第五部 続!! 決戦!! 〇んこく大陸!!
第一章 ヤワラ・オーバーエルフ・キングエルフ
第370話 ど男戦士さんとキングエルフ
【前回のあらすじ】
商隊の隊長・ヨシヲ・大剣使い。
儀式魔法【漢祭】を執り行うのに必要な益荒男たちを集めるため、【
暗黒大陸と中央大陸連邦の決戦まで残すところあと二日。
果たして男戦士たちは間に合うのか――。
しかし、そんな所に暗黒大陸の横槍が入る。
「……で、ちゃっかりゴブリンティウス。魔法介入の呪いは施してきたの?」
「万事ぬかりなく」
ペペロペとゴブリン。暗黒大陸の知将二人の策謀により、魔法による転移先を歪めされてしまった男戦士たち。
はたして彼らが転移したのは森の小川。
なんとか岩場にたどり着いた彼らが遭遇したのは――。
「我こそはこの森を守るエルフの中のエルフ――キングエルフ!! この森を荒らすと言うのならば容赦せん!!」
ぷりっ。
褌を挟んだケツがいい感じにプリめく。
そんな男エルフであった。
さぁ、第四部で暗黒大陸と激突と予告しておきながら、なんか尺が長くなったので区切ってしまって第五部へ。
はたしてこの部で暗黒大陸と戦うことはできるのか。
そして、この褌エルフはいったい何者なのか。
暗黒大陸の刺客も差し迫る中、変態が変態を呼ぶ、大変な変態展開――。
どいつもこいつもどエルフのせい。
流石だなどエルフさん、さすがだ。
「ちょっと!! 今回のは私に関係ないでしょ!!
という所で今週も、そして第五部も始まりでございます――。
◇ ◇ ◇ ◇
キングエルフの手により川から引き揚げられた女エルフたち。
濡れ濡れのスケスケ。本来ならサービスシーンの筈なのだが――。
「ふっ!! 理由はどうあれ、困っている人を助けるのもまたエルフの務め!! そんなかしこまらなくてもいいのだぞ!! これはエルフとして――そしてエルフの中のエルフであるキングエルフとして、当然の務め!!」
プリッ。
キングエルフの白いケツが、いい感じに太陽光を弾き返していてはしかたない。
ケツ。
白褌が食い込んだ筋肉質の良い男のケツ。
そんなものが一つあるだけで場が落ち着かなくなる。
サービスシーンが一転してギャグシーンと化した。
完全に濡れ損。
そんな感じで、女エルフたちは突如現れたエルフ男を眺めていた。
キングエルフこと褌一丁のエルフ男は、尻を女エルフたちにあえて向けて、背中で語る。ついさっきまで、普通に救助活動をしていたというのにだ。
何かこだわりがあるのだろうが――誰も深くは聞きたがらなかった。
それより。
「だぞ!! これはいったいどういうことだぞ!!」
「私たちは、西の王国の教会へと転移したはず」
「なのにどうしてこんな天国――じゃなかった、エルフの森なんかに?」
「……おそらく、魔女ペペロペ、あるいは、あのゴブリンが何か小細工をしてきたのね。おかしいと思ったのよ、エロスを奪うにしても、わざわざ砦の中で姿を現す必要まではないわ。宣戦布告だってよく考えればする必要なんてないもの」
転移魔法に失敗したことの方が男戦士たちにとっては重要なことであった。
流石に頭のきれる女エルフ。
転移失敗の原因が、暗黒大陸の介入であることをすぐに彼女は看破した。
けれども、見破ったとしても時すでに遅し。こうして、まったく関係のない場所に転移してしまったあとでは、何をやっても無駄であった。
「……くそっ」
女エルフが膝を叩く。
養母の体を乗っ取った魔女ペペロペ。彼女にむざむざ出し抜かれたこともあるが、暗黒大陸との決戦を控えてあと二日という状況が、彼女を苛立たさせたのだ。
そして――。
「エルフ!! エルフの森だというのか!! ここがあの有名な!!」
「そうだ!! ここがエルフの森だ!!」
「エルフの森と、ドワーフの里で有名な、あのエルフの森なのか!!」
「そうだ!! 誰がなんと言おうとここがエルフの森だ!!」
「ひゃーっほう!! 最高だぜぇっ!!」
かつてないテンションではしゃぐ男戦士。
その言動がますます女エルフを苛立たせた。
「大陸の危機だってのに、何を呑気こいてんのよ、この馬鹿ティト!!」
べちりと男戦士の背中を女エルフが叩く。
しかし、男戦士は彼女のツッコミを、ちっとも痛くない――どころか、まるで意にも介さずはしゃぐのを止めなかった。
彼の視線が見据えているのはそう――目の前に立っている男の尻。
白い褌がまぶしい、キングエルフのケツであった。
「しかしやはりにわかに信じられない」
「ふっ、君もいよいよ疑り深いな」
「本当に本当なのか!? ここがエルフの森だと、本当に信じられるのか!?」
「このキングエルフの汚れなき白褌にかけて誓おう」
「なんだと……そんなものに誓われては、信じるしかないではないか!!」
「この褌の純白は、一切の嘘偽り汚れなきことの証拠!! 私のことは信じなくてもいい、けど、この褌の白さとケツの見事さだけは信じて欲しい!!」
プリッ。
くいとキングエルフが褌を引き上げる。
すると同時に引き締まったケツが揺れた。
色白のキングエルフの尻には染み一つなく、男だというのになぜか神聖めいた風格が漂っていた。そこから屁がひり出されたとしても、まるでそよ風のように受け入れられるような、そんな妙な神聖さが。
その尻から発せられるエルフの高貴なオーラに、男戦士が唾をのむ。
「くっ、なんという男らしい男エルフだ!! こんないい男エルフがいるなんて――間違いない、ここは本当の本当に、エルフの森なのだな!!」
「最初からそう言っているだろう!!」
「キングエルフ!! 信じよう、お前の言葉を!! そして、お前のケツを!!」
「分かってくれたか!!」
プリッ。
また、褌を引き締めたキングエルフのケツが揺れた。
なんでそれで納得するのよと女エルフが白目を剥く。
同じく、
ただ一人、第一王女のみ様子が違う。
「濡れ透けのお姉さまも貴重!! けれど、褌の男エルフも貴重!! あぁ、いったいどっちを見ればいいというの!? こんな選択肢――残酷すぎるわ!!」
男戦士と同じく、重度のエルフマニアである第一王女。
彼女もまたエルフの森に来たということでテンションが振り切れていた。そこに加えて、サービスシーンに加えてのサービスシーンである。
ギャグマンガだったなら、鼻血を出してその場で失神していただろう。
危なかった。そんな感じで彼女は鼻元を拭う。
べっとりとその手の甲には高貴なる赤い血が付着していた。
さて、女たちはびしょぬれ。
男戦士は妙なテンション。
第一王女は鼻血。
そして現れたのは褌のいい男エルフ。
ついさっきまでの緊迫した展開から飛躍しての今の状況に――女エルフは頭を垂れて溜息を漏らした。
「地獄だわ」
今回ばかりは、女エルフの言う通りであった。
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