第110話 どワンコさんと武者修業
男戦士たちが
古代人たちが
と、そんなところに、ベテラン冒険者の男戦士たちがやってきたのは他でもない。
パーティ内で一人だけ戦闘技能を持たない、ワンコ教授の訓練のためだ。
「だぞ。やっぱりやらなくちゃダメなんだぞ?」
白衣の下にレザーメイルを着こみ、手にナイフを持った彼女は、少し不安げな顔をして後ろを歩く男戦士たちに尋ねた。
「ダメだな。何かあった時のために、ケティにも戦士技能のレベルを上げておいてもらいたいんだ」
「
「ファイトですよ、ケティさん」
だぞ、と、肩を落とすケティ。
このパーティとしばらくたびをしたいと言い出したのはワンコ教授だけに、何も言えずに、彼女はしぶしぶとナイフを構えた。
うねうねと、前からやってきたのは、小型――といっても
ダンジョンで出てくるモンスターの中では、
「や、やっぱり怖いんだぞ、ティト」
助けてくれと
しかし、男戦士は違う。
「戦闘中によそ見をしてはいけない!! 大丈夫だ、
「本当なんだぞ? 大丈夫なんだぞ?」
「大丈夫だ。ただし、後ろに回り込むと尻尾から酸を吹きかけてくるから気を付けろ。なるべく側面をとって、少しずつその足を払っていくんだ」
腕を組で力強くそう言う男戦士。
その姿からは、泣き言ひとつでは一歩もその場から動かないという彼の
ワンコ教授も覚悟を決める。
男戦士に言われた通り、慎重に
硬い蟻の
「ダメだ、足の節くれを狙うんだケティ!!」
「そんなの、言われてもわかんないんだぞ!!」
そんなやり取りをしているうちに、ワンコ教授の正面を向いた
シャアとその上あごを開いた姿に
すぐさま、
しりもちをついたワンコ教授に酸の鉄砲の
「ふんっ!!」
その
ぎぃ、と、
ほっとその姿に胸を
やれやれ、と、男戦士もつられて頭を
「これは
「だぞ。申しわけないんだぞ」
「いいさ、誰でも最初は素人なのだ。それになにも剣の達人になれと言っている訳じゃない、身を守る
元気なくしょぼくれていたワンコ教授の頭を、がしがしと
そんなやり取りで少しは元気が出たらしく、次こそはうまくやってみせるんだぞ、と、彼女は立ち上がってみせたのだった。
「スパルタですね」
「ねぇ。まぁ、あいつなりに、パーティのことをおもいやってんのよ」
「モーラさんも、冒険者になった時は、ティトさんに訓練を?」
「私は
と、女エルフは冒険し始めたころのことを思い起こした。
『モーラさん。女エルフが一人でギルドに
『オーク系のモンスターに遭遇したときは、
『お金に困ったら、道具屋に行って村人の服を試着をするんだ。理屈はよく分からないが、エルフが着ると女エルフの服になって、倍の値段で売れるようになるぞ』
『酒場にたむろしている男たちは、
「――ろくなこと教えてもらった記憶がないわ」
遠い目をして女エルフは言った。
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