第403話 どキングエルフさんとオーバーマン

【前回のあらすじ】


「二人は……!!」


「パンイチ……!!」


 パンイチ、パンイチ。

 パンイチ、パンイチ、パンイチ、パンイチ。

 パンツに、褌。

 二人は――パンイチ!!


「なんで歌に載せた!! しかも初代!!」


 そんな訳で、パンイチの男戦士とキングエルフ。流石の彼らは、ケロン特選隊の攻撃を見事にいなすと、イブの構えジェットストリームアタックを破ってみせたのだった。


 いやー、懐かしいですね。

 僕はお〇ャ魔女世代ですが。


「どうでもいい情報!!」


 という訳で、男戦士たちの反撃開始です。


◇ ◇ ◇ ◇


「ティト!! まとめて片付けるぞ、手伝え!!」


「なんだっていうんです、キングさん!!」


 ちょっといつもと違う独特の感じのセリフ回しをする男戦士とキングエルフ。

 どことなしか、二人とも顔つきが吉〇健一の作画っぽく見えなくもなかった。

 そして、今回のタイトル的に――というか、それを抜きにしても、なんだかヤバい展開が待っているように、女エルフには感じられた。


「協力攻撃だ!!」


「協力ですって」


「そうだ!! 風の精霊王の力とエルフの力を合わせる!! それで、ケロン特選隊をぶち抜いてやる!!」


「簡単に言ってくれますね」


「怖いのか!?」


「やりますよ!! 男戦士ですよ、俺は!!」


 なんだこの会話と女エルフは思った。


 一気に作風が変わった。倒置法とか使い始めたセリフ回しに、女エルフは顔をしかめた。そう、まるで気難しいベテラン監督のように顔をしかめた。

 何を言っているんだこいつらはと顔をしかめた。


 そんな彼女はさておいて。


「ゲロッ!! な、なにをするつもりゲロッ!!」


「森のキングエルフの証は、お前たちにはもったいないがな」


 ぷりっ!!

 尻を突き出しいつもの見返りドドンマイのポーズ。しかし、その背中は今日は妙に広く感じられた。


 どきっ。

 男戦士の顔が、つなぎを着たイケメンを見つけた大学生のようになる。


「……乗らないかエクソダスしないか!?」


「……ウホ、いいキングエルフエクソダス!!」


 見つめあう男戦士とキングエルフ。

 そんな彼らに青筋を立てた顔を向けて女エルフ。


「どっちかにしてくれぇっ!! ツッコミが追い付かない!!」


 いつもは男戦士の小ボケに全力で食らいつく彼女が音を上げた。


 もう、ぐっちょんぐっちょんよ。

 作者も、ここ連日、執筆やらハロワやらが続いていて、ちょっと疲れていた。

 まぁ、それはそれとして――男戦士はその言葉で、自分が何をするべきか、直感したのだった。


 そうである、これはどどんまいの構えではない。 

 その背中はにあるのだ。


「ティト、行っきまーす!!」


「違う作品!!」


 どどんまいしているキングエルフの背中に、男戦士がパイルダーオンする。そうして、手を大きく広げれば、二人の男は一心同体、体と共に心を重ねた。

 今ここに二人の男たちが心と力を通わせる。


 風の精霊王の力と、キングエルフの力が混ざり合い、黄金の光が彼らの体から発せられた――。


「愛と勇気は!!」


「言葉であり友達さ!!」


「哲学か!!」


 というか、そっちにも飛び火させるなと、怒鳴る女エルフ。

 そんな横で、あぁ、あれなるは必殺の構えと、女修道士シスターが目を潤ます。

 ダブル鳳凰飛翔――と、ワンコ教授が宮〇あきら顔で彼らを見る。


 そんな中、男戦士とキングエルフは――ヘブン状態の顔をしたのだった。


「感じられればぁあああああん!!!!」


「力ぁあああああああん!!!!」


「最悪じゃぁああああ!! 考えうる限り最悪の展開パロディじゃぁああああ!!」


「「行くぞ、合体攻撃――天翔日光拳サンライズ!!」」


 輝く黄金の鳥と化した男戦士とキングエルフ。その目も眩むような――というより正視に耐えぬ――輝きが、たちまちトカゲ人間たちに向かって襲い掛かった。

 そう、これなるは、人を超えし者オーバーマンのみが使える必殺技。


 神秘なるメンズフラッシュタックル――であった。


【合体攻撃 天翔日光拳サンライズ: おそらく、今世紀最高にエモーションエモい男の中の男の技である。命を懸けて飛び出す鳳凰体当たり。まさかの魔法ではなく科学忍法。もはや魔法の世界でそれをやったら、科学と魔法で超電磁砲になってしまうのではないか。そんな感じに、もう収集がつかない危険な光速体当たりである。おまけに絶頂して合体しているので、一万年と二千年前からの可能性も微レ存という、考えれば考えるほど精神的なダメージが深刻な、パロディ的禁じ手であった。カドカワでも、限度ってものがあるのよ。天翔日光拳サンライズとは名ばかり、タツノコでサテライトなその技は――まさに悪魔合体的という言葉がよく似合った。なんだこの説明(なんだこの説明)】


「ゲロォオオオオッ!!」


「こんな、我々がパロディで遅れを取るなんて!!」


「田舎の道端で干からびて死んでいるトカゲの多さよ!! まさか、こんなからめ手で来るとは――盲点!!」


 光にあてられて、ばたりばたりと倒れるケロン特選隊。

 先に倒れたトカゲ男たちと共に、彼らはみるみるその場に干からびていった。


 所詮、ちまっこいトカゲ人間だ。

 束になってちまちまと攻撃したところで決定力にかける。

 そこを全体攻撃で一掃する。


 技はともかくとして、男戦士たちの策は実に理にかなっていた。流石は歴戦の勇者、男戦士である。そして、エルフの中のエルフ、キングエルフである。


 キングエルフの背中から降りた男戦士。

 男二人は背中を合わせると、勝利のキメポーズを取るのだった。


「人類の力を――!!」


「思い知ったか――!!」


「もうやめてー!! ロボ以外まで巻き込みだしたら収拾がつかないわ!!」


 脱出エクソダスの巨人オチ。

 女エルフは勝利したにも関わらず絶望に顔を覆った。


「人類を――!!」


「舐めるなァ――ッ!!」


「前の話でもやった――ッ!!」

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