句を繰り出したのだった。
「……はぁ。お母さまのセレヴィさまは、もう五百歳も間近だというのに、あんなに素敵な体をしているというのに。なのに、お姉さまと来たら、三百歳であきらめるんですか」
「……なんだと!!」
事実。
突きつけられる残酷な事実。
そう、それは、間違いなく、そして、否定しようのない事実であった。
魔女ペペロペの依り代となった女エルフの養母。
彼女も同じエルフだが、久しぶりに娘の前に現れた彼女の姿には、年齢相応の劣化がまったく感じられなかった。下手をすると、そこら辺の二十代人間女性と変わらないくらいに、彼女の肌には張りがあった。
いや、肌の張りだけではない。
ボンテージスーツの下に収まっている体には、たるんだ部分など少しもなかった。腰はくびれ腕はたおやか、つま先までまるで氷像のように白く染み一つない。
パーフェクトボディ。
まるでエステ通いで手に入れた、パーフェクトボディで、彼女は稀代の魔女ペペロペの依り代として、この世に顕現していた。
そう、そして養母だけあって、彼女は女エルフよりも年上。
年齢的に、絶対に負けてはいない相手。
なのに。
肌年齢で。
肉体年齢で。
骨年齢で。
完全敗北している。
その事実が女エルフを静かに打ちのめした。
「いいんですかお義姉さま!! そんなだらしのないダルダルエルフでいいんですか!! 年齢を理由に肌を露出することを躊躇する、ヒロインのプライドのかけらもない、ポンコツエルフのままでいいんですか!! マニアックなティトさんだけが喜ぶ、どスケベボディかもしれませんけど、それでいいんですか!!」
「……いい訳、あるかいないやい、あいあやーい!!」
女エルフが叫ぶ。
そして、第一王女がにやりとその口元を吊り上げた。
策士。策士である。
流石だな第一王女さん、さすがだ。
そのあまりの話の持ってき方の巧さに、これが帝王学と、女エルフ以外の者たちが戦慄した。
「だったらどうすればいいか分かりますよね!!」
「どうすりゃええんじゃエリィ!! はよ言えやワレェ!! ワシの気が変わらんうちに!!」
「もちろん、それは……特訓です!! 美エルフ三百歳エルフザップです!!」
「美エルフ三百歳エルフザップ!! 上等じゃない!!」
そして、また、変なイベントが発生するのであった。
「……むぅ、今のマニアックなモーラさんも、俺は好きなんだけれどなぁ」
「ティトさん。普段あれだけ弄っているのに、本音はそれなんですね」
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